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栗村修の“輪”生相談<145>50代男性「妻にロードバイクを購入したのですが、いきなり立ちゴケしてしまいました」

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 自分がロードバイクに乗っているのを見て、妻が「自分も乗りたい」とエントリーモデルのロードバイクを購入したのですが、いざ納車になり乗ったところ、止まるときにどうすればいいかがわからず、いきなり立ちゴケしてしまいました。

 普段は通勤や買い物にママチャリに乗っていて、多少ポジションは違っても平気だと思っていたらしいのですが、漕ぎ出しもぎこちなく、とにかく止まるのにどうすればいいかが理解できないようです。

 自分からも何とか説明するのですが、うまく伝わらずこのままでは買ったばかりのロードバイクが可哀そうです。ぜひアドバイスをお願いします。

(50代男性)

 立ちごけ。それはロードバイク乗りにとって永遠の課題です。

 時に、股を開いた哀愁のポーズ。周囲の人の「えっ?何もないところで転ぶなんて、ちょっと大丈夫?」という、声をかけるにかけられない微妙な空気感。体はそれなりに痛いわけですが、心はもっと激しい痛みに耐えなければいけません。俺(私)、こんなばっちりウェアを着て高い自転車に乗っているのに、何をしているんだろう…?

 あのクリス・フルームやアレハンドロ・バルベルデだって、かつては立ちごけに泣いたことがあるに違いありません(もしかすると、2018年シーズン中にもやってしまったかもしれません…)。

 立ちごけネタについてはつい熱くなってしまう僕ですが、夫婦で自転車、いいですね。ただ、質問者さんが心配するのが奥様ではなく自転車である点が少しひっかかりますが…。

 今回のケースでは、奥様はビンディングペダルを使っていないように見受けられます。普通、立ちごけというとビンディングペダルの外し損ねが多いのですが、そうじゃないんですね。そもそも、しっかりと止まれないとのことです。

 思うに、要因の一つはサドルが高すぎることではないでしょうか。奥様はママチャリには乗れているのですから、自転車を扱う基本スキルはあるはずです。その奥様が、止まることもできないというのは、ママチャリとロードバイクのサドル高が大きく異なるからだと思います。

 ならば、ペダリングの効率はいったん忘れ、思いっきりサドルを下げてしまいましょう。サドルに座ったまま地面に両足が着くくらいです。格好悪いですが、最初はやむをえません。

発進と停止は思った以上に重要な「基本のキ」 Photo: Yuzuru SUNADA

 次に、走り出し方と止まり方を覚えましょう。まずは、トップチューブをまたいで立つことを教えてください。ママチャリとの大きな違いです。そして、片足をペダルに載せ、もう片足は地面にしっかりつけます。これが基本姿勢です。

 走り出すときには、ペダルに載せた側の足でペダルを踏みつつ、反対の足で地面を蹴ります。この2つの動作を同時に行わないとスピードが足りず転んでしまいます。実は、意外と難しいんですよ、走り出すのは。

 次に、止まり方。ポイントは、地面に着く足を決めておくことです。日本の場合、自転車の右側を自動車が通るので左足がいいと思いますが、そこは好みで問題ありません。ここでは、左足を着くものとして話を進めます。

 徐々に減速しつつ、左足をペダルから外します。地面に着く準備ですね。そして、スピードがゼロになると同時にお尻を前方へずらし、トップチューブをまたぐ形(走り出す時の姿勢)で左足を地面に着き、止まります。「同時」というのが重要です。スピードがあるうちに左足を着くとケガをしますし、スピードが完全にゼロになってから足を着こうと思っても転んでしまいます。

 サイクリストが何気なく行っている、「発車」「停車」も、改めて考えてみると複雑な動作なんです。そして、自転車と同じくらい、ではなかった、自転車以上に奥様を大事にしつつ、一緒に練習をされてみてはいかがでしょうか。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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