昭和11年、市が献上陛下の自転車、今も輝き 大阪・堺の自転車博物館「職人の技術結集」

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 古今東西の自転車約300台を展示している大阪府堺市の「自転車博物館サイクルセンター」が大事に保管する子供用の自転車がある。昭和11年、市が当時2歳の皇太子だった天皇陛下に献上した製品のスペアだ。センターは「今年は平成最後の年。注目されるのではないか」と期待を寄せる。

当時2歳だった天皇陛下に献上した自転車のスペアについて説明する自転車博物館サイクルセンターの長谷部雅幸事務局長=堺市

 センターによると、地元の自転車業界団体が同年6~7月に2台製作し、8月に1台を献上した。全長約110cm、高さ約60cm。えんじ色の車体に複数の金色の鳳(ほう)凰(おう)が描かれ、タイヤには桜の花があしらわれている。同じものとみられる自転車に乗られた幼少期の陛下のテレビ番組映像もセンターに残る。

 スペアは長らく市役所の市長室に飾られ、平成4年のセンター開館と同時に移された。80年以上も経過しているが、光沢があり、まばゆい。センターを訪れた大阪市の会社員、藤本知良さん(41)は「今でも乗れそう。色もかわいい」とショーケースの中を見入った。

 自転車は堺の地場産業だ。センターの長谷部雅幸事務局長(68)は「理由は、堺の古い歴史にある」と語る。5世紀前後、日本最大の前方後円墳・仁徳天皇陵(大(だい)山(せん)古墳、堺市)などを造る際に大量のすきやくわが必要になり、多くの技術者が集まった。鉄製品の産業が根付き、その後も刃物から鉄砲へと時代とともに生産品が移り変わった。

 1900年代初頭に自転車が日本で広まり、堺の鉄砲職人たちが続々と転身。金属フレームや細部でねじを扱う点などが共通し、技術を応用しやすかったのも産業の発展に拍車を掛けた。

 昭和7年には250近くの関連業者が堺にあったとの記録が残る。献上した製品が作られたのはその4年後。長谷部事務局長は「当時の職人の最高技術を結集させた作品」と誇らしげに語る。

 堺では現在も自転車づくりへの情熱が脈々と受け継がれている。長谷部事務局長は「日本の自転車産業は堺がリードしてきた。その歴史を映すものとして、陛下の自転車を大切にしていきたい」と話した。

産経新聞・大阪版より)

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