「稲城クロス」も近日開催東京都心からすぐの稲城市、「自転車のまち」への取り組みとサイクリストにとっての魅力

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 東京都稲城市が「自転車のまち」としてホットになりつつあることをご存じだろうか。シェアサイクルサービスの開始、シクロクロスのイベントの誕生に加え、東京五輪ロードレースのコースにもなっていたりする。稲城市も「自転車のまち」という言葉を掲げ、自転車好きにとって魅力的な街づくりを進めているのだ。

「自転車のまち」としてのシンボリックなイベントとして昨年9月に開催された「稲城クロス」 © Champion System Japan

サイクリストには馴染みの土地

 東京都稲城市。市の北端は多摩川が流れ、南は丘陵地帯があり、のどかな風景が広がるエリアだ。稲城市と聞いてピンとくる人がどれほどいるかわからないが、「尾根幹」という言葉なら反応は変わるはず。南多摩尾根幹線、通称“尾根幹”は適度なアップダウンが続く丘陵で、関東では有名な練習コースのひとつに数えられる。その尾根幹の発着点が稲城市だ。

 市内にはほかにも、ランド坂、ジャイアンツ坂と呼ばれる、京王よみうりランド駅から読売巨人軍の練習球場につながる坂道がサイクリストの練習コースとして利用されている。

 多くのサイクリストが訪れ、市内の幹線道路が東京五輪ロードレースのコースの一部に組み込まれた稲城市。丘陵地帯が多く、市民の移動手段として電動アシスト自転車もマッチする。意外にも自転車が深く関わるエリアであることに着目した稲城市は、今では「自転車のまち」を標榜するまでになっている。

稲城市の髙橋勝浩市長 Photo: Masahiro OSAWA

 髙橋勝浩市長によれば、2018年は「自転車のまち」にふさわしい、多くの出来事があったという。春に「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」へ稲城市が加入。「そこからトントン拍子にサービスやイベントが誕生していった」と髙橋市長は振り返る。

 同年9月にはシェアサイクルの「のりすけ」が市内でのサービスをスタート。市内ほか、隣接する府中市への移動など、自動車、電車を補完する移動手段として、市民に根付きつつあるという。さらにシェアサイクルは、来訪者に市内のスポットを複数個所巡り、回遊性を高める観光施策になる可能性があると髙橋市長は期待を寄せる。

 同じく9月には「自転車のまち」を象徴するイベントとして多摩川河川敷で「稲城クロス」も開催された。場所を確保するために、チャンピオンシステム・ジャパンの棈木亮二社長ならびに、髙橋勝浩市長は自らが京浜河川事務所にかけあうなど精力的に活動。手続きに少なくとも3年は覚悟すべきところを、数カ月の取り組みでのスピード開催が実現したという。

多摩川河川敷を舞台とする「稲城クロス」 © Champion System Japan

 この先も、東京五輪ロードレースが開催されたレガシーとして、市内にモニュメント設置の検討に加え、サイクリストが集まる「サイクルステーション」の設置も構想している。カフェやシャワーなどを備えた複合施設としてのサイクルステーションを残したい考えだ。

 加えて髙橋市長は「市内道路に自転車の安全な通行を促すための自転車ナビマークの設置などを継続していくほか、自転車走行時の走行マナーを周知する啓発活動などにも力を入れたい」とし、「自転車のまち」として走行環境の整備を進め、進化していきたいと話す。

「稲城クロス」の魅力とは

チャンピオンシステム・ジャパンの棈木亮二社長 Photo: Masahiro OSAWA

 「自転車のまち」稲城市で、目下、注目したいのは2月11日だ。この日は多摩川河川敷で第2回「稲城クロス」が開催される。シクロクロス東京が休止状態になったことで現状、東京都心部でのシクロクロスの開催は皆無であり、レースの面白さを知るには絶好の機会だろう。棈木氏は「1周2kmほどの周回コースで高低差もなく順位争いがわかりやすい。コースには階段もあり、そうした場所では応援のしがいもある。どのカテゴリーのレースを見ても面白いはず」と「稲城クロス」の魅力を語る。

 サブイベントにも注目だ。プロロードレースチームの東京ヴェントスの所属選手が講師となって小中高生を対象にスポーツサイクル講習会を行うほか、2月14日にちなんで男女がペアになり参加する「バレンタインレース」も開催される。バレンタインレースは順位は争わない。大勢の観客を前に愛の告白のプレゼンテーションを競うイベントになり、ほんわかとした雰囲気を楽しめそうだ。

 さらに安田大サーカスの団長安田さんがイベントMCとして会場を盛り上げてくれる。チャンピオンシステム・ジャパンが稲城市内で運営する「CROSS COFEEE」(クロスコーヒー)の出張サービスも行われたり、稲城市の特産品が販売されたりするなど、誰もが楽しめるだろう。

稲城発のサイクリングも魅力

アップダウンが続く尾根幹道路 Photo: Kyoko GOTO

 イベントは別にしても、サイクリストが集まり、東京五輪ロードレースのコースにも組み込まれている尾根幹線は一度は走ってみたい場所だ。適度なアップダウンが続き、その走りを例えるならば、ジェットコースターのような感覚だろうか。トレーニングとして使われるコースなので優しくはないが、爽快感のあるスピードで上って下るというロードバイクのシンプルな醍醐味を味わえる。

 尾根幹線発着点には、サイクリストの休憩場所として定着しつつあるクロスコーヒーがある。クロスコーヒーは、休日にもなればサイクリストで賑わい、店内で物品販売も行われていたり、日によってはイベントが行われていたりと、クロスコーヒーに行くこと自体を目的にしても十分に楽しめそうだ。

サイクリストの休憩場所として定借しつつある矢野口駅付近の「クロスコーヒー」 Photo: Kyoko Goto
クロスコーヒーでは様々なイベントが定期的に開催 Photo: Masahiro OSAWA

 今現在の稲城市だけを見ても、ロードバイクで走ってみるだけの魅力は大いにありそう。これから先も「自転車のまち」として進化していくことも考えると、サイクリストが注目しておきたいエリアのひとつになるのではないだろうか。

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