初の日本代表監督で感じたこと三船雅彦監督がシクロクロス世界選手権を総括「ロードの能力向上へ連携強化を」

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 シクロクロス世界選手権(2月2、3日デンマーク・ボーゲンセで開催)を終えた日本選手団が2月5日帰国した。世界選手権出場経験者として、監督に就任した三船雅彦さんは初めて指揮した大会を「ロードでの能力がすべてでした」と振り返った。帰国後、今後の日本代表、育成について、一問一答で総括してもらった。(聞き手・Cyclist編集部・澤野健太)

デンマークで開催されたUCIシクロクロス世界選手権大会で今井美穂選手と調整する三船雅彦監督 Photo: Nobuhiko TANABE

――今回の世界選手権は高速レースになりましたが、日本代表選手の手応え、収穫は何だったでしょうか? 

三船監督:基本はロードでの能力がすべてでした。普段ロードで走れない選手には正直チャンスのないコースだったと思います。

――世界との差をどう感じていますか、世界の流れをどう感じましたか?

三船監督:自転車競技の基本である走力としてスピード、ロードでの能力に尽きます。これが足りていません。私自身、現役時代テクニックはあまりありませんでしたが、ロードではクラシックでも完走できるスピードはありましたので。

――それを踏まえて、日本人選手のどこを伸ばせば良いでしょうか? 海外ではトラック、ロードレースでもトップの成績を出すクロスオーバーな選手が出てきていますが、日本でもそのような育成ができると思いますか?

男子U23 優勝のピドコック(イギリス)は2017年にはロード世界選手権ジュニア個人タイムトライアル王者 Photo: YSP

三船監督:そうですね。今回一番感じたのは実はロードでの能力。ここを上げるためにも本当は各種目ごとのつながりを作り、強化につなげなければ、と思いました。ただこの辺りは東京五輪に向けたプロジェクトは進んでおり、こちらからどうやって提案して進めるのか、それはまた連盟サイドと進める必要があるでしょう。

――走れる監督として、できたことはありますか?

選手のそばで声をかける三船雅彦監督 Photo: Nobuhiko TANABE

三船監督:選手各々が機材選択やコースのライン取りを確認しますが、そこに更なる選択肢を与えられるので、戦術的な面でも幅が持てたと思います。若い選手も、そして日曜日のレースはコースの変化をいち早く読めたので選手への機材選択では的確なアドバイスができたと思います。

――監督として、反省点があれば。

三船監督:反省なんて尽きないです。選手にも迷惑かけてしまったなと思うこともありましたし。

――引き続き、監督として活動はいつまででしょうか。今後の展望を教えてください。

三船監督:それは今後JCFとの話し合いでどうなるか。来年も体制を継続して発展的に進めるのか、はたまたこれが最後なのか、それはまだわかりません。基本的にすべての決定権は連盟側に帰属していることです。それがナショナルチーム、日本代表ですから。

――それを踏まえて、日本人選手のどこを伸ばせばよいでしょうか?

三船監督:まずは秋までにロードでの能力向上。これに尽きますね。まず全体に言えることは、シクロクロスはトラブルがない方が珍しい。その中でどれだけトラブルを回避・軽減していくのか。先頭の選手たちはその辺りも長けています。

ジュニア男子唯一の同一周回完走となった鈴木来人選手 Photo: Nobuhiko TANABE 

――各選手と取り組んだ収穫について教えてください。

(男子ジュニア)鈴木来人選手(伊那北高校/ボンシャンス)の完走は今後ジュニアの指標になるでしょう。競技時間が短いので(時間の長い上のカテゴリーに比べて)完走は一番可能性が高い。なので完走はもちろん、実は内容が今後に向けて重要になって来ます。ここで先頭から4分辺りでないとU23、そしてエリートでは完走はないでしょう。3人ともこれからの日本を支える選手たち。来年も日本代表になるよう、今回見つけた課題を克服してほしいですね。

(男子U23)織田聖選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)はレースの流れが見えていたと感じました。あともう少し走力をつけられればと思います。他のU23もですが、もっとロードでの走り込みを行うべきですね。

織田聖選手と話し合う三船監督 Photo: Nobuhiko TANABE 

(男子エリート)コースがとんでもなく速いコースに変わり、小坂光選手(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)自体は悪くなかったです。もし9周のレースなら完走が見える位置でした。今後しばらくは世界のトップはこのスピードです。ロードでの走力を持つ小坂選手ですら足りません。エリートでの代表を得るためには、最低でも欧州のクラシックで完走するぐらいはないと無理ですね。

エリート女子で3連覇を飾ったカント Photo : YSP
常に現場の情報を選手に伝えたという三船監督 Photo: Nobuhiko TANABE 

(女子U23)一番可能性を感じたカテゴリーでした。松本璃奈選手(TEAM SCOTT)と試走を一緒に行い、男子と変わらないようなバイクの扱いで、海外の選手と渡り合えるものがありました。トラブルはあったものの、苦しいときのロード能力、スタート前からのセルフマネージメント等はまだまだ発展途上ですが、来年はこの悔しさをバネに飛躍してもらいたいですね。

(女子エリート)世界のトップの進化にただただ驚くばかりです。唯一マディなコンディションでしたが、まるでまマディでないかのようでしたから。今井美穂選手(CO2 BICYCLE)にはかなりきびしいコンディションでしたが、来年の世界選手権に向けて日本代表に戻ってきてほしいですね。

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