緊急開催!5人それぞれの主張とはCyclist編集部が真冬の防寒対策会議 極寒を乗り切る個人的「マストアイテム」はこれだ!

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 寒さのどん底2月を直前に控え、日に日に厳しさを増す寒さ。こう追い打ちをかけられてはさすがの(?)『Cyclist』編集部もライドの出足が鈍ります。そんな寒さに耐えかねた編集部員が放った「防寒対策どうしてる?」の一言で各人の主張が白熱。「寒い」と一口にいっても耐性や弱点はそれぞれだということが判明しました。そもそも走り方が違えば対策も変わってくるもの。ということで、各編集部員が「これは譲れない!」という冬のマストアイテムを語ってみました。皆さんはどのタイプでしょうか?「わかる!」とか「そりゃないよ」などと突っ込みつつ、春までのラスト1カ月を乗り切る防寒対策の参考になれば幸いです。

『Cyclist』編集部が防寒対策会議を急遽開催!(写真左から大澤昌弘、後藤恭子、松尾修作、澤野健太、石川海璃) Photo: Yusuke KOYAMA

末端対策の“裏技”披露

 トップを切るのは編集部のエース、松尾修作。元選手で、記者になった現在も公私ともに走り込み、その努力は冬の寒さも関係ない。高強度のトレーニングをこなすため、走り出しから軽装。0℃を切るような早朝でもレイヤリングはウィンドブレーカーを含め3枚。走り始めて数分後には体が温まるため、アンダーウェアと冬用のジャージの2枚になる。

トレーニングがメインの松尾修作。基本的に調整可能なアイテムを選ぶ傾向あり Photo :Kenta SAWANO

 しかし、冬でも熱い男にも弱点はある。坂のないサイクリングロードを練習コースとしているため、発熱が弱い手首や足先は道具に頼るしかない。

 そんな松尾が「これだけは譲れない」というアイテムはグローブ。ミトンが手の甲の部分に格納されているグローブで、防風性のある生地をフルフィンガーの上から二重にかぶせることによって温かい空気の層を作り出す。こまかなギヤの操作を要する場合は人さし指だけを出すなど臨機応変に対応する。袖からの冷気の侵入を防ぐ、手首まで覆える長さも彼とっては絶妙なのだそう。

手の甲に格納されているミトンをかぶせた状態。人指し指は必要に応じて出し入れ Photo :Kenta SAWANO
破れた箇所を縫いながら7年間使い続けているビエンメのアンダーウェア。「縫えなくなるまで使います」 Photo: Kyoko GOTO

 その他に足先対策としてシューズのインソールの下にアルミホイルを敷き、ベンチレーションをガムテープでふさぎ、その上からシューズカバーをかぶせるという「プロ選手直伝の工夫」も取り入れている。アンダーウェアも7年間愛用し続けているというボロボロの「ビエンメ」をいまだに着用。「見た目はひどいけれど、中はホット。機能性が保たれていればいいんです」と、目的のためなら些細なことにこだわらない松尾らしい対策を披露した。

防寒対策の肝は防風素材

 続いては編集部の紅一点、後藤恭子。寒さにめっぽう弱いが、「寒さに耐えた挙げ句の風呂ビールを美味しくするためがんばる」というモチベーションの持ち主。ときに「温泉ライド」と称して、凍結していなければ峠を含むロングライドにも出かけるため、一日中寒暖の繰り返しにさらされる乗り方をする。

後藤恭子のマストアイテムは「冬ウェア革命」を起こしたというゴアテックスの防風素材「ウィンドストッパー」 Photo: Kenta SAWANO

 そんな後藤のマストアイテムは前面に防風素材を施したビブだ。防風素材を使ったレーパンは各ブランドが取り扱っているが、愛用するのは「GORE-TEX」ブランドの防風素材「ウィンドストッパー」。後藤曰く「防風素材があるとないとでは、下半身に“盾”があるかないかほどの違い」だそうで、とくにダウンヒル時はつくづく「これがなかったら死んでた」と感じるほどだそう。背面は透湿性のある生地を採用しており、ヒルクライムでかいた汗も素早く逃がすので、その次に来るダウンヒルでも寒風による汗冷えを回避できる。

雨だけでなく風もしのいでくれるゴアアイテム。後藤曰く「アウトドアの相棒」 Photo: Kenta SAWANO
素材の硬さをチェック。少々ごわつき感があるのは否めないが、防風性には換えられない Photo: Shusaku MATSUO

 「これを着用するようになって、防風素材がいかに体感温度を左右するのかを痛感しました。冬はこのビブが脱げません」と、近年の冬のレーパンはこれ一択になっているという。ちなみにビブでありながら上下パーツの切り離しができるタイプの設計になっており、トイレ使用時も個室で上着を“全脱ぎ”する必要がないので女性には大変助かるのだそうだ。

ニット帽の可能性を引き出したヘルメット技

 3番手は編集長の澤野健太。プライベートではオフロード志向のサイクリストで、冬をメインステージとするシクロクロスをこよなく愛し、その“修行”の様子を記事にしてしまうほどだ。

