ストラーデビアンケ2019アラフィリップが“白い道”初出場初優勝 フルサング、ファンアールトとの激闘制す

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2019年シーズンのUCI(国際自転車競技連合)ワールドツアー5戦目となる「ストラーデビアンケ」が3月9日、イタリアで開催された。未舗装区間や急坂を含む184kmのレースは、フィニッシュ目前でアタックを成功させたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が初出場で初優勝。シーズン4勝目、チームとしても今季15個目の勝利を挙げた。

ストラーデビアンケ2019を制したのはジュリアン・アラフィリップ。初出場初優勝の快挙を達成 Photo: Yuzuru SUNADA

イタリア・トスカーナの“白い道”を走る

 いまでこそ広く名が知られるようになったストラーデビアンケだが、元は1997年に初開催された「エロイカ・ストラーデビアンケ」、日本語に訳すと“白い道を走る英雄たちのレース”とされるグランフォンドが原点となっている。本格的なレースとして実施されるようになったのが2007年。以降3年間は「モンテパスキエロイカ」、2010年からは「モンテパスキ・ストラーデビアンケ」、そして2012年から現行の大会名となっている。

前回覇者のティシュ・ベノート Photo: Yuzuru SUNADA

 レースカテゴリーとしては、2014年までがUCIヨーロッパツアー1.1、その後2年間が同1.HC、UCIワールドツアーに昇格したのが2017年。なお、「エロイカ・ストラーデビアンケ」は現在も一般サイクリスト向けのイベントとして行われており、このレースが明けた3月10日にレースと同じルートを使って開かれる。

 この大会が“白い道を走るレース”と呼ばれるのは、イタリア中部・トスカーナ州の歴史ある未舗装路を走ることから。全行程のおおよそ3分の1にあたる、総距離63km・11セクションに及ぶグラベル(未舗装)区間がレースの大きな特徴で、例年これらのセクションが勝負に影響を与える。また、急なアップダウンを含むグラベル区間も控え、上位進出には走力はもとよりバイクテクニックも要求されることになる。

 そんな“白い道”に今年は21チームが参戦。前回覇者のティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)を筆頭に、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)、ツール・ド・フランス王者のゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)といったビッグネームが集結した。

「白い道」と言われる未舗装区間を進むプロトン。砂煙が上がる Photo: Yuzuru SUNADA

サバイバルを生き残った精鋭グループによる勝負に

 スタートしてしばらくは一団のまま進んだプロトンだったが、3つ目のセクションに差し掛かった34km地点で4人が逃げグループを形成。そのまま集団からリードを奪って、最大で4分30秒差とする。その後、逃げメンバーからアレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)がパンクで遅れ、レオ・ヴァンサン(フランス、グルパマ・エフデジ)もやがて脱落。残ったのはニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール ラモンディアール)とディエゴ・ローザ(イタリア、チーム スカイ)となった。

メイン集団でレースを進めるグレッグ・ファンアーフェルマート Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団もグラベルセクションをクリアするごとに人数が減っていき、フィニッシュまで50kmを残したところで15人にまで絞られる。アラフィリップやベノート、ファンアーフェルマート、シクロクロスから本格転向したばかりのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)といった有力どころはしっかりと入った一方、ニバリやトーマスは第2グループでレースを進める。

 逃げメンバーでただひとり粘っていたローザだったが、残り36kmでメイン集団に吸収され、レースはふりだしに。約1分差で続く第2グループでは、一時はメイン集団で走っていながら後方へと下がっていたマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)を引き連れブリッジに成功させる。

レースを大きく動かしたヤコブ・フルサング Photo: Yuzuru SUNADA

 集団の人数が増えたところで迎えた第9セクターの「セットーレ・ディ・ソーリ」で、レースの流れを大きく左右する場面がやってくる。スピードが緩んだ一瞬のタイミングを見逃さなかったヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)が、800mと短い上りを利用してアタック。これを真っ先にファンアールトがチェックに動く。2人を誰も追わないと見たアラフィリップも続き、3選手があっという間に集団との差を広げていく。この時点でレース距離は残り23km。

