世界選手権2019、開幕直前インタビューシクロクロス日本代表・三船雅彦監督「果てしなく大きい世界との差、まずは同一周回完走」

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 UCIシクロクロス世界選手権大会が2月2日にデンマーク・ボーゲンセで開幕します。初日は女子エリート女子、男子ジュニア、男子U23が開催。2日目の女子U23、男子エリートを合わせ選手9人が世界に挑みます。若手中心の日本選手団を率いるのは世界選手権5度出場の三船雅彦監督。今回、満を持して日本代表監督に就任しました。世界の高い壁にどうやって挑むか、また今後の育成についても展望をインタビューしました。是非、夜の中継のお供にお読みください。(聞き手・Cyclist編集長・澤野健太)

現地で、小坂光(右)らと練習に出る三船雅彦監督 Photo: Masahiko MIFUNE

――今回、日本代表監督に就任した経緯を教えてください。

出発前に、成田空港で記念撮影 Ⓒ2019 JCF

三船監督:オファーに関しては現場レベルでは引退後ずっといただいていました。しかしずっとお断りをしていて…。シクロクロスを取り巻く環境も今シーズンからJCXシリーズが本格的に立ち上がり、競技としての部分を支えていく必要を感じ、私ができることとして今回強化面をお手伝いすることになり、シクロクロス小委員会のメンバーとして監督を引き受けさせていただきました。

――現役時代に5度、世界選手権にも出た経験も、監督として期待されていることだと思いますが、いかがでしょうか。

三船監督:他のロードやトラックなどに比べて、現場での経験はより重要で、今回も自転車を持参し選手と一緒にコースを走って検証しています。選手から「〇×の区間が難しい」と言われても、実際走ってみないと何がどう難しいのか、アドバイスのしようもありません。ベルギーなどは監督も一緒に走っているようですし。そういう意味で走ったデータを選手に伝えられるレベルにいる今は、現時点では適任と言えるのかもしれません。

2002年、ゾルダーでの世界選手権(本人提供)

――世界を見据えて。これまでの日本代表をどう変えたいでしょうか。

三船監督:近年完走すらままならないです。まずは最低でも完走、でないと数字を口にするのはおこがましいですね。シクロクロスはテクニックよりもまず走力が重要だと思います。自転車競技としての基本です。来年以降に向けて帰国後はしっかりとレベルを上げることをやっていってほしいですね。

2018年12月の全日本選手権ではマスターズで力走 Photo:Kenta SAWANO

――今までの監督との違いはなんでしょうか。

三船監督:今までの監督との違いは、元競技者としての経験であったり心構えの部分は(今までの監督より)確実に厳しいと思っていますが、逆に遠征に際して全体をコーディネートするということは弱いですね。今回の遠征でも日本側でのバックアップに小委員会メンバーそしてナショナルチーム内では総務として橋本氏が私の足りない部分を支えてくれ、助かっています。

――世界との差をどう感じていますか。

三船監督:世界との差は大きく果てしないです。シクロクロスで多額の賞金や契約金が動いている以上、当然本気でみんな取り組んでいます。日本ではシクロクロスで「飯を食うこと」は不可能です。そこをどう考えているのか、にもよりますが個々の意識の部分は重要です。

今大会で日本代表を率いる三船雅彦さん Photo: Kenta SAWANO

――今回の選手選考について、男子はエリートが1、ジュニア・U23が3人と多いですが、意向を教えてください。

三船監督:私個人的には、今のエリートは複数回の代表選出も、壁を越えていない。それは今後も越えられない可能性が高いと思っています。その分だけ将来に可能性をより感じる若い世代を代表に選んだ、と言うことです。

――女子メンバーに期待することは?

三船監督:今回の2人は個人的にも期待しています。エリート女子もアンダー23女子も世界的にはテクニカル面でいうと平均以上だと思います。ただライバルの女子選手たちはシーズンを通じて本場で戦っています。追い込まれた状況、コースの攻略であったりレースの戦術であったり。それを彼女らはアジャストすることを普通にするでしょうが、日本で走っているとなかなか瞬時に判断・修正する能力は育っていないと思っているので、まずは試走したり一緒に練習したりして、短い期間ですが成績に繋がるようにサポートしたいですね。両カテゴリーともトップ20に入ったとしても、正直驚きはしません。可能性は感じています。

――男子エリートは全日本優勝の前田公平選手でなく、小坂光選手になった選考理由を教えてください。

三船監督:ここは私が選考などの決定権を持つ以前に選考された部分なので明言できないですが、確か代表辞退だったと聞いています。全日本チャンピオンが走らないのは残念ですが、小坂選手が前田選手から大きく劣っているとは思いません。ロードの走力は十分ありますし経験もあります。コンディションによっては彼に差があるとは思っていません。コンディション次第では小坂選手にも期待しています。

現地は、2月2日の思想時には路面も雪で凍っているという Ⓒ2019 JCF

――今回のコースはどんなコースでしょうか? 走り方は?

三船監督:シクロクロスは天候などによってコンディションは読めません。ただよほど雨で重馬場にならなければ、というか重馬場になったとしても展開は速いのでは?と最近のシクロクロスレースから感じます。現時点(2月1日試走時)では土も凍っており、速いコースになると予想しています。

開幕を待つ、デンマーク・ボーゲンセの世界選手権会場 Ⓒ2019 JCF

――具体的な目標はありますか?

三船監督:大きな目標は掲げていません。私が監督になって1年目ですし(笑)来年につなげていきたいというのが私自身の目標ですが、やはりまずはトップと同一周回完走が最低目標としておきたいですね。その中で女子2人は少し欲を持っていますし、ジュニアやアンダー23が現状どの位置なのかは知りたいですね。

――選手に何を感じてほしいですか?

三船監督:競技として、チャンピオンスポーツとしての部分を今回のメンバーに伝えていき、来年度にも代表として戻ってきてもらえることを期待しますが、他の選手にももちろん這い上がってきてほしい。そのお手伝いは平等に行っていきたいと思います。

2019年シクロクロス世界選手権大会日本選手団

監督:三船雅彦(株式会社マッサエンタープライズ)
総務・メカニック:橋本剛(株式会社本田技術研究所)
メカニック:諏訪孝浩(BIKESHOP SNEL)
〔選手9名〕
男子エリート:小坂光 (宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)
男子U23:村上功太郎(松山工業高校)
男子U23:織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
男子U23:江越海玖也(弱虫ペダルサイクリングチーム)
男子ジュニア:小島大輝(SNEL CYCLOCROSS TEAM)
男子ジュニア:柳澤創(Team CHAINRING)
男子ジュニア:鈴木来人(伊那北高校/ボンシャンス)
女子エリート:今井美穂(CO2 BICYCLE)
女子U23:松本璃奈(TEAM SCOTT)

男子ジュニアライブ配信(2月2日19時開始)小島大輝、柳澤創、鈴木来人出場

男子U23ライブ配信(2月2日21時開始)村上功太郎、織田聖、江越海玖也出場

エリート女子ライブ配信(2月2日23時開始)今井美穂出場

女子U23ライブ配信(2月3日19時開始)松本璃奈出場

エリート男子ライブ配信(2月3日23時開始)

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