UAEツアー2019 第4ステージ最大勾配17%の激坂スプリントでユアンが劇的勝利 ログリッチェはリード拡大に成功

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 中東・アラブ首長国連邦で開催されているUCIワールドツアー「UAEツアー」は2月27日、第4ステージを実施し、レース後半の丘陵区間で活性化したステージ優勝争いは、フィニッシュ直前の激坂でカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が会心のスプリントを見せ、シーズン初勝利を挙げた。個人総合首位に立っているプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は2秒差のステージ3位。総合争いのライバルを引き離してのフィニッシュとし、リードを広げることに成功している。

UAEツアー第4ステージ、激坂でのスプリントを制してステージ優勝を飾ったカレブ・ユアン(左から2人目) Photo: Yuzuru SUNADA

中東特有の横風がレースに変化を呼ぶ

 大会は折り返し地点へ。この日のステージは、ドバイに位置する人工島「パーム・ジュメイラ」から、ハッタ・ダムまでの197km。スタート以降、わずかながらも上り基調。おおよそフィニッシュ前50kmからは、本格的に丘陵地帯へと入っていき、大小複数の丘越えをこなす。そして残り5kmからは、ハッタの登坂区間へ。フィニッシュ手前は最大勾配17%の激坂が待ち構える。

スタートするアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはまず、6人の逃げで幕開け。その後はプロトンに大きな変化はなく、淡々としたムードで中間地点を通過した。残り100kmを切る頃には、逃げグループとメイン集団とのタイム差は7分50秒まで開いた。

 そんな雰囲気が一変したのは、残り75kmになろうかというタイミング。バーレーン・メリダの動きをきっかけに、集団がスピードアップ。砂漠地帯を走行するとあり、中東特有の不規則な強風がプロトンを混乱させる。残り50kmを切ると、いよいよ集団の各所で分断が発生。前日のステージで優勝争いを演じたダニエル・マーティン(アイルランド、UAE・チームエミレーツ)や、リッチー・ポート(オーストラリア)、バウケ・モレマ(オランダ)のトレック・セガフレード勢が後方に取り残される状況となる。

 やがて風を利用したプロトンの動きがなくなったこともあり、後続の選手たちは無事に集団復帰。フィニッシュまで40kmを残したところで仕切り直しとなった。

 逃げグループとのタイム差を着々と減らしていく集団は、前日の勝者であるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)擁するモビスター チームが主にコントロール。リーダージャージを着用するログリッチェ率いるユンボ・ヴィスマが集団牽引に加わらない様子を見て、バルベルデが怒りをあらわにするシーンもあったが、モビスター主導のまま丘陵地帯を進んでいった。

ピンチを乗り切ったユアンが意地の勝利

 逃げグループでは、ポイント賞ジャージを着用するステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)が途中2カ所の中間スプリントポイントをトップ通過後にメイン集団へと戻ったが、他の5選手は協調を続けた。しかし丘陵地帯に入って人数が絞られていき、残り13kmで逃げはアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、CCCチーム)ただ1人に。

個人総合3位のダヴィ・ゴデュ Photo: Yuzuru SUNADA

 粘るデマルキを射程圏内に捕らえた集団では、ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)のアタックに反応したトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)がカウンターで飛び出す。これをきっかけに、メイン集団ではユンボ・ヴィスマが動き出す。デュムランを10秒前後のタイム差にとどめ、次なる局面へと備える。

 デュムランはデマルキをパスするとしばし独走したが、勝負においては決定打とはならず、メイン集団へと引き戻された。

 こうした動きの一方で、集団前方がきっかけとなる大規模なクラッシュが発生。バルベルデが巻き込まれ、アシスト陣を使って復帰を試みる。残り約5kmとなり、集団のスピードも上がるが、何とか前方へと戻ることに成功している。

 後半に入って動き出したレースは、いよいよ最終局面へ。平坦でのスプリントステージさながらのポジション争いが激しさを増す中、残り1kmを切った。

 緩急さまざまなコーナーをこなしつつ、厳しくなる勾配。集団は大きな塊のまま、激坂スプリントへと飛び込んでいく。まず、先頭に立って加速を始めたのはアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ)。絶好のポジションから飛び出すかと思われたが、あまりのパワーにチェーントラブルが起きるアクシデント。代わってマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)が前をうかがう。

 だが、モスケッティの背後につけていたユアンがタイミングを図って先頭に立つと、後続をグングンと引き離していく。小さな体をいっぱいに使いながらのダンシングで、真っ先にフィニッシュへとやってきた。結果的に、2位に2秒差をつけての快勝劇となった。

カレブ・ユアンが激坂スプリントを制してシーズン初勝利を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

 ユアンといえば、シーズン開幕戦のサントス・ツアー・ダウンアンダー第5ステージで、トップでフィニッシュしたものの、スプリントポジション争いでライバルにヘッドバットを繰り返したことによって降格処分となり、勝利は幻になっていた。ダウンアンダーでは顔見せのクリテリウムで勝っているもののUCI非公認のレースとあり、1カ月以上経ってようやくのシーズン初勝利。それも平地ではなく、上りスプリントを制してのものとなった。また、レース中盤には集団分断で後方に下がっていたこともあり、逆境を跳ね返しての勝ち星でもある。

絶好のポジションからスプリントを開始したアレクサンドル・クリストフだったが、チェーントラブルで歩いてフィニッシュ Photo: Yuzuru SUNADA

 ユアンの後方では、モスケッティとログリッチェが並ぶようにしてフィニッシュ。それぞれステージ2位、3位。この2人から3秒差でメイン集団が続いている。

 これらの結果から、ログリッチェが総合タイム差拡大に成功。集団との3秒差に、ステージ3位のボーナス4秒を加えている。個人総合2位のバルベルデとは21秒差、同3位のダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)とは38秒差としている。

 28日に行われる第5ステージは、フラッグアイランドからホール・ファカンまでの181km。中盤の丘陵地帯のほかは、おおむね平坦基調。フィニッシュまで10kmを切って短い急坂が控えるが、勝敗を左右するほどのものとはならないと見られる。それ以上にポイントとなりうるのが、レース前半の砂漠地帯。第4ステージ同様に強い風が吹くと、集団を崩し波乱を起こすことも考えられる。

総合でのリードを広げたプリモシュ・ログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

第4ステージ結果
1 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) 4時間27分7秒
2 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) +2秒
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
4 カンタン・ジョレギ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +5秒
5 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)
6 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)
7 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
9 マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ・アルペシン)
10 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)

個人総合
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 14時間5分10秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +21秒
3 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) +38秒
4 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +46秒
5 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +54秒
6 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAE・チームエミレーツ) +1分1秒
7 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分4秒
8 ビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム) +1分12秒
9 ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分14秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分15秒

ポイント賞
1 ステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 39 pts
2 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) 32 pts
3 シャルル・プラネ(フランス、チーム ノボノルディスク) 32 pts

新人賞
1 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) 14時間5分48秒
2 ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +36秒
3 ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +52秒

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