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栗村修の“輪”生相談<147>40代男性「上り坂の終わりで車間が空いてしまい苦しいです」

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 40代男性、年間で10レース前後、ロードレースを主としたホビーレースを楽しんでいるものです。

 以前より、練習、レース問わず上り坂から平坦または下り坂に入るときに、前走者との車間が空いてしまい苦労しています。

 その後、しばらく走ると前走者に追いつくことができますことから、前走者との脚力差が大きくあるとも思えず、原因が分からないでいます。

 現状ですと、上り坂の終わりで前走者にアタックを掛けられてしまうと非常に苦しい限りです。

 何が原因かと思われますか。また、どのような対策が考えられますでしょうか。

(40代男性)

 ピンポイントなご質問ですが、ホビーレーサーでは上り終わりの処理が苦手な方は多いようですね。上りの頂上付近はアタックのチャンスでもある重要なポイントなのですが、ここを走るテクニックが不足している方が多いようなんです。

 第一に、上り口で踏みすぎて、頂上が近づくころには脚がなくなる人が多いですね。上り口をどの程度のペースで上り始めるかを見ると、経験者かそうでないかがなんとなくわかってしまいます。慣れてない人ほど上り口で頑張ってしまうんですね。一方の経験者は、驚くほどゆっくり上り始めます(もちろん慣性をわざわざ殺す必要はないので徐々に適したパワー値へ持っていくイメージ)。

 それは、一定パワーで上るためです。一定距離をもっとも速く走るためには、最大平均パワーでの一定ペース走が一番です(一気に上り切ってしまうような短い坂は別)。上り口で800Wや900Wでもがいてしまったら、脚がなくなってしまいますよね。でも、これをやってしまっている人が実に多い。上り口では脚がフレッシュなので、自覚なしに踏んでしまうからです。「上りだ! 勝負所だぞ」と気持ちも高ぶっていますしね。

 でも、パワーを観察したことがある方なら、一定ペースを守る走りだと、上り口は頑張りすぎてはいけないことがわかるはず。気合を入れて上りに入った初心者は気づかないうちに脚を削られ、一定ペースで淡々と走るベテランに頂上付近で抜かれる運命にあります。「上り口は頑張りすぎない」の原則を守れば、頂上付近でもさほど苦しまずにすむでしょう。

上り坂頂上手前の「もうひと踏み」は意外な差を生むことも Photo: Yuzuru SUNADA

 もちろん、パワーや脚質の違いも影響します。ペースの上げ下げが得意なタイプなら頂上付近でのアタックにも対応しやすいでしょうが、僕は苦手でした。ただその場合でも、上に書いた上り口でのオーバーペースを防ぐことは大切です。

 ちなみに、状況や脚質を問わず、上りのてっぺんで加速することは非常に重要です。時速15kmで下りに入るのと、ぱっと踏んで35kmで下り始めるのとでは、下りでのスピードが全然違いますから、下りを含む山(丘)全体でのタイムがかなり変わります。上りでいくら頑張っても、ヘロヘロになった状態で脚を止めて下り始めてタイムを失っては意味がありません。その意味でも、上り口で踏みすぎない、プラス、下りに入ってスピードに乗せるところまでが上り、という感覚が大切です。

 最後に、重要なことを一つ申し上げます。クローズされたレースならばよいのですが、一般公道で前走者に過度に近づいてドラフティングの練習をするのは危険です。お仲間と練習をする場合でも、十分な車間距離をとってください。ドラフティングも大切なのですが、ここに書いたように、重要なテクニックはほかにもたくさんあるのです。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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