日本勢では新城幸也が参戦リッチー・ポートのウィランガヒル6連覇なるか? ツアー・ダウンアンダー有力・注目選手プレビュー

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 2019年シーズンのUCIワールドツアー開幕戦となるサントス・ツアー・ダウンアンダーが、1月15日に開幕する。スプリンター、ルーラー、パンチャー、クライマーいずれの脚質の選手にも総合優勝のチャンスがあり、毎年のように僅差の総合争いが繰り広げられる。また、平坦ステージが多く、スプリンターに活躍の機会が多く訪れる。今回は総合優勝候補とスプリンターの有力選手や注目選手を紹介していく。

左からリッチー・ポート、ダリル・インピー、カレブ・ユアン Photo : Yuzuru SUNADA

秒差で争われるオレンジのリーダージャージ

 かつてはスプリンターが総合優勝を飾ることも多かったが、近年は上りを含むコースレイアウトが増えてきたこともあり、ピュアスプリンターによる総合優勝は2010年のアンドレ・グライペル(ドイツ)を最後に誕生していない。

 今年で21回目の開催となるが、オーストラリア人選手による総合優勝は11回と地元選手が有利な傾向にある。というのも、ダウンアンダーの1週間前にはオーストラリア選手権が開催されるため、オーストラリア人選手の仕上がりが良いことが理由の一つである。ニュージーランドも同様に1週間前に国内選手権があり、仕上がりが良いと思われる。

昨年総合優勝を飾ったダリル・インピー Photo : Yuzuru SUNADA

 総合リーダーはオレンジ色(オークル)のジャージを着用することができる。2015年は総合1位と2位のタイム差が2秒、2016年は9秒、2018年はタイム差なしと超接戦になりやすい。鍵を握るのはボーナスタイムの存在だ。各ステージとも1位10秒、2位6秒、3位4秒のタイムが与えられるため、スプリンター系の選手は苦手な山岳以外のステージでいかにボーナスタイムを稼ぐかが総合優勝するために必要不可欠となっている。

 総合争いにおける有力選手を4人紹介したいと思う。

●ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)

【過去5年の戦績】
・2014年総合7位
・2015年総合7位、ポイント賞
・2016年総合44位
・2017年総合42位
・2018年総合優勝

 昨年はステージ2位が3回とコンスタントに12秒タイムを稼ぎ、ウィランガヒルでは優勝したポートと8秒差の2位となり差し引き12秒を失った。結果的にタイム差なしとなり、トータルのステージ順位が良かったインピーが総合優勝を飾った。

 2016〜2017年はカレブ・ユアン(オーストラリア)のためのスプリントトレイン要員として起用されたこともあって総合争いには絡めなかったが、それ以外の年では一桁順位で完走している。

 スプリンター系の脚質を持ちながら、パンチャーのように短い上りに対応できることから、今年も有力候補の一人だといえよう。また、チームメイトのマシュー・ヘイマン(オーストラリア)はダウンアンダーを持って現役引退となる。20年にわたる現役生活の最後に華を飾るためにも、インピーは総合優勝をもって応えたいところだろう。

 チャンスとなるのは第3、第4ステージ。ピュアスプリンターにとって厳しいステージであるため、インピーは持ち前のスプリント力でステージ上位に食い込みボーナスタイムを稼ぎたいところだ。

●リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)

【過去5年の戦績】
・2014年総合4位、ステージ1勝
・2015年総合2位、ステージ1勝
・2016年総合2位、ステージ1勝
・2017年総合優勝、ステージ2勝
・2018年総合2位、ステージ1勝

 ウィランガヒルへフィニッシュするクイーンステージを、ポートは2014年から5連覇中。一度腰を上げたら、ほとんどシッティングを挟まずに、ダンシングで駆け上がるヒルクライムが最大の武器だ。例年、山頂まで残り1〜1.5kmほどのポイントでアタックを仕掛け、いずれの年も独走でフィニッシュしている。2017年に至ってはわずか1.5kmの上り区間で後続に20秒差をつけて勝利した。

2018年第5ステージにて、ウィランガヒル5連覇を成し遂げたリッチー・ポート Photo : Yuzuru SUNADA

 しかし、ダウンアンダー総合優勝は2017年の1度のみ。その年はウィランガヒル以外に山頂フィニッシュのステージがもう一つあり、そこで2位以下に16秒もの差をつけてステージ優勝したことが大きかった。

 今年は山頂フィニッシュは1ステージのみ。総合優勝するためには、最後のウィランガヒルで圧倒的大差で勝ち切るほどの猛烈な走りが必要となるだろう。

●ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)

【過去5年の戦績】
・2014年総合3位、ステージ1勝
・2015年出場なし
・2016年総合11位
・2017年総合5位
・2018年総合4位

 UAE・チームエミレーツは2月のUAEツアー(昨年までのアブダビツアーとドバイツアー)に向けて、シーズン当初からコンディションを上げていく傾向にあるため、ウリッシもダウンアンダーでは良い状態で臨んでくるものと思われる。

 上りスプリントや、アップダウンの多い丘陵コースを得意としており、第3、第4、第6ステージはウリッシ向きだ。ステージ勝利をあげることができれば、総合優勝も見えてくるだろう。

●マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)

【過去5年の戦績】
・2014〜2015年出場なし
・2016年総合5位
・2017年総合21位
・2018年出場なし

ラファの新ジャージを着用するマイケル・ウッズ Photo : Yuzuru SUNADA

 29歳と遅咲きでプロになったウッズの初陣は、2016年のダウンアンダーだった。第5ステージのウィランガヒルの山頂フィニッシュでステージ3位と健闘。最終的に総合5位と上々のプロデビューを飾った。

