title banner

山下晃和の「“キャンプ”ツーリングの達人」<3>ツーリングバイク?MTB?グラベルロード? 旅する自転車の選び方

  • 一覧

 前回は、自転車でのキャンプのときにクリアすべき「5つのポイント」をご紹介しました。おそらく、きちんと対策さえしていれば意外と手軽にキャンプツーリングを始められそうだと思った人も多いはずです。その調子です。難しく考える必要はありません。では今回は、キャンプツーリングの主役でもある自転車の選び方について話をしたいと思います。
←<2>自転車キャンプのハードルをクリアする5つのポイント

キャンプサイトから夕陽を望む。浜名湖のキャンプ場「タリカーナ」にて Photo: Akikazu YAMASHITA

支持される“2強”には理由がある

 キャンプツーリングに一番向いている自転車は、ずばりツーリングバイクです。ここ最近では、「アドベンチャーバイク」という表現も多く見られます。旅用の自転車はフレームの設計上、ホイールベース(車輪の間隔)が広くなっているため、直進安定性が高く、キャリアにキャンプ道具などの荷物を積載しても安定していたり、バッグ類がカカトが当たったりしないように設計されています。自転車の旅ではクイックなハンドリングを要さないので、まっすぐ長く走って、疲れないというところに重きが置かれているからです。

 ここ最近、海外でも大人気の「SURLY」のロングホールトラッカーや、アドベンチャーバイクのラインナップをいち早く増やした「JAMIS」のレネゲイド、ツーリングバイクの老舗中の老舗、トレックの「TREK520」などがその代表的なツーリング用の自転車です。これらの自転車の共通点は、フレームの強度が高いこと、ディスクブレーキであること、そして「ダボ穴」と呼ばれるフレームに様々なキャリアを搭載できるネジ穴があることです。

SURLYの「ロングホールトラッカー」に荷物を満載にした状態 Photo: Akikazu YAMASHITA

 他には、昔ながらのツーリングバイクである「ランドナー」があります。伝統的なルックスを演出する細身のフレームは、非常に洗練されていますが、頑丈でキャンプにも向いています。そのほとんどがクロモリ(クロムモリブデン鋼)素材。しなやかで疲れにくく、ロングツーリングにも対応していて、ダボが開いているものが多いのでこちらもキャリアを搭載できます。カンチブレーキですが、これは輪行のことを考えてホイールを外しやすくするためです。

4バッグ+フロントバッグの5バッグを積載にしたREVOLVEの「Traveler」という自転車 Photo: Akikazu YAMASHITA
ツーリングバイクにも、キャリアでなくフレームに搭載するバッグだけのスタイルもあり、ここ最近は大人気 Photo: Akikazu YAMASHITA

 人間の積載能力は、大き目のバックパックを背負う程度。手にはハンドルを握るため、限界があります。また、身体に身につけたバッグが重たいとお尻に荷重が集中するため、やがて痛くなり、しまいにはお尻にブツブツができてしまったり、お尻の皮が剥けてきたりも。その点、自転車の本体は、サイドバッグ、パニアバッグ、大型のサドルバッグなどがあれば、たくさんの荷物を積載することが可能です。

バイクパッキングスタイルのルーツはMTB

 その次にキャンプに向いているのがマウンテンバイク(MTB)です。ここ最近は「バイクパッキング」という言葉もありますが、これは本来、MTBにいろいろなバッグを積載した旅のスタイルのことです。

MTBに簡易的なキャリアとサイドバッグを装着するスタイルのアルゼンチンサイクリスト Photo: Akikazu YAMASHITA

 MTBは読んで字のごとく、山やダートを走るためのバイクなので、スルーアクスル、太めのリム、それが装着できる太めのブロックタイヤ、凸凹な道でも走破できるサスペンションなどが備わっています。キャンプ場やキャンプ地はほぼ100%土、芝生、小石などの地面のため、凸凹の道を走れることは安定感、安心感に繋がります。

MTBにオルトリーブの大型サドルバッグを装着して山ライドへ行ったときの状態 Photo: Akikazu YAMASHITA

 また、ほとんどがディスクブレーキか、Vブレーキなので制動力も高いです。キャリアが搭載できないものが多いので、ボトルケージの代わりに付ける大きなケージや、大型のサドルバッグ、それを安定させるスタビライザー、フレーム自体にくくりつけるためのポリウレタンのストラップなどで積載性を高める工夫が必要になってきます。

舗装路も林道にも対応するバランスの良さ

 ここ最近はグラベルロードという自転車も適しているでしょう。シクロクロスも同じように分類されますが、こちらはカンチブレーキ。グラベルロードはディスクブレーキがほとんど。どちらもブロックパターンのタイヤを履いています。

様々な遊びに対応できるグラベルロードは注目されているが、ツーリングバイクとほぼ同じ構造 Photo: Akikazu YAMASHITA

 キャリアが搭載できるダボ穴付きのものも多く、険しいシングルトラック(一台の自転車が通れる幅のトレイル)は向いていませんが、ダブルトラック(車が通れるくらいの林道)であれば、軽快に走ることができるでしょう。ドロップハンドルで、軽量な車体は舗装路の走りやすさも兼ね備えています。

クロスバイクにギターを載せている陽気な方とは、ラオスの山奥で出会った Photo: Akikazu YAMASHITA

 街でよく見るクロスバイクや小径車も実はキャンプツーリングに向いています。太いタイヤを履かせることができ、キャリアを付けられるものもあります。Vブレーキは、ディスクブレーキよりは劣りますが、サイドプルブレーキよりはよく止まります。通勤や通学を考えて安価でタフなパーツが付いているので、ツーリングバイクに近いアッセンブルのものも多くあります。

ロードバイクは不向き

 あまりキャンプ向けでない自転車はロードバイクです。それもカーボン素材は積載するキャリアやバッグが非常に少ないので、かなりのテクニックと荷物の極端な軽量化が必要になってくるでしょう。

舗装路を走るスタイルならロードバイクでも良いが、キャンプ地の近辺でも遊びたいならブロックパターンのタイヤの方がおすすめ Photo: Akikazu YAMASHITA

 「ロードレーサー」ともいう名のとおりレース向けに作られているからです。人間の体重+αくらいの荷重しか考えられていないので、重たい物を載せることを想定していません。もちろん、舗装路の速さは一番ですが、キャンプ場内は前述のとおり、不整地なので、なかなかテントの横に乗り着けるのは難しいでしょう。

 また、サイドプルブレーキは、ディスクブレーキに比べて制動力が劣るので、荷物満載の状態での激下り坂はスピードが出ることも相まって、かなり危険を伴います。細いタイヤも空気圧を高くしなくてはならないため、人間の体重とキャンプ道具を満載にすると、パンクする確率が高くなってしまいます。

自転車とキャンプの旅フェスティバル「BIKE&CAMP」に参加の皆さん Photo: Akikazu YAMASHITA

 もし、これからキャンプツーリングを本格的に楽しみたいという方は、やはりツーリングバイクを購入するのが良いと思います。ツーリングバイクは耐久性もあり、お買い物、通勤通学、街乗り、カスタムベース、盆栽バイク(眺めるため)とスーパーオールマイティーなのです。ただし、キャリア付きの物は幅を取ってしまうので、自宅の置き場所などご家族と相談して、自分に合った旅自転車を見つけてみてください。

 次回は「荷物の軽量化」についてお話します。

⇒<4>キャンプツーリングを変えるウルトラライトな“三種の寝具”

山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

関連記事

この記事のタグ

山下晃和の「ツーリングの達人」

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載