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づれづれイタリアーノ<番外・おしゃれ編>マルコの辛口ファッションチェック ワールドチームの2019年デザインは「無難な年に?」

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 2019年を迎え、地球の反対側、南半球でロードレースシーズンがスタートしました。そして今年もUCIワールドツアーチームのファッションチェックの時間がやってまいりました。今年もチームの再編成、選手移籍、新規スポンサーの参入等、自転車競技は他のスポーツにない楽しさと驚きに満ちています。毎年多くのチームがジャージデザインを一新しますので、どのようなデザインになるのか気になるファンも少なくないと思います。今年のトレンドは遊び心よりも安定感を求めるチームが多い一方で、挑戦してみたチームや依然として迷走し続けるチームもいます。ファッション性を採点しながら、ぜひ一緒に最新のジャージを見ていきたいと思います。

UCIワールドチームの2019年ジャージの採点やいかに? Photo: Yuzuru SUNADA

マルコのチェックポイント!

・カラーコーディネート(7:ベースカラー 2:メインカラー 1:アクセントカラー)の原則
・デザイン
・オリジナル性
合格ライン:100点満点中60点以上
※あくまでも個人的な意見ですので、笑いながらご覧ください。コメントもどしどしお寄せください!

合格点は10チーム

■100点満点:ベストドレッサーで賞

 白色やクジラのデザインといった評価し難い時期を経たチームスカイ(イギリス)ですが、2019年のファッションリーダーはこのチームに間違いありません。メインスポンサーが今年でチームを卒業するという悲しいニュースが流れたことで、誕生して以来トレードマークだったブラックが復活しました。しかし、ブラック一色だけでなく、濃いブルーを絶妙にフェードしながらオシャレ感は大幅アップ! 100点満点を超え、110点をあげたいぐらいです。2020年はどうなるか、目が離せないチームスカイです。

チーム スカイ Photo : Yuzuru SUNADA
ドゥクーニンク・クイックステップ Photo: Yuzuru SUNADA

■90点:抜群の安定感で賞

 今年もベルギーの強豪チーム、ドゥクーニンク・クイックステップが慣れ親しんだ安定感を発揮。昨年の評価は100点満点でしたが、減点の理由は、きれいに収まっていたスポンサーのロゴがジャージにはみ出し、すっきり感が少し失われたことです。しかし、素晴らしいジャージには変わりはありません。ビブパンツにブラックを採用していない数少ないチームの一つで、ずっと変えずにいてほしいものです。

■85点:元気ハツラツの紅組で賞!

 バーレーン・メリダ(バーレーン)とトレック・セガフレード(アメリカ)が今年も高評価チームにランクイン。昨年と比べてすっきり感が増し、申し分のないジャージになりました。バーレーン・メリダの胸にあったアラブチックな模様が消えたことでよりレーシーに。

バーレーン・メリダ Photo: Yuzuru SUNADA
トレック・セガフレード Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、トレック・セガフレードはブラックの割合が増し、モダーンヴィンテージなデザインになりました。気づいた人もいるかもしれませんが、バーレーン・メリダの背中のデザインが解体されたばかりのチームBMCを連想させます。ローハン・デニス、ダミアーノ・カルーゾ、ディラン・トゥーンスがBMCから移籍してきたことを歓迎しているかのように見えます。真相は気になりますが、とても良いデザインです。

■80点:ピレネー山脈に広がる青空で賞

 アスタナプロチーム(カザフスタン)とモヴィスターチーム(スペイン)の両チームは、今年も品の良いブルーを使用。とくにアスタナのデザインが昨年と比べて良くなりました。ビブに向かう黒いグラデーションをやめて、上下のカラーラインを分けることでデザインがスッキリしました。同じようなことをモヴィスターにもして欲しかったところですが、色のバランスが良いので高得点。目指せ100点!

アスタナプロチーム Photo: Yuzuru SUNADA
モヴィスターチーム Photo : Yuzuru SUNADA

■75点:スズメバチの群れで賞

 今年もチームユンボ・ヴィスマ(オランダ)は期待を裏切らない! 黒、黄色、以上! 胸元のデザインがよりスッキリし、チームを遠くから見るとスズメバチの群れを連想させます。グランツールでの優勝を諦め、ワンデーレースを得意とするローレンス・デプルスやミケ・テウニッセンなどを迎えたことで、他のチームを“鋭い針”で刺すことを目指しているのでしょう。見る者の目を引く、良いジャージです。

チームユンボ・ヴィスマ: Yuzuru SUNADA
EFエデュケーションファースト Photo: Yuzuru SUNADA

■70点:ヒッピーで賞!

 10点か高得点か! このチームの評価をどうするかをずいぶん悩みましたが、結果的に高得点を付けました。今シーズンのEFエデュケーションファースト(アメリカ)は、とにかく大胆!うねうねするピンクとパープルブルーの色彩感覚はまさに60年代後半から70年代にまで流行ったヒッピー文化、サイケデリックデザインを連想させます! この奇抜なデザインはきっと来年には見られないと思いますが、無難なジャージが多い中で抜群の注目度を集めることになるでしょう。教育機関がメインスポンサーであること考えると、勇気があって「ブラボー」です!

