ティレーノ~アドリアティコ2019 第4ステージ2度の落車を乗り越えルツェンコが勝利 アダム・イェーツは7秒差で総合首位を維持

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 イタリアで開催中のUCIワールドツアー「ティレーノ〜アドリアティコ」は3月16日、第4ステージが行われ、残り38kmから独走に持ち込んだアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)が、2度の落車から残り500mで後続選手に追いつかれたものの、4人のスプリント勝負を制してステージ優勝を飾った。先頭集団でフィニッシュしたアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が総合首位をキープしている。

2度の落車を乗り越え、追いつかれても勝利したアレクセイ・ルツェンコ Photo: Yuzuru SUNADA

スリッピーな路面に落車が多発

 第4ステージはフォリーニョからフォッソンブローネまでの221kmで争われた。終盤には最大勾配19%の激坂を含む9.3kmの周回コースを2周。ラスト5.6kmはダウンヒルを下ってから、最後はわずかに上りながらフィニッシュするコースレイアウトとなっていた。

 レースは序盤に10人の逃げ集団が形成。ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ネーリソットリ・セッレイタリア・KTM)、リュイスギジェルモ・マス(スペイン、モビスターチーム)らが含まれていた。

体調不良のためリタイアしたゲラント・トーマス Photo: Yuzuru SUNADA

 また、レース中盤にはゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)がリタイアを決断した。胃腸系のトラブルが原因とのことだ。

 メイン集団はアスタナ プロチームとユンボ・ヴィスマが中心となりコントロール。逃げ集団とのタイム差は最大10分近く開いたものの、残り100kmを切ったところから徐々にペースアップ。逃げ集団との差はじわじわ縮まり、残り50kmで2分程度となった。

ユンボ・ヴィスマ勢が先頭でコントロールするメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 ところが、テクニカルで細いダウンヒル区間で、トニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)、ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が続けざまにスリップして落車。さらにイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン)は激しく地面に叩きつけられリタイア。アージェードゥーゼールに至っては4人の選手が落車に巻き込まれていた。アシスト2人を失ったユンボ・ヴィスマに代わって、アスタナが集団けん引を担った。追走のペースは緩めず逃げ集団とのタイム差は1分を切った。

集団けん引を担っていたマルティンだが、落車で後退 Photo: Yuzuru SUNADA
新人賞ジャージを着るローレンス・デプルスは落車のため集団から脱落しジャージを失ってしまった Photo: Yuzuru SUNADA

カウンターアタックのルツェンコが独走に

 逃げ集団からは吸収を嫌ったマスやピーターズがアタックを仕掛けて粘っていたものの、残り38km地点で全員がメイン集団に吸収された。ここで、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナプロチーム)がアタック。プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、トム・デュムラン(オランダ、チームサンウェブ)らの追走を振り切って、独走に持ち込んだ。

 総合上位を狙う有力選手たちが一気に動いたことで、集団は崩壊。独走のルツェンコを、総合1位のアダム・イェーツ、3位のログリッチェ、5位のデュムラン、8位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らを含む8人が追う展開となった。なお、追走集団にはルツェンコのチームメイトのヤコブ・フルサング(デンマーク)が抑え役として入っていた。

メイン集団では有力選手勢の駆け引き Photo: Yuzuru SUNADA

 ルツェンコはイェーツ、ログリッチェらの集団に対して30秒ほどの差をつけた。追走集団はフルサング以外のメンバーはローテーションに協力的ながらも、要所でフルサングのローテーション妨害が効き、ルツェンコとのタイム差は縮まるどころか徐々に拡大していく。タイム差が50秒となったところで、最後の周回コースに突入。また、追走集団には後続のメイン集団が追いついて一塊となっていた。

激坂区間を上るアレクセイ・ルツェンコ Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭のルツェンコは最大勾配19%の激坂区間を難なくクリア。メイン集団では散発的なアタックはかかるものの、組織的に追走する体制は整わず、ルツェンコとのタイム差は変わらず50秒のままだった。

 しかし、激坂区間を越えた後のダウンヒルで、ルツェンコがオーバースピードでコースアウト。ギリギリでブレーキングが間に合い、致命的な落車を免れたことで即座に再スタートを切ることができた。5秒程度タイムを失ったものの、残りのダウンヒル区間で後続集団とのタイム差をむしろ広げていき、1分差となり、最終周回を迎えた。

最終局面で転倒もスプリントを制して優勝

 メイン集団はロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が先頭固定でけん引。激坂区間に入ると、ダンシングで猛烈なペースアップを見せると、ルツェンコとの差を15秒ほど縮めた。ヘーシンクが仕事を終えたところで、ログリッチェがアタック。フルサングとアダム・イェーツが追従し、デュムランとアラフィリップが遅れを喫した。

ログリッチェ(中央)、フルサング(左)、アダム・イェーツの追走グループ Photo: Yuzuru SUNADA

 ログリッチェの猛追により、山頂までにルツェンコとのタイム差を15秒まで縮めていた。しかし、ダウンヒルを攻めるルツェンコは、ログリッチェらとのタイム差を15秒前後でキープ。

 逃げ切り勝利が見えてきたルツェンコだが、残り1.4km地点のコーナーでまさかの転倒。すぐに立ち上がり再スタートを切ったが、残り500mでログリッチェらに追いつかれてしまった。

 向かい風の吹く最終ストレート。ログリッチェを先頭に、スプリントのタイミングをうかがう4人。ギリギリまで仕掛けを待ち、残り100mでルツェンコがスプリント開始した。すぐさまログリッチェが反応するも、先に仕掛けたルツェンコがわずかに先着。2度の落車に見舞われたルツェンコがステージ優勝を飾った。

横並びのスプリントを制したルツェンコの左足には落車で負った擦過傷が見える Photo: Yuzuru SUNADA

 ステージ3位に入ったアダム・イェーツは、総合首位をキープ。同2位のログリッチェとのタイム差は7秒で変わらない。

 両者接戦のまま迎える翌第5ステージは、コッリ・アル・メタウロからレカナーティへの180kmで争われる。第4ステージ以上に終盤は激坂区間が連続で登場する今大会の最難関ステージだ。総合争いの行方を大きく左右する重要なステージとなりそうだ。

第4ステージ結果
1 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) 5時間16分29秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +0秒
3 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
4 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
5 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +9秒
6 アルベルト・ベッティオール(イタリア、EFエデュケーションファースト) +23秒
7 サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)
8 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)
9 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
10 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ)

個人総合
1 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 15時間53分42秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +7秒
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +50秒
4 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +56秒
5 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ)
6 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +1分6秒
7 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ) +1分16秒
8 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +1分19秒
9 アルベルト・ベッティオール(イタリア、EFエデュケーションファースト) +1分21秒
10 サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) +1分25秒

ポイント賞
1 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 21 pts
2 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) 17 pts
3 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 17 pts

山岳賞
1 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) 35 pts
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 20 pts
3 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、コフィディス ソルシオンクレディ) 20 pts

新人賞
1 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) 15時間54分38秒
2 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) +1分1秒
3 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分15秒

チーム総合
1 EFエデュケーションファースト 47時間1分26秒
2 トレック・セガフレード +2分15秒
3 ロット・スーダル +4分53秒

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