産経新聞山梨版インタビュー今年は「自転車元年」、東京五輪の山梨県アドバイザー・元プロ選手今中大介さん 

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 2020年東京五輪の自転車ロードレースで昨年8月、山梨県内の通過地点が道志村、山中湖村に決まった。これを受け、世界最高峰の自転車競技「ツール・ド・フランス」に参戦した甲府市在住の元プロ選手、今中大介さん(55)に、県が五輪アドバイザーを委嘱した。7月には世界の一流選手が集結し、現地でリハーサルイベントが行われる。「今年の山梨は〝自転車普及元年〟」とスポーツサイクルの振興に意欲を燃やす。(松田宗弘)

「一般参加型の自転車イベントを通じて愛好家の裾野を広げたい」と話す今中大介さん(撮影・松田宗弘)

 道志村、山中湖、籠坂峠、富士スピードウェイを抜けて三国峠へ…。自ら自転車を走らせ、五輪コースの一部をたどったという今中さん。「連続するアップダウンの標高差の合計(獲得標高)が、上りだけで4865mもある。相当に厳しい山岳コースだと実感した」と話す。
 コースの平均走行時速は、平坦部分が50~55km、上り約10km、下り80~90kmと予測する。上り勾配は最大18%。「10%で心臓破りの坂といわれる」だけに、その険しさは推して知るべしだろう。

 観戦ができる場所は「危険な下り坂と、歩道のない道を除く、上りと平坦部分のすべて」という。今中さんに絶好のポイントを尋ねると、「富士山の美しさとレース観戦を求めるなら山中湖畔。レースのクライマックスは三国峠の下り。山梨側への下りから始まる終盤33㎞をどう乗り切るかが見どころ」と解説した。

 五輪アドバイザーの役割については「開催まではイベントなどを通じて機運を盛り上げる。五輪を通じて、自転車ロードレースとはどういうものかを多くの県民に知ってもらう」。さらに「五輪によるレガシー(遺産)を模索したい。五輪を機に自転車王国へ踏み出したい」と熱っぽく語る。
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「少し上りに苦しんで、峠や丘の上に立つと達成感があるんです」と自転車の魅力を語る今中さん(撮影・松田宗弘) 

 欧州を中心に世界を舞台に走ってきた今中さん。プロの目から見て「山梨はスポーツサイクルを楽しむ最適の立地」という。自身も現役引退後に移住し、甲府市山宮で自転車の輸入商社「インターマックス」を創業した。本県を中心に自転車関連のイベントの企画・運営にも携わる。

 「山梨は自転車の適地」。その理由を今中さんはこう語る。「ブドウや桃などのフルーツ栽培が多く、広域農道が整備されている。アップダウンの起伏に富む景色の良い道も多い。甲府盆地を中心に放射線状に走行ルートがある」

 「富士スバルラインなど厳しいコースもあり、1万人が参加する『Mt.富士ヒルクライム』など、年間10ほどのサイクリスト向けのイベントがある」
 サイクリストには「山梨はすでに自転車王国と認識されている」という。
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 一方、「一般県民に自転車の楽しさがほとんど知られていないことが問題だ」という。今中さんは「自転車をもっと親しみやすいものにし、愛好家の裾野を広げて市民権を得たい」と強調する。
 昨年4月、甲府市の信玄公祭りで、「信玄公ロードレース」が初めて開催された。騎馬隊の行進の前の約20分、「平和通り」を約100人が走った。「今年はさらに時間を長くして、300人ぐらいの参加が望めないか。メディアへの露出を増やし、自転車を身近なものにしたい」と期待を込める。

 7月21日には1日だけ、五輪コースでリハーサルイベントが開催される。
 参加選手はプロが中心。米国、ロシア、フランス、イタリアのナショナルチームと一般チームの選手が参戦する。「五輪の本番と同じ観戦ポイントでレースを見ることができるので、多くの観戦者を期待したい」と意欲満々だ。

今中大介(いまなか・だいすけ)

 昭和38年7月、広島市生まれ。大分大大学院工学部修了。自転車変速機メーカー「シマノ」の実業団チームに入り、1994年、イタリアチーム「ポルティ」とプロ契約。96年に近代ツール・ド・フランス(フランス一周のプロの世界最大級の自転車ロードレース)に日本人として初参戦した。平成9年に引退後、甲府市で自転車の輸入商社「インターマックス」を設立。実業家に転身した。現在はレース解説、国内チームやイベントのアドバイザーなども務めている。

産経新聞・山梨版より)

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