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強さを仕上げるアミノバイタル①「忙しい人を速い人に」 土井雪広・元プロが猪野学さんに直伝、ヒルクライム時短トレーニング

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 前回の『予告編』で「今年を勝負の年にする」と宣言し、今シーズンの目標にアマチュアヒルクライマーの甲子園といわれる「マウンテンサイクリングin乗鞍」での自己記録更新を掲げた猪野学さん。「台湾KOMチャレンジ」のフィニッシュで体得した「やればできる」の言葉を信じ、日々トレーニングに打ち込んでいる。しかし、多忙を極める猪野さんに許されたトレーニング時間は1日わずか1時間ほど。限られた時間でも確実に強くなれる効率的な“時短トレーニング”はないのだろうか? そんな悩みへの助言を求めて、猪野さんは現役を退いたばかりの元プロ選手・土井雪広さんのもとを訪ねた。

「マウンテンサイクリングin乗鞍」での自己記録更新を目指し、元プロ選手の土井雪広さんの指導に必死についていく猪野学さん Photo: Yosuke SUGA

上りに強いオールラウンダーとして活躍

 土井さんは2004年にプロデビュー以降、日本を代表する選手の一人として国内外のレースで活躍。欧州を軸に活動の場を移し、UCI(国際自転車競技連合)プロコンチネンタルチームのスキル・シマノやアルゴス・シマノの一員として存在感を放った。

マトリックスパワータグで活躍していた当時の土井雪広さん

 2011年にはブエルタ・ア・エスパーニャに日本人として初出場と完走を果たし、2012年には全日本選手権ロードレースで優勝を飾っている。2016年以降は「マトリックスパワータグ」の一員としてJプロツアーやUCIアジアツアーで活躍していたが、昨年末突然の引退を表明。現在は自転車競技中継における解説者として活動している他、日本人としてイギリスのロードバイクチャンネル「Grobal cycling network」(GCN)のリードプレゼンターも務めている。

 現役時代に上りが得意なオールラウンダーとして活躍していた土井さんの、数々の舞台で磨いてきたクライミングスキルと、レベルに見合った最適なトレーニング法についてプロとしてのアドバイスをもらうべく、猪野さんは“土井道場”の門を叩いた。

◇         ◇

「オーバーワークはパフォーマンスの向上にならない」

土井:猪野さん、今シーズンはずいぶんと気合入ってるようですね。「台湾KOMチャレンジ」も頑張っていたようだし、一体どこを目指しているんですか?

猪野:自分でもよくわからないんですけど…(苦笑)、とにかく今シーズンは乗鞍で自己ベストを出したいと思っています。ただ、俳優業という職業柄、生活の時間が不規則でまとまった練習時間がとれないのが悩みで…。土井さんなら、短い時間でも効率的にトレーニングできる方法について何かヒントをいただけるんじゃないかと思って相談しに来ました。

土井:いまはどんなトレーニングをしてるんですか? 例えば1週間のメニューは?

猪野:極力、毎晩1時間ほどローラーに乗るようにしています。320W(ワット)の出力を2分間維持して、それを15回繰り返すというインターバル。それを前後20分のアップとダウンで挟みます。とはいえ、後半は280Wくらいしか出ないんですけど…(汗)。それが高強度のトレーニングで、その後2日間はレストを入れるつもりでFTPを少し上回るくらいの出力で40分ほどキープして回します。レスト明けは「200Wで40秒⇒420Wで20秒」を繰り返すインターバルを20本ほど。その翌日はまたレストをとります。

土井さんに、自身が行っているトレーニングを説明する猪野さん Photo: Yosuke SUGA

 あとは休日には行けたら尾根幹に行って70kmほど実走するようにしています。それほど強度は意識していませんが、流す感じではなく200~250Wほどを維持するよう心がけています。1週間フルでトレーニングできたときはこんな感じですね。

土井:ずいぶん頑張っていますね。現在の体重とFTP(※)はどれくらい? それと乗鞍での目標タイムは?
(※FTP=Functional Threshold Power:1時間当たりの最大平均出力ワット。フィジカルレベルを表す値でトレーニングメニューを組む際の指標となる)