■65点:よだれ掛けで賞

 チームサンウェブ(ドイツ)、このチームは素晴らしい。いつも何かのネタを提供してくれます。トレードマークの白黒を捨て、初めて赤を全面的に導入。しかも赤を採用した他のチームと被らない。このカラーリングによって古くからのファンを二分化するかもしれない大事件ですが、個人的にとても良いと思います。ではなぜ65点なのでしょうか? 残念なことに首から胸まで伸びる2つの白いラインが、前傾姿勢になるとよだれ掛けにしか見えません。色を変える勇気があるなら、デザインにももう少し工夫が必要だったかもしれません。来年にさらなる期待が膨らみます!

チームサンウェブ Photo: Yuzuru SUNADA
AG2Rラモンディアル Photo: Yuzuru SUNADA

■60点:これでいいで賞

 昨年からメインスポンサーのカラーである茶色、白と水色の配置を大胆に変え、古ぼけた地方空港のカーペットの匂いが漂うデザインから、見事なバランスにたどり着いたAG2Rラモンディアル(フランス)。アースカラーはスポーツ界では滅多に見られない色使いですが、このチームの登場で「あり!」と思わせました。デザインを担当した人に脱帽。今年も合格点!

涙の“赤点”8チーム

 いよいよここから「不合格チーム」の禁断の領域に入ります。

■50点:自信がなさすぎで賞!

 白の面積を増したUAE・エミレーツ(UAE)とロット・ソーダル(ベルギー)、昨年と変化なしのグルパマ・FDJ(フランス)。2018年における成績不振からか、ジャージにそのやる気のなさが現れています。しかし、2019年は決して悪くないかもしれません。

UAE・エミレーツ Photo: Yuzuru SUNADA
ロット・ソーダル Photo: Yuzuru SUNADA
グルパマ・FDJ Photo: Yuzuru SUNADA

 グルパマ・FDJのキャプテーンであるティボ・ピノー(フランス)は昨年の最後のクラシックレース、イル・ロンバルディアにて見事な逆転劇で優勝を果たし、復活に向けて強い意思を見せてくれました。

 ロット・ソーダルに若手スプリンター、カレブ・ユアン(オーストラリア)が移籍したことや、UAE・エミレーツにもフェルナンド・ガビリアを始め、セバスチャン・モラノという強力なコロンビア人スプリンターが流れたりと、2019年はこの3チームにとってリベンジの年になるかもしれません。ということで、来年に向けてジャージももう少し頑張ってほしかったです。

■40点:何かが足りないで賞

 世界的に絶大な人気を誇る自転車界のファンタジスタ、ピーター・サガン(スロバキア)が所属しているボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)、イェーツ兄弟(イギリス)が暴れているミッチェルトン・スコット(オーストラリア)と、今年からプロコンチネンタルからUCIワールドツアーに昇格したCCC(ポーランド)。3チームとも素晴らしいチームなのに、なぜか面白みの欠片も見つけることができないジャージを発表しました。

ボーラ・ハンスグローエ Photo: Yuzuru SUNADA
ミッチェルトン・スコット Photo: Yuzuru SUNADA
CCC Photo: Yuzuru SUNADA

 ボーラ・ハンスグローエは相変わらず、『エヴァンゲリオン初号機』のデザインとSF映画『マトリックス』の色彩を足して2で割ったデザインを採用。ミッチェルトン・スコットもまた特徴のない黒と黄色を捨てずにいます。

 ワールドツアーの仲間入りをしたCCCのメインカラーはオレンジの使い方に期待しましたが、ジャージのオリジナリティーもデザイン性も期待を見事に裏切るものでした。オレンジといえば、かつてラボバンク(オランダ)というチームがありました。このチームのジャージの方がよっぽど記憶に残っています。

■30点:予算がなかったので賞

 BMCという素晴らしいメーカーが自転車の提供に踏み切り、ミハエル・ヴァルグエン(デンマーク)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)、ラスムス・ティラー(ノルウエー)、エンリコ・ガスパロット(イタリア)、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)など、どのチームも欲しがる強い選手が補強されたチームディメンションデータ(南アフリカ)。飛躍の年になりそうな同チームですが、まさかこれまでの中で一番特徴のないジャージを再利用するとは!

チームディメンションデータ Photo: Yuzuru SUNADA

 確かにキャプテンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)はキャリアの終盤に近づいていますが、チームが切り開こうとしている明るい未来はジャージには全く反映されていないように思います。手抜き感が一番ひどいチームです。

 「見た目より中身」は確かに重要ですが、素晴らしい選手を迎える予算があれば、ジャージにも少し注げばファンが増えるきっかけになるでしょう。ベースカラーであるグリーンをもっと生かせば、かつてのリクイガスジャージを超える良いデザインが生まれる可能性が十分にあります。この分だと合格点まで5年はかかりそうです。

■20点:どうしようもないで賞

チームカチューシャ・アルペシン Photo: Yuzuru SUNADA

 一体、チームカチューシャ・アルペシン(スイス)に何が起こったのでしょうか。水色に珊瑚レッド、昨年から使い始めたオリジナルでユニークなこの2色は、うまくいけばおしゃれ、一歩間違えればどうしようもないことになりかねません。残念ながら、今年はまさに後者です。

 デザイナー陣は何を考えたのかわかりませんが、淡い水色の面積を全面的に広げた結果、ビブショーツの珊瑚レッドと喧嘩し、例を見ない“痛ジャージ”になりました。ビブショーツも水色で、アクセントとしてレッドを配置すればよかったのに…。違和感で目立ちたい意図があるのであれば、大成功です。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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