 ほぼ脂肪のない肉体で、さぞかし冬は辛かろうと思っていたが、比較的温暖で、アップダウンを繰り返す三浦半島近郊をホームグランドとする彼は‟自己発熱”に事欠かないのだそう。

 そんな彼の弱点は末端、とりわけ頭部だという。その対策として取り出したるは、まさかのポンポン付ニット帽。生年月日が同じ仲良しサイクリストの友人から誕生日プレゼントでもらってから愛用している「ラファ・NOBEYAMA『泥』ニットキャップ」だそう。「それでヘルメットかぶれるんですか?」と心配する周囲に、澤野は驚きのかぶり方を披露した。

ヘルメット装着前 Photo: Masahiro OSAWA
装着後。目から鱗なポンポンの処理 Photo: Masahiro OSAWA

 休日の早朝、急いでヘルメットを着用しようとしたときに、いつもの防寒用サイクルキャップが見当たらず、急いでお気に入りのポンポン付ニット帽をかぶっていたことがきっかけ。むりやりヘルメットをかぶったときにポンポンがヘルメットの後方からプリっとはみ出て、以来、このスタイルを採用している。「どんな形のキャップでもイケる」というニット帽の可能性を見出した事例だが、澤野曰く、子供からは「恥ずかしいからやめて」と不評なのだそう。

「寒いより暑い方がマシ!」

 そして「日本の冬が耐えられない!」と、驚異の「4枚重ね」をカミングアウトした大澤昌弘。日頃から寒さの耐性がなく、11月から早々ともこもこダウンを着込み、テンション低く出社してきた筋金入りの寒がりだ。

こんがり肌がは見掛け倒し!な寒がり代表、大澤昌弘。冬山登山用の目出し帽も愛用 Photo: Shusaku MATSUO

 そんな彼は推して知るべし「ズイフター」(ズイフトを愛する人の俗称、とのこと)。バーチャルの世界で月間平均500kmを走る、こんがり日焼け肌の理由がわからないサイクリストだ。そんな彼でも外を走るときがあるようだが、とにかく「走り始めに寒いのが耐えられない」そうで、アンダーウェア+半袖ジャージ+長袖ジャージの上に、さらに厚手のウィンタージャケットを羽織るという。しかも、このスタイルで普通に120km、3000m獲得レベルのライドをしてしまう。これは間違いなく暑い。

フロントを全開にし、汗を逃がしながら漕ぐ様子を再現 Photo: Shusaku MATSUO

 その場合は暑さに応じて1枚ずつフロントのファスナーを下ろし、最終的には全てのウェアのフロントを全開にし、ウェア内の熱を逃がしながら走るのだそう。大澤曰く、「後悔することもある。しかし、僕にとっては寒さのストレスよりも暑くてつらい方がマシなんです」─。

 それも価値観。しかし、冬に大量の汗をかくことは運動を止めたときに急速に体温が奪われる「汗冷え」を引き起こすので、あまりおすすめはできない。心を強くもって「寒い」くらいで出かけ、自分の発熱で適温にすることに慣れるのをおすすめする。

 なお、防風対策をめぐってはアウターの1枚手前に薄いウィンドブレーカーを挟むというアイデアも出た。暖かい空気の層(デッドエア)を作ることで外界からの冷気をシャットダウンするという考えで、理にはかなっている。ウィンドブレーカーなら着脱の処理も簡単なので、厚い生地を重ね着する前に試してみる価値はありそうだ。

防寒対策は筋肉

 そして最後はインターハイの出場経験をもつ、アシスタントの石川海璃(かいり)。練習のし過ぎで燃え尽き、ガシガシ走ることに疲れてしまった“ブランク”レーサー(少し走ることを休んでいる)だ。しかし、いまでも自転車のことは大好きで、忘れたいけど離れられない恋人のように自転車と日々向き合っている。

選手をやめて初めて購入した唯一の冬用レーパンを握りしめる石川海璃 Photo: Kenta SAWANO

 そんな石川が冬用のアイテムとして持ち出したのは、冬用のレーパン。何の変哲もないレーパンに周囲が理由を問うと「これしか持っていない」という答えが返ってきた。石川曰く「選手時代は冬でも夏用のジャージに長袖のアンダーウェアやレッグウォーマー等を足して走っていました」とのこと。つまり高い練習強度で鍛えあげた筋肉が素早く発熱するため、冬用ウェアなど必要なかったというのだ。

 「練習をやめて、一人で自由に乗るようになってから冬って寒いと気づきました」と、初めて購入した冬用レーパンを握りしめる彼の姿に、防寒対策にはウェアだけでなく自分自身の筋肉も重要であることを痛感させられた。これまであれこれ防寒アイテムを披露してきた先輩編集部員一同に、どことなく反省ムードが漂った─。

◇         ◇

 とはいえ、「暖かく走りたければ筋肉量を増やそう!」などと乱暴なことはいいません。乗り方も乗る場所も、走る強度も汗のかきかたも、弱点も人それぞれ。色々なアイデアを取り入れながらあれこれ試し、自分に合った防寒対策を見つけて残りの冬を乗り切ってください!

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