 なおも攻めの走りを続けるフルサングに対し、アラフィリップは対応したもののファンアールトが遅れ始める。そのまま2人がレースを先行。後続との差も広げながら、残り距離を減らしていった。

一発に賭けたアラフィリップが初戴冠

 残り14kmで迎えた最終の第11セクターに入る頃には、先頭の2人と集団との差は約1分30秒にまで広がった。この区間でフルサングがアタックするも、アラフィリップは冷静に対処。以降、フルサングのアタックとアラフィリップのチェックの繰り返しに。残り5kmとなった時点では、早くも両者が牽制気味に。優勝を意識した駆け引きが激しさを増していく。

ライバルの動きに冷静に対処し勝負どころに備えたジュリアン・アラフィリップ Photo: Yuzuru SUNADA

 そんな2人をよそに、勝ちを諦めていなかったのがファンアールト。先頭とのタイム差を少しずつ縮めていき、残り1.2kmでついに再合流。そのままパスする勢いのファンアールトに、にらみ合いの状態となっていたアラフィリップとフルサングが急いで対応する様子も見られた。

 いよいよ勝負はフィニッシュ地・シエナの街へと上がっていく急坂にゆだねられた。残り1kmのポイントから500mは平均勾配12.4%。頂上手前で最大の16%になる。上り始めは3人だったが、やはりここまで追い上げてきたファンアールトは急勾配に対応しきれず後退。優勝争いはアラフィリップとフルサングに絞られた。

 最も厳しい区間を越え、緩斜面に変わろうかという局面で決定打が生まれた。スピードに勝るアラフィリップがアタック一閃。図ったかのような仕掛けに、ここまで攻めの走りを続けてきたフルサングでも太刀打ちできなかった。

勝利を喜ぶジュリアン・アラフィリップ(左)とイヴ・ランパールト Photo: Yuzuru SUNADA

 大観衆が待ったフィニッシュ地点「イル・カンポ」(カンポ広場)に一番で入ったのは、アラフィリップ。直前の鋭角コーナーでもトップを堅守し、フルサングを振り切っての勝利。この大会初出場にして、タイトルを獲得。また、フランス人ライダーとしても初の王者に輝いた。今シーズンは早くからエンジン全開で、すでに3勝を挙げていたが、さらに星を重ねることになった。チームとしても15勝目。昨年同様に、勝利量産の構えだ。なお、ドゥクーニンク・クイックステップは、アラフィリップが飛び出して以降、集団の抑え役を担ったゼネク・スティバル(チェコ)が4位、同じく役割を果たしたイヴ・ランパールト(ベルギー)が11位に続いている。

 激闘を演じたフルサングは2秒差の2位。こちらも絶好調なチームにあって、その勢いがいまなお続いていることを証明。そして、ファンアールトは昨年に続く3位。前回はロード進出直後の好走で観る者を驚かせたが、今回はその力が本物であることを示す結果を残した。

上位3選手の表彰。2位ヤコブ・フルサング、1位ジュリアン・アラフィリップ、3位ワウト・ファンアールト Photo: Yuzuru SUNADA

 また、今大会には日本人選手が2人参戦。別府史之(日本、トレック・セガフレード)はフィニッシュラインを通過したもののタイムアウト。初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は途中リタイアとなった。

グラベル区間を走る別府史之 Photo: Yuzuru SUNADA
初山翔のグラベル区間の走り Photo: Yuzuru SUNADA

女子は與那嶺恵理が大健闘の13位

 男子レースに先だって行われた女子は136kmで争われ、アンネミーク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)が2位に37秒差をつける快勝。

 そして、與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)が13位に入る健闘。UCIウィメンズワールドツアーで価値ある走りを見せ、同ポイント20点を獲得した。

女子レースを制したアンネミーク・ファンフルーテン Photo: LaPresse - D'Albberto / Ferrari

ストラーデビアンケ2019結果
1 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 4時間47分14秒
2 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +2秒
3 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +27秒
4 ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分0秒
5 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)
6 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) +1分1秒
7 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +1分4秒
8 サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト) +1分8秒
9 トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) +1分12秒
10 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) +1分21秒
OTL 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
DNF 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)

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