ツアー・オブ・オマーン 第5ステージルツェンコが妻と天国の子供に捧げる独走 今大会3勝目で総合2連覇に王手
中東オマーンで開催の「ツアー・オブ・オマーン」(UCIアジアツアー2.HC)は2月20日、第5ステージが行われ、総合首位のアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)が今大会3勝目を挙げ、総合2連覇に王手をかけた。新城幸也(バーレーン・メリダ)はチームメートのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)の区間3位をアシストし、自身は区間55位でゴールした。
アル・ジャバル・アル・アフダル(グリーンマウンテン)に至る152kmで行われたこの日は、本格的な山頂フィニッシュとなる今大会のクイーンステージ。ラスト5.7kmから始まるグリーンマウンテンの上りは、平均勾配10.5%という急峻なもの。過去にはクリストファー・フルーム(イギリス)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)らが制し、多くはそのまま総合優勝も飾っている。

レースはスタート直後のアタック合戦から、6人の逃げグループが形成された。ディレクトエネルジーが2人をここに送り込み、積極的なレースを見せる。協調体制を取る逃げの6人に対し、メイン集団は一旦これを容認。レース半分を過ぎるまでに、タイム差は約6分にまで開いた。
レース後半に入ると、徐々にメイン集団は先頭とのタイム差を詰めるが、逃げグループも3分の差を持ったままグリーンマウンテンの麓に至った。平坦であれば逃げ切り確実となるところだが、残すは平均10%の急勾配。逃げグループの協調体制も終わりを告げ、区間優勝と生き残りをかけた戦いが始まった。
一方メイン集団でも総合成績争いのバトルが開始。各チームの主導権争いが繰り広げられるなか、徐々にその人数を減らしていった。ポッツォヴィーヴォの攻撃をリーダージャージのルツェンコが受けて立ち、ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ)も食い下がる。しかし最終的にルツェンコとポッツォヴィーヴォの2人が抜け出す形となり、先頭を追い込んでいった。

逃げグループではファビアン・グルリエ(フランス、ディレクトエネルジー)が唯一生き残り、単独先頭でゴールを目指してラスト1kmを通過した。しかし残り500m付近でルツェンコとポッツォヴィーヴォの2人がグルリエを視界に捉える。残り200mでルツェンコがさらにペースを上げると、ポッツォヴィーヴォが脱落。ルツェンコは残り100mでグルリエをかわし、そのまま単独先頭でゴールへ飛び込んだ。逃げ続けたグルリエが2位、ポッツォヴィーヴォが3位となった。
天を見上げ人差し指を突き上げてゴールしたルツェンコ。ゴール後、「この勝利を妻と、昨年12月に流産となった双子の息子に捧げたい」とコメントした。今大会ほぼ無敵とも言える3勝目で、個人総合成績でも2位のポッツォヴィーヴォに44秒の大差を付けた。残す最終日は平坦ゴールとなるため、大きなトラブルがなければ総合2連覇はほぼ決定的となった。
第5ステージ結果
1 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) 3時間44分3秒
2 ファビアン・グルリエ(フランス、ディレクトエネルジー) +7秒
3 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +11秒
4 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ) +19秒
5 エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック)
6 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ)
7 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +23秒
8 ファビアン・ドゥベ(フランス、ワンティ・グループゴベール) +30秒
9 マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +39秒
10 マッテオ・ファッブロ(イタリア、カチューシャ・アルペシン) +44秒
55 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +6分25秒
個人総合
1 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) 18時間38分39秒
2 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +44秒
3 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソルシオンクレディ) +47秒
4 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ) +53秒
5 エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック) +1分3秒
6 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +1分14秒
7 エリオット・リエター(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル) +1分25秒
8 ファビアン・ドゥベ(フランス、ワンティ・グループゴベール) +1分31秒
9 ギャビン・マニオン(アメリカ、ラリー・UHC) +1分43秒
10 カンタン・パシェ(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルス) +1分51秒
70 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +24分31秒
ポイント賞
1 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) 45 pts
2 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ) 33 pts
3 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) 21 pts
新人賞
1 エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック) 18時間39分42秒
2 ギャビン・マニオン(アメリカ、ラリー・UHC) +40秒
3 ステフ・クラス(ベルギー、カチューシャ・アルペシン) +50秒
チーム総合
1 カチューシャ・アルペシン 56時間4分0秒
2 ディメンションデータ +1分30秒
3 アージェードゥーゼール ラモンディアール +5分17秒