サントス・ツアー・ダウンアンダー2019 第5ステージ20歳フィリプセンが優勝 先頭ゴールのユアンが危険行為で降格、首位ベヴィン落車の波乱

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 オーストラリアで開催のUCIワールドツアー今季初戦、サントス・ツアー・ダウンアンダーは1月19日、第5ステージが行われ、大集団でのスプリントで20歳のジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)がワールドツアー初勝利を挙げた。カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が先頭でゴールしたものの最終局面における危険行為で降格、また個人総合首位に付けるパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)が終盤に落車で負傷するなど、大会最終日を目前に波乱の一日となった。

プロ2年目の20歳、ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)がUCIワールドツアー初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

ベヴィンとインピーがボーナスタイム争い

 この日はグレネルグからストラトサルビンに至る149.5kmで行われた。レース前半の43.5km地点に2級山岳と、47kmと73.5km地点に2カ所のスプリントポイントが設けられる。沿岸部を多く走るコースレイアウトにより、強風がレースのスパイスとなった。

序盤の逃げグループ。山岳賞ジャージを着るリー(左)がこの日も山岳ポイントを加算した Photo: Yuzuru SUNADA

 序盤は、山岳賞ジャージを着るジェイソン・リー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア)ら3人の逃げが形成。一時はメイン集団から3分以上の差を得たものの、スプリントポイントでのボーナスタイムが欲しいミッチェルトン・スコットらが差を詰め始める。山岳ポイントを前にタイム差は10秒程度まで縮まったが、リーは辛うじて山岳ポイントを1位通過。この日も山岳賞トップを守り、すぐに集団へ吸収された。

 直後のスプリントポイントは、前日の区間優勝で一気に総合2位へと浮上した昨年の総合覇者、ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)がチームメートに引き連れられ先頭で通過。総合首位のベヴィンも2位に入り、失うタイム差を最小限にとどめた。

中間スプリントポイント争いは、ミッチェルトン・スコットが主導権を握った Photo: Yuzuru SUNADA

 ここから第2スプリントポイントまで、レースは集団で進行。こちらもミッチェルトン・スコットが先行してのスプリントとなったが、今度はベヴィンが先着し、2番手インピーの順。ベヴィンとインピーの差は結局7秒とスタート前と変わらず、一方で2人とも、ここまでボーナスタイムを得ていない総合4位以下の選手とのタイム差を広げることに成功した。

後半アタックしたラダニュは、この日の敢闘賞を獲得 Photo: Yuzuru SUNADA

 直後、集団からマチュー・ラダニュ(フランス、グルパマ・エフデジ)がアタック。これにアイデン・トゥーヴィー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア)が合流し、レースは仕切り直しの様相。集団は2人に3分半の差を容認したところで、ゴールスプリントを狙うチームによるコントロールへと移った。

残り10kmでリーダージャージが落車

 集団の様子が変わったのは、残り距離が50kmを切ってから。横風での攻撃を狙うチームが集団前方でペースを上げ、残り35kmで逃げの2人はあえなく吸収された。横風区間では断続的に攻撃が発生。しかし集団の分断は起こるものの完全な破壊には至らず、大人数のメイン集団に戻ってレースは終盤を迎えた。

うねるようなアップダウンを進む集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 大波乱の幕開けとなったのは、残り約10km。集団前方で落車が発生し、ここで総合首位のベヴィンが地面に叩きつけられた。右半身の手脚から出血し、リーダージャージは背中に大きな穴が空いてしまう。チームメートに抱きかかえられて立ち上がったベヴィンは、何とかスペアバイクに跨がって再スタートを切った。

総合リーダージャージを着るベヴィン。レース終盤までは盤石の走りを見せていたが… Photo: Yuzuru SUNADA

 集団では総合首位のベヴィンのアクシデントとあって、一瞬これを待つ動きも見られたが、レースがほぼ最終局面となっていることから、スプリントを狙うドゥクーニンク・クイックステップらがペースアップを開始。総合リーダーを待たずに“レース再開”となった。

 ベヴィンはチームメートのアシストとチームカーの隊列を使って猛追。何とかゴールまで残り3kmで集団最後尾に追い付くと、本来はチームのエーススプリンターであるヤクブ・マレツェコ(イタリア、CCCチーム)の牽引で集団前方へと引き上げられていった。

