渡欧直前インタビューブリッツェンから世界へ挑戦する雨澤毅明「ヨーロッパでもチャレンジングな走りを」

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 プロロードレーサーの雨澤毅明(24)は昨シーズン末、海外チームへの移籍を決断した。デビュー以来慣れ親しんだ地元・栃木を離れ、今年からスロベニアの「リュブリャナ・グスト・サンティック」で走る。3月3日に日本を発ち、9日にはシーズン初戦となるクロアチアのレースに出場予定。今の心境やヨーロッパへの思い、また、今後の目標を聞いた。

新チームのジャージを手にする Photo: Kumiko Hirai

楽しみなクロアチア

――いつ日本を出発するのですか?

雨澤:3月3日に出国します。9日からクロアチアで行われる「ポレッチ トロフィー(UCIヨーロッパツアー1.2)」が初戦ですね。おととしチーム ブリヂストンサイクリングも出場していて、鈴木龍選手や堀(孝明)選手も知っていました。食事がおいしいらしく、「クロアチアは食事が良かった記憶しかない」と言っていました(笑)。

――海外での活動に不安はないのでしょうか?

雨澤:ありますけど、時間が経つにつれて楽しみになっています。決まった当初は、(楽しみと不安が)半々でしたが、今は楽しみですね。レースが近いからだと思います。緊張感も高まってきて楽しみです。今までヨーロッパのレースといえば、ナショナルチームで走ったフランスやベルギー、スペインといった西欧が多かったのですが、今年はスロベニアやクロアチアといった東欧系。あとイタリアの方のレースも出ると思います。同じヨーロッパでも特色が違うと思うので、そこも含めて楽しみですね。どちらにせよ、厳しいレースになると思いますが自分はそういうレースの方が好きなので。

――雨澤選手の良さはいい意味でレースを引っ掻き回すことですよね。

雨澤:ただ、これまでは僕が引っ掻き回せるレベルのレースだったとも言えますよね。ヨーロッパに行けば、僕が引っ掻き回せるかどうかはわからないですよね。

――でも、試してみたいですよね(笑)。

雨澤:試してみたいです(笑)。自分のやりたいようにやれるかはわかりませんが。スロベニアに着いてから、チームやレースでどんな役割をするか監督と話し合いをします。シーズンを通して大まかに自分はどういう立ち位置なのか、まだわかりません。初戦の「ポレッチ トロフィー(UCIヨーロッパツアー1.2)」と次のレースの「イストリアン スプリング トロフィー(UCIヨーロッパツアー2.2)」でテストをされる感じだと思います。「こいつは使えるな」と思わせないといけないですね。

――監督とは何度かお会いになったのでしょうか?

雨澤:ジャパンカップのみです。あとはメールでのやり取りが基本ですね。

――英語ですか? 英語もだんだん慣れてきましたか?

雨澤:英語でのやり取りですが、得意ではないですね。というか、言葉が得意ではないので(笑)。

――理系ですものね(笑)。

雨澤:そうです(笑)。まあ、そんなことは言っていられませんし、この間台湾に行ったのですが問題なくコミュニケーションを取れました。なんとかなるか~と楽観的に考えています(笑)。その時は、グストのプロモーションだったので(選手は)現地の台湾人が2人と僕だけ。ヨーロッパの選手は来ていませんでした。スタッフもグストの方でしたね。

――みなさんいい人でしたか?

雨澤:はい! 台湾は日本と近いですしね。

ヨーロッパでの抱負を話す雨澤毅明 Photo: Masatoshi KUBO

ヨーロッパで走る以外、やりたいことはない

――そもそも雨澤選手は、最初にナショナルチームに選ばれたときにヨーロッパに行きたいと思われたのでしょうか。

雨澤:自転車を始めた時から漠然とヨーロッパのレースに憧れていました。ただ、それが明確な目標になったのは2017年ですね。2016年に初めてヨーロッパのレースを経験して、やっぱりこちら(ヨーロッパ)で走りたいなと。

―なぜ、そう思ったのでしょうか。

雨澤:楽しかったからです。楽しかったというか…日本のレースよりヨーロッパのレースの方が楽しかったんです。

―どんなところがですか?

雨澤:自分自身も周りも本気で勝ちに行っているレースが楽しかったんです。

――ただ、出走人数の面から考えても日本のレースで勝てる可能性は高いですよね。日本で走り続けるという選択肢はなかったのでしょうか。

雨澤:それは全くなかったですね。日本でやるぐらいなら辞めようと。今はヨーロッパで走る以外、やりたいことはないですね。

――なるほど。確かナショナルチームに初めて選ばれてヨーロッパで走った時、「本気で練習をしないとまずい」と思われたんでしたよね。

雨澤:そうですね。そこで本場の選手とのレベルの差を痛感しました。「これはヤバいぞ」と思って練習や準備も本気になって。2017年からヨーロッパのトップチームに行くぞと目指すようになりました。

――練習内容を変えたのでしょうか。

雨澤:筋トレやウエイトを入れたぐらいですかね。大きくは変わっていません。単純に量と質が増えたぐらいで、特別何かをしたということはないですね。ただ、ヨーロッパの厳しいレースを想定したキツい練習になりました。

――今回「リュブリャナ・グスト・サンティック」に決まったわけですが、やはり縁を感じますか?

雨澤:自転車選手というのはチームを渡り歩く人生でもあるので、そういった意味では今までのチーム全てにご縁があったのかなと思います。ブラーゼンもブリッツェンも、そしてグストにも。

「2年以内にプロコンチネンタル以上のチームに行きたい」と話した雨澤

――履歴書もいろいろなところに送られたそうですね。

雨澤:送った数は5~6チームと少なかったのですが、その中で唯一応えてくれたのがグストでした。僕はヨーロッパで走りたい、チームは強いアジア人を獲得したい、グストと僕の希望が一致したということもあります。去年はかなりいいレースも出ていましたし、ダデイ・ポガチャルやジガ・イエルマンと良い選手も輩出しています。日本に馴染みのあるベンジャミン・ヒルもいますし、全く知らないチームでもないのでそこは良かったなと思います。

――今後のプランはいかがですか?

雨澤:2年以内にプロコンチネンタル以上のチームに行きたいと思っています。

――日本と関係ないチームでも?

雨澤:そこはこだわらないですね。実力を認められる選手になって、それでプロコン以上のチームに行きたいです。もちろん簡単にはいかないとは思いますし、最初は、マーケティング的なところも含めてのステップアップになるかもしれませんが、いずれそういうものは取っ払って。日本人の雨澤ではなく、ただ雨澤が欲しいと言われたいですね。

――今までテレビで観ていたかなり強い選手と走る可能性も高いですが、萎縮することはないでしょうか。

雨澤:どうでしょうね、でもポッツァートと走った時も何も思わなかったですよ(笑)。「あれがポッツァートか~かっこいいな~」ぐらいでした(笑)。

――過去のジャパンカップでもそういうことはありませんでしたか?

雨澤:そうですね。そこで、緊張して舞い上がることはなかったですね。

――どんな選手に対しても仕掛ける雨澤選手の走りを海外でも見たいというファンは多いと思いますが、その姿勢は崩さずということでしょうか。

雨澤:そこを崩して見失ってしまうと僕のいいところはなくなると思っています。そこは僕の取り柄であり、アイデンティティーなので。ヨーロッパに行ってもチャレンジングな走りをしたいですね。

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