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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<21>観光大国ウズベキスタン 旅サイクリストにはちょっとキツい“独特のルール”

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 「サマルカンド」という街の名前を聞いた時から、「なんて素敵な名前の町があるのだろう」とずっと憧れていた。モスクには「サマルカンドブルー」と呼ばれる中国の陶磁器とペルシャの顔料が出合って出来たというとても美しい青いタイルと、細かい彫刻が施された柱が融合し、暑い砂漠にいることを忘れてしまうくらい涼しげな青の世界に引き込まれた。そして僕がこの国の人の良さに驚いたのは、自転車で走っている時ではなく、街で観光している時のバスの中だった。

レギスタン広場はサマルカンドの象徴的な広場だ Photo: Gaku HIRUMA

シルクロード時代にタイムスリップ

 老人や体の不自由な人に席を譲ったり、介助してあげる国は他にもあったが、この国では女性にもとても優しい。バスでは自分より少しでも歳が上の人だと思ったらすぐに席を譲り、男性は女性にもスマートに席を譲っていた。

細かいタイルと彫刻の美しさは見るものを圧倒する Photo: Gaku HIRUMA

 それが日常風景で、大丈夫だからと断ることもなく、席を譲られた人も自分より不自由だと思う人がいたら、すぐに席を譲っていた。

 そんなバスの光景は衝撃的で、世界中でこのウズベキスタンでしか見たことのない風景だった。僕も乗ってきた40歳くらいの女性に席を譲ると「ありがとう」と微笑まれ、それだけでウズベキスタンが大好きな国になった。

真夏はとても暑く、商店の日陰に逃げ込む Photo: Gaku HIRUMA

 中央アジアのウズベキスタンは自転車旅にもバックパックでの短期旅行にもお薦めの国だ。シルクロード時代の面影が残るというよりも、その時代に取り残されてしまったかのような錯覚に陥る風光明媚な観光地と、買って帰りたいお土産も充実していた。真夏はとても暑いが乾燥しているので、木陰に入って涼みながら食べるスイカは最高だった。

「滞在登録」のため安宿・野宿を断念

 そんなウズベキスタンも走行にはいくつか注意が必要だ。それはウズベキスタンの入国時から始まる。中央アジアは比較的入国管理が厳しく、ウズベキスタンも例にもれず荷物を全て開けてチェックされる。麻薬・拳銃などの危険物はもちろん、危険人物ではないかを確認するため、カメラのデータをはじめPCやハードディスクの中身も事細かにチェックされる。

土産屋には細かい柄の絵皿が並ぶ Photo: Gaku HIRUMA

 さらに独特なのは、公共秩序を乱すとしてポルノ雑誌やポルノ動画も持ち込み禁止ということだ。こんな時代にそんなことをする意味あるのか、という疑問をよそに、とにかく事細かにチェックが入る。日本語で解らないだろうが、PC上にあるファイルまでランダムにクリックしてチェックされるので驚きだった。

 次にやっかいなのは、「レギストラーツィア」(以下レギ)と呼ばれる外国人用の「滞在登録」をしなければならないということ。といっても登録は宿側がやってくれて、渡されるレシートのようなレギを持っているだけで大丈夫なので面倒なことはなく、観光地を周る限り問題ない。

 しかし、自転車旅の道中で利用するような地方の安宿などでは、そもそも外国人の宿泊が考えられていないため、このレギが出ない宿もある。レギがない場合の罰金は10万円以上。野宿がメインの自転車旅にはかなりやっかいなルールであるし、レギのルールに基づいて宿に泊まってもレギがないとは本当に深刻な問題だ。

レギストラーツィアの為に、野宿をせずに宿を繋ぐ Photo: Gaku HIRUMA

 仕方なくウベキスタンでは野宿はせずにレギの出る宿で繋ぐことにした。やむを得ず友人宅などに泊まる場合は最寄りの警察署に出向き、滞在登録をしなければならないらしいが、その手間を考えるとやはりホテルに泊まった方が賢明だ。

 ところが、懸命に集めたレギだが、国境の出国審査ではレギストラーツィアの「レ」の字すらも出ることはなく、チェックされないまま出国できて拍子抜けした。

厳しいパスポート携帯義務

 最後はパスポートの携帯義務が他の国より厳しいという点。警察に職務質問され、パスポートが提示できなければ警察署に連れていかれる、なんてこともあるそうで、とくに首都のタシュケントの地下鉄では頻繁にチェックを受けるという話を聞いた。

 肌身離さず持っていれば問題ないのだが、ビザ申請中は大使館にパスポートを預けなければならない国もあるため、タシュケントでのビザ取得(ウズベキスタン以外の国のビザ申請)はできるだけ避けた方が無難である。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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