海外遠征の一年も語る山本幸平も才能認める19歳の逸材、ドリームシーカーMTBレーシングチーム 北林力の今

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 全日本マウンテンバイク選手権大会のクロスカントリー競技で、所属選手全員が日本一を目指すという目標を立てた「ドリームシーカーMTB レーシングチーム」。そのなかの一人、19歳の北林力選手は次世代のエースと見込まれる逸材だ。MTBクロスカントリーの絶対王者と言うべき山本幸平選手も才能を認めており、彼をも超える能力も持っているからだ。2人に伺った話から、北林選手の今をまとめた。

ドリームシーカーMTBレーシングチームの北林力選手。父はニュージーランド人、母は日本人だ Photo: Masahiro OSAWA

スキーと決別、MTBへ

 出会いは数年前に遡る。山本選手が北林選手をレース会場で見かけた。ファーストインプレッションは「体が大きくて、いい走りをする選手」だった。その印象に深みが増したのは、山本選手がユース選手と一緒に走ったときのこと。その場にいた北林選手に山本選手は驚かされた。「僕よりスプリント力があったんですよ。彼はスキーもやっていて、下りも僕より速かった」(山本選手)。

 北林選手は、いわば体育会系エリートだ。アルペンスキーに取り組み、2015年の全国中学校アルペンスキー大会男子大回転で優勝するなど成績を残している。MTBにも同時並行で取り組んできたが、彼の中では、シンプルに楽しめていたのがMTBだったという。

 そこに加えて、山本幸平選手の存在も大きかった。「幸平さんと話していくうちに、MTBのほうが世界で活躍できると思いました。近くに幸平さんがいることも大きかったです。MTBで世界のトップを目指そうと思い、競技を絞りました」(北林選手)。

 MTBに専念することを聞いた山本選手は、北林選手の両親とも面談。家族も応援してくれていることを知り、山本選手は北林選手を育成していくことになった。

 こうした経緯があり、2018年3月に発足したドリームシーカーMTBレーシングチームの一員として北林選手は活動を開始した。昨年は山本選手の海外遠征に帯同する形で、レースに出場。全日本マウンテンバイク選手権大会U23では表彰台入りは逃したが、山本選手と過ごした一年は大きな糧になったようだ。

 北林選手が振り返る。「僕の思っていたことがすべて違っていました。生活の仕方、食事のとり方、レースに向けたコンディションづくり、トレーニング、昼寝をとる時間などすべてです。遠征は2人の部屋だったので、幸平さんのすべてをコピーしました」と笑顔ながらに語った。一年前と今では知識量がまるで違うものになったとも話す。

言葉数は少なめながらも「幸平さんの行動をコピーして、コピーして」と話す様が素直な若者という印象だった Photo: Masahiro OSAWA

海外遠征の経験を実戦で発揮へ

 やり取りを交わすうちに気づいたのが北林選手の体つきだった。以前は、少しぽっちゃりとしていたが、筋肉がつきスリムになった印象だ。「冬の間も食べるものが大きく変わりました。それは幸平さんと過ごしたシーズンで学んだことが大きいです」(北林選手)。

 競技転向したことで、例年、冬場はスキーの練習をしていたが、今年はMTBばかりしていた。MTBの練習のほうが体を引き締めるには向いているという。何もかもが一年前とは変わった今、北林選手は「コンディションもすごくいい。ワールドカップでいい走りをして帰国するイメージをしている。全日本も今年のほうが自信はあります」と話す。

 昨年の全日本マウンテンバイク選手権大会へ出場以降、上位3者との対決はまだ実現していない。だからこそ今年の全日本マウンテンバイク選手権大会は修行の成果を試す機会となる。北林選手は「昨年の全日本の後は、ワールドカップ、世界選手権に出て、そこで見て覚えたことがあります。昨年やってきたことを今年のレースで発揮したいです。楽しみですね」と話す。

 今年4月からは山本選手のもとを離れ、フランス人コーチのもとで、さらなる進化を果たす。海外遠征で積み重ねてきた経験、これからの修行で積み上げる経験。これらが北林選手をどう変えるのか。今年の全日本マウンテンバイク選手権大会で成果を見届けたいところだ。

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