 また昨シーズンはブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージの激坂山頂フィニッシュのコースで勝利、獲得標高4700m越えの世界選手権ロードで3位になるなど、年々登坂力が向上している。

 ラファの新ジャージお披露目レースということもあって、チームやスポンサーとしては今大会に挑むモチベーションも高そうに見える。ジャージをアピールするためにも、ウッズをエースに据えて表彰台獲得を狙う。

大会通算7勝ユアンの新チームにフィットするか

 例年3ステージから4ステージはピュアスプリンター向きのコースレイアウトになっている。今年は第1、第2、第3、第5ステージが集団スプリントの可能性が高いステージである。第3ステージは獲得標高が3000mを越えるような激しいアップダウンを含むため、上りに強いスプリンターでなければ生き残ることは難しいかもしれない。

 ステージ優勝を狙う有力スプリンターを3人紹介したいと思う。

●カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)

【過去5年の戦績】
・2014年第1ステージ95位
・2015年出場なし
・2016年ステージ2勝
・2017年ステージ4勝、ポイント賞
・2018年ステージ1勝

移籍先での活躍が期待されるカレブ・ユアン Photo : Yuzuru SUNADA

 今季からロット・スーダルに移籍したユアンは、出場選手中最多となるダウンアンダー通算7勝の記録を持つ。2017年はスプリントステージ全制覇と向かうところ敵なしといった走りを見せていた。昨年は第2ステージでピュアスプリンターが苦しむ上りスプリントを制したように、小柄な体格を生かしてある程度の上りなら対応できることも特徴のひとつだ。

 ミッチェルトン・スコット時代にユアンのリードアウトを務めていたロジャー・クルーゲ(ドイツ)も一緒に移籍し、今大会にはユアンのためのスプリントチームといった布陣で挑む。新ロット・スーダルトレインとの連携に注目したい。

●エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)

【過去5年の戦績】
・2014年第4ステージ3位
・2015〜2017年出場なし
・2018年ステージ1勝

 昨シーズンは年間18勝と勝ちまくったヴィヴィアーニのシーズン最初の勝利はダウンアンダー第3ステージだった。最終発射台を務める相棒のファビオ・サバティーニ(イタリア)に、強力なけん引が魅力のミケル・モルコフ(デンマーク)も参戦。最強トレインは今年も健在だ。

 ヴィヴィアーニやトレインの出来はともかく、ライバルチームがクイックステップにどう対抗するかも合わせて注目したいところだ。

●ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

【過去5年の戦績】
・2014〜2016年出場なし
・2017年ステージ2位3回
・2018年ステージ1勝、ポイント賞

チームメイトとサッカーゲームに興じるペテル・サガン Photo : Yuzuru SUNADA

 9年前、当時19歳の若者がいきなりステージ上位に食い込む活躍を見せたこともあって、サガンはダウンアンダーと相性が良いイメージがあるかもしれないが、意外にも昨年第4ステージでの勝利がダウンアンダー初勝利だった。例年、シーズン序盤はスローペースで調整を進めることが多いが、それでもサガンならば間違いなく有力選手の一人だといえよう。

 第3、第4ステージのような起伏の多いステージでの走りに注目したい。

新城幸也の上位進出に期待

 注目選手として、日本から唯一参戦の新城幸也はもちろん、日本に縁のある選手を紹介したいと思う。

●クリス・ハーパー(オーストラリア、ユニサ オーストラリア)

初出場

 24歳のハーパーは、昨年のツアー・オブ・ジャパンで総合4位となり、新人賞を獲得した選手だ。伊豆ステージでは2年連続で逃げ切ってステージ2位に入った、逃げ足と登坂力が魅力の選手だ。

 TOJで活躍して、その後ダウンアンダーで名を挙げたオージーというと、2008年TOJ総合優勝を飾り、2011年ダウンアンダー総合優勝を飾ったキャメロン・マイヤー(ミッチェルトン・スコット)、2010年TOJでステージ1勝&総合4位となり、2011年ダウンアンダーでステージ1勝をあげたマイケル・マシューズ(チームサンウェブ)らが思い浮かぶ。

 ちなみに、同チームではマイケル・ポッター(オーストラリア)も2018年ツール・ド・とちぎ総合優勝と日本に縁のある選手だ。オーストラリアの次世代のスター候補として、その走りに注目だ。

●新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)

【過去5年の戦績】
・2014年総合56位
・2015〜2016年出場なし
・2017年総合70位
・2018年総合43位

 2009年にBboxブイグテレコムでプロデビューを飾ってから10年。プロ11年目となるシーズンは、3年連続の参戦となるダウンアンダーで開幕を迎える。

12日のチームプレゼンテーションでの新城幸也 Photo : Yuzuru SUNADA

 総合エースのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)、スプリンターのフィル・バウハウス(ドイツ)、2015年総合優勝のローハン・デニス(オーストラリア)らを擁するチームにおいて、山岳・平坦どちらの場面でも仕事できる新城の存在は重要だ。レース終盤の位置取り争いで集団の先頭を引く新城の姿を見ることができるかもしれない。

 だが、願わくばステージ優勝を狙った走りを見たい。東京オリンピック2020に向けて重要な一年と位置づけているように、UCIポイントの獲得も狙いたいところだ。ワールドツアーのダウンアンダーでは総合60位までポイントを獲得できる。総合21〜30位であれば20ポイントを獲得でき、UCI 1クラスのツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝した際のポイントと同等である。新城のステージ順位、総合成績にも注目していきたい。

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