猪野:56kg、FTPは240Wです。自己ベストが1時間12分なので、次は最低でも1時間10分を切りたいと思っています。

土井:うーん、ちょっとやり過ぎかな…。

猪野:ズイフトにあるトレーニングメニューを参考にしてます。でも、おかげでVO2MAX(最大酸素摂取量)は上がって来てるんで、けっこう心肺機能は強くなってきた感があります。

土井:心肺は鍛えられるけど、疲労感は半端ないでしょ(笑)。

猪野:半端ないです。最初はできなかったんですけど、だんだんできるようになってきました。

土井さんに弱点を見抜かれて苦笑いする猪野さん Photo: Yosuke SUGA

土井:体がそのストレスに慣れてきたんでしょうね。ただ、やりすぎはパフォーマンスの向上にはつながらないので、その辺はバランスが必要です。トレーニングの時間が多くとれない人って、詰め込もうとするのか強度高めのトレーニングにいきがちなんですが、そうなるとベースができていないことが多くて、パワーはあってもスタミナがないという状態に陥りやすくなります。ちなみに猪野さんの現状の課題は何だと思いますか?

猪野:土井さんのいうようにオーバーペースになって、後半までスタミナがもたないように思います。

土井:なぜオーバーペースに? 周囲との駆け引き?

猪野:いや、自分のペースで行っているつもりなんですが、それでもオーバーペースになってしまうのか後半の伸びがなくなってくるんです。

土井:現状のFTP(240W)は数字上では乗鞍での1時間10分切りはギリギリ可能なレベルだと思いますが、レースだとどうしても気が逸ったり環境の変化も影響するので、絶対と言いきれるレベルではありません。しかし普段から強度高めのインターバルトレーニングをしていると「そのペースで走れる錯覚」を起こして、オーバーペースになる傾向がある。さらに乗鞍は後半に酸素が薄くなるんで、そこからペースを上げていこうと思っても上がらないケースの方が多いと思うんです。

1時間ローラーを中強度で毎日

猪野:僕はどうしたら良いんでしょうか…?(汗)

「スタミナのベースとなるFTPの底上げが重要」と強調する土井さん Photo: Yosuke SUGA

土井:トップクラスの人たちは相手との駆け引きありきでタイムを目指すので、アタックなどの状況の変化にも対応できるようにする練習が必要になりますが、自分の自己ベストよりも早いペースを刻むなら、FTPの領域だけを上げていけば単純にタイムは削れる。なので強度高めで短めのインターバルを繰り返すのではなく、中程度の強度で少し長めのインターバルで、ベースとなるFTPを確実に上げた方がタイムアップにつながりやすいと思います。

 具体的には、FTPの5%増し程度(現状の猪野さんなら253W)を6~10分維持して、5分レスト(121W以下)を4回繰り返す。所要時間としては1時間強なので、猪野さんも練習可能な範囲ですよね。そして1カ月に1度FTPを計測し直して、さらに強度を高くする。地味ですが、これを積み重ねることです。

GCNのズイフトを使ったワークアウト「TT efforts」。FTP105%6分と50%5分のインターバルを前後10分のウォーミングアップとクールダウンで挟むトータル70分のワークアウト Photo: Yosuke SUGA
「リカバーしながら毎日継続できる強度の練習が重要」と話す土井さん Photo: Yosuke SUGA

 ただしそこまでハードでない分、乗らないと筋肉は簡単に落ちるので、極力毎日継続することが重要です。そのためにも日々の疲れを残さないこと。プロ選手の場合は3日間強度高めのトレーニングで追い込み、疲労具合を数値化した「TSS」(トレーニングストレススコア)を見て1日レストを入れたりしますが、この程度の練習量なら都度リカバーして毎日継続できる範囲です。

 ホビーサイクリストの場合はTSSはあまり重視せず(もちろん認識できることに越したことはないですが)、体感で疲れを感じたときに1日休む程度でOK。そうならないためにも日々のリカバーをしっかり心掛けることが重要です。

実走でしか鍛えられないクライミングスキル

土井:あとは時間がまとまってとれたときには、山や坂に行って実走することも大切です。ということで、早速外へ行って走ってみましょう。

猪野さんの基本的なクライミングフォームを土井さんがチェック Photo: Yosuke SUGA

 ヒルクライム時の体の使い方と一言でいっても、大事なのは体幹の使い方だけでなく、急斜面でもペースを崩さずに一定のリズムで踏み続ける練習、集団の中で遅れをとらないようにアップライトな姿勢で踏み続ける練習、コーナーのラインの作り方など、実走でないと身につけられない細かなクライミングスキルがあります。そしてそのわずかなテクニックの差が、後半に大きな違いとなって現れます。

