注目「バニーホップ解説動画」もシクロクロス王者の前田公平が教える、全自転車乗りが知っておきたい基礎トレーニングとその大切さ

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 シクロクロス日本チャンピオンの前田公平選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)が講師役として登場した贅沢なイベントが1月20日、東京都稲城市の多摩川河川敷で開催された。前田選手が教えてくれたのは、バニーホップの早期習得にも役立ち、シクロクロスのみならず自転車乗りなら誰もが学んでおきたい重要なことだった。

全日本チャンピオンジャージをまとった前田公平選手(左から6人目)と人気イベントに運よく参加できた12人のシクロクロッサー Photo: Masahiro OSAWA

滑る感覚もつかめる練習

 イベントを開催したのは、チャンピオンシステムジャパンが運営するカフェ「Cross Coffee」(クロスコーヒー)。少人数で前田選手から学べる機会とあって、告知開始からすぐに参加枠が埋まってしまった人気イベントとなった。

 稲城クロスの開催場所となる多摩川河川敷に当日集まったのは12名。参加者を前に、前田選手はまず「バイクを走らせて、狙った場所にピンポイントで自転車を止められますか」と切り出した。目印に向かって適度なスピードで自転車を走らせ、急ブレーキをかけて、狙ったポイントで一気に自転車を制止させられるかだ。

20メートルほど離れた場所から適度に加速し、後輪をロックさせずに狙ったポイントで制止させる Photo: Masahiro OSAWA

 前田選手によると、重心の位置と軸を理解するための練習であり、これができるとハイスピードのコーナーで慌ててブレーキをかけ、転倒するといったリスクが減るのだという。「レース中のコントロールの幅も格段に広がりますし、これ以上は滑るという感覚もわかるようになってきます。より攻める乗り方が可能になります。単純ですがいろいろな動作が含まれています」。

スタンディングはすべての基本

 次にトライしたのがスタンディング。自転車に乗り、ハンドルを左右のいずれかに切って、自転車を制止させる技術だ。これをマスターすることで、バイクの重心がどこにあるのかを認識できるようになるという。

 この重心をとらえる感覚は重要で、前田選手は自転車に乗るうえでのすべての基本と強調する。「バイクの重心を捉えて上半身が脱力できたら、路面からの不意な衝撃を受けても、その衝撃を体でいなすことができます。バイクコントロールが上手でほとんど転倒しないぺテル・サガン選手がいい例ですね」。

バイクコントロールが自在になることで不意のアクシデントにも反応できるようになるという Photo: Masahiro OSAWA

 この後、行われたスタンディング大会(4人1組で仕切られたエリアのなかで最後までスタンディングできた人が勝ち)では、前田選手も参戦。取材時には気づかなかったが、撮影写真を見ると明らかに受講者とは違うバランスのよさがわかる。偶然の一枚というわけではなく、どの写真を見ても美しさに変わりなく、重心を捉えた乗り方ができると、見かけの美しさも伴うのかもしれない。

スタンディングの上手な参加者と比べても格段に安定感を感じる前田選手のスタンディング Photo: Masahiro OSAWA

コーナーリングのコツ

 コーナーリングの練習も行った。前田選手は「リーン・ウィズ」「リーン・イン」がシクロクロスでよく使われると話す。リーン・ウィズは、コーナーリング時に車体と体の軸が一直線上になり、リーン・インは体がバイクの内側に入り込む曲がり方。とりわけ後者については、コーナーのきつい箇所、滑りやすい路面などで使われるという。

 前田選手がポイントとして挙げたのは「視線」。いずれもコーナーリング時に視線をコースの出口に向けることで、体が出口に向き、スムーズにコーナーリングがしやすくなるようだ。

 もうひとつは「スローイン・ファストアウト」。コーナーへはゆっくり進入し、コーナーリングでスピードを殺さずに、立ち上がりで無駄な力を使わずにいかにしてスピードを乗せられるかが重要になるという。

 コーナーが連続するようなセクションでも原則は同じ。原則どおりファストアウトを可能にするには、最初のコーナーへの進入角度を工夫することが必要になるとのことだった。

コーナー出口を視線で合わせることでコーナーリングはうまくいく Photo: Masahiro OSAWA

十八番のバニーホップを見せてもらう

 今回の講習会では、前田選手の十八番とも言えるバニーホップも見せてもらえた。バニーホップは、体重・重心移動を使って前輪・後輪を浮かせて障害物を乗り越える技のこと。シクロクロスにはシケインと呼ばれる障害物があり、バニーホップの使い手は国内でも数人しかいない。そのうちの一人が前田選手だ。

 バニーホップの原理について、前田選手は「重心移動で前輪を持ち上げる。後方に体重をのせてから前に伸び上がる。この2つの動作を連続してやっています」と話す。そもそも筆者自身、一度もできたことがないので、それが本当なのか確かめようがないのだが、初期動作となる前輪を浮かせようと思ってもできない。蹴り上げではなく、重心移動で前輪を浮かせようと思ってもできない。そのため、この日は学べたというより、見せてもらえたといったほうが実態に近い。

 ただし上達の道が皆無というわけではなく「華々しいテクニックの習得を一気に目指すよりも、基本スキルとなるスタンディングをマスターすることでバニーホップの上達スピード全く違ったものになります」という。

 今回、前田選手が「すべての道はローマに通ず」ならぬ「すべての道はスタンディングから」みたいなことを言っていたのが印象的だったが、スタンディングがすべての始まりだと聞けば、参加者たちの意識も変わろうというもの。参加者からは「今までテクニックやバニーホップのような技に目が行きがちでしたが、重心と軸といった基本を大切にしてもう一度基礎を考え直さないといけないと思いました」「スタンディングはできなくても問題ないかと思っていましたが、やらなければならないと思えるようになった」など、基本スキルの重要さを認識したようだった。

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