ユアンが絶妙のスプリントも降格

 残り1kmを切って集団はスプリントに向けての最終局面。直角コーナーが続く難しいレイアウトで、今大会第1ステージ優勝のエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が、最終アシストのファビオ・サバティーニ(イタリア)の先導で3番手と絶好の位置に付けた。その後ろを第3ステージ優勝のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が取り、虎視眈々とスプリントの瞬間を待ち構える。

 最終コーナーでは、サガンの後ろの位置取り争いが激しくなった。後方からサガンの直後を確保しようとするユアンと、下がりながらサガンの後ろに入ろうとしたフィリプセンとが交錯。ここはユアンがフィリプセンに体と頭を何度も当ててフィリプセンを押し出し、サガンの直後を取ることに成功した。

 最後の直線は若干の下り基調から、緩やかに少し上ってのゴールとなる。ヴィヴィアーニがサバティーニの後方で発射のタイミングを計る中、ユアンが早いタイミングで下りを使い一気の加速を見せた。サバティーニの後ろで一瞬スペースを失ったヴィヴィアーニは加速のタイミングが遅れて失速してしまう。サガンが捲りにかかるが、絶妙のタイミングで加速したユアンの勢いが優り、ユアンが先頭でゴール。ユアンの直後から追い込んだフィリプセンが2番手、サガンが3番手となった。

絶妙のスプリントを見せたユアン(左から2人目)が先着したが、危険行為による降格で、フィリプセン(左端)が優勝に Photo: Yuzuru SUNADA

 ワールドツアー今季初勝利を射止めたかに見えたユアン。しかし最終コーナーでのフィリプセンへの体当たりが、やはり審議対象となった。結局ユアンは危険行為により、集団最後尾の区間83位へと降格。フィリプセンが繰り上がりで優勝となった。プロ2年目のフィリプセンは弱冠20歳。ビッグネームに混じりながら一歩も引かず、ワールドチーム所属1年目のシーズン初戦で、大金星となるワールドツアー初勝利を挙げた。

 日本から唯一出場の新城幸也(バーレーン・メリダ)は、チームメートの位置取りなどアシストをこなしながら、タイム差なしの区間72位でゴールした。

大波乱の一日から大会はクライマックスへ

 落車で満身創痍のベヴィンは、先頭とタイム差なしの区間43位でフィニッシュ。ゴール後は精根尽きた様子で地面にうずくまった。立ち上がってからも右脇腹を押さえ、表彰式を待たずに検査のため救急車で病院へと直行。個人総合とスプリント賞で総合首位を守ったベヴィンだが、最終日を目前に暗雲が立ちこめた。

新城幸也はこの日もアシストの仕事をこなしながら集団ゴール Photo: Yuzuru SUNADA

 翌1月20日は最終日となる第6ステージが行われる。マクラーレンヴェイルからウィランガヒルに至る151.5kmは、ダウンアンダー名物のウィランガヒル山頂フィニッシュとなるクイーンステージ。上りの距離は3kmと短いながらも破壊力は抜群で、過去5年でリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)が5連覇中だ。現在26秒差の総合17位に付けるポートの走りはもちろんのこと、ベヴィン、インピーら上位勢が、ここまで蓄えたタイム差を守り切れるかが焦点となる。

第5ステージ結果
1 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ) 3時間37分0秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
4 イェンス・デブシェール(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
5 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
6 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ)
7 セース・ボル(オランダ、チーム サンウェブ)
8 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
9 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ)
10 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アスタナ プロチーム)
72 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)

個人総合
1 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) 17時間0分25秒
2 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) +7秒
3 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム) +16秒
4 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) +26秒
5 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)
6 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)
7 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)
8 クリストファー・ハミルトン(オーストラリア、チーム サンウェブ)
9 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ)
10 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)
47 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +3分26秒

スプリント賞
1 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム) 56 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 50 pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 45 pts

山岳賞
1 ジェイソン・リー(オーストラリア、ユニサ・オーストラリア) 30 pts
2 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) 16 pts
3 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ プロチーム) 14 pts

新人賞
1 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) 17時間0分51秒
2 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) +0秒
3 クリストファー・ハミルトン(オーストラリア、チーム サンウェブ)

チーム総合
1 UAE・チームエミレーツ 51時間2分33秒
2 ミッチェルトン・スコット +28秒
3 バーレーン・メリダ

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