力まず上半身がリラックスできた状態でのペダリングが理想形。自然な姿勢がとれていると、股関節の可動域がしっかりと確保され、スムーズなペダリングが可能なる Photo: Yosuke SUGA
対して猪野さんは胸椎に力が入った状態でリラックスできていない。サドルに座る位置は前すぎず後ろすぎず、サドルのセンターあたりに座るのがポイントだが、猪野さんはやや後ろ気味… Photo: Yosuke SUGA

 そのスキルをイメージとして体に叩き込むために、普段のローラートレーニングと実走は練習の二本柱と考えて可能な限り実走の時間も確保するようにしてください。

強めの斜度でもペースを維持して踏む練習。ペダルにかけるトルクにムラが生じると、余計にパワーが必要になり、疲労の原因となる Photo: Yosuke SUGA
集団走行を想定した練習。ブラケットをもった姿勢でアウターを回す。遠くを見るとバランスがとりやすくなり、コース状況を把握しながら走行ラインを見極めることができる Photo: Yosuke SUGA
コーナリングでは少しでもタイムを縮めるために思い切ってインコースを攻めよう Photo: Yosuke SUGA
ダンシング時は下死点を通過するときに一番下まで踏み込まないようにペダルを回すのがポイント Photo: Yosuke SUGA

猪野:わかりました。ちなみに土井さんは現役時代、レースに向けたピーキング(当日に向けてコンディションを最高の状態にもっていくこと)はどれくらいの期間で行っていましたか?

土井:プロだと3カ月のスパンでピーキングを行いますが、アマチュアだとそんなにトレーニングに時間を費やせないので、概ね5~6カ月のスパンでピーキングを考えると良いと思います。

 ピーキングといっても特別な何かをするわけでなく、説明したトレーニングを続けること。それでレースの1週間前に入ったら負荷をかけないで当日に臨む。実はプロ選手も基本的にはこういう地道なトレーニングばかりやっているんですよ(笑)。

「ローラーのトレーニングだけでなく走りのスキルを身につけるためにも可能な限り実走も取り入れて」と土井さん Photo: Yosuke SUGA

リカバーがトレーニングの質を上げる

土井:そしてトレーニング後、忘れてはいけないのがリカバー。質の高いトレーニングを続けるには体を使いっぱなしにしてはいけません。現役時代、練習後は質の良い栄養補給に余念がありませんでした。というか、何を摂ったかも全てチームに報告しなきゃいけなかった。そういう意味で選手個人のリカバーもトレーニング同等、チーム戦略として管理されていました。

アミノバイタルシリーズでBCAAが最も多く含まれている「アミノバイタル GOLD」。カラダ作りに大切な役割を果たす「ロイシン」が多めで、リカバーに最適 Photo: Yosuke SUGA

 プロだとそのための専属の管理栄養士もいますが、一般の人が栄養素の摂取量までシビアに自己管理するのは難しいですよね。そういうときには「アミノバイタル」のようなサプリメントで補うのも一つの方法です。アミノ酸は吸収されやすい形状に最適化されたものなので、リカバーもスムーズです。すばやく適量がとれるという点では、これも時短トレーニングにおける効率的なリカバー法といえると思います。

トレーニングの質を高めるにはリカバーもしっかりと Photo: Yosuke SUGA

猪野:地方ロケなどに行っちゃうと、その期間はどうしても練習が途絶えがちになるんですが、可能な限り続けるようにがんばります。乗れない時間は何かで補えれば良いんですけど…。何か良い方法ないですかね?

土井:日が空いてしまった場合は次のトレーニングの負荷そのものを上げるのではなく、インターバルトレーニングの負荷をかける時間をいつもより長めにするなど調整すると良いです。あとは、ロケ先でせめてランニングとか。かくなる上はロケ先にローラーをもっていく、あるいは思い切って仕事減らしちゃうとか?(笑)

猪野:なるほど。そこもバランス良くやってきたいと思います…(苦笑)。

(取材協力:CROSS COFFEE -chocolate & sandwiches-

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