Cyclist選出・サイクリストへお勧め図書⑮BMXライダーの日常撮った『GIRLS BMX AUSTIN』、生き生きとした女性たちの表情満載

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 Cyclist執筆陣を中心に、サイクリストにお勧め図書を紹介してもらう企画も15回目を迎えました。今回はCyclist編集長がフォトブック『GIRLS BMX AUSTIN』をおススメしたいと思います。東京五輪種目に採用されたBMXフリースタイル・パーク競技の選手たちの日常、そして「X GAMES」という大舞台に触れられる写真集で、BMXを知らない読者にも是非、手に取って欲しい一冊です。

『GIRLS BMX AUSTIN』の表紙。海外の写真集に混じって筆者の本棚の中の大事な一冊だ Photo: Kenta SAWANO

2016年夏、大池水杜選手とアメリカの仲間たち

撮影だけでなく、装丁やデザインまでDIYで一貫した我満直紀さんの『GIRLS BMX AUSTIN』 Photo: Naoki GAMAN 

 たまには小説でなく、動画でもなく、写真集をじっくり眺めるのは、いかがでしょうか? 

 私が昨年最初にタイムラインでこの表紙を見たとき、海外のカメラマンが撮影したものだと思っていましたが、取材を通じて作者(撮影者)が我満直紀さんという日本人女性だと知って大変驚いたものです。A5版の手ごろなサイズながらたっぷり132ページにはアメリカのBMX女子の生活がいきいきと切り取られ、海外に行った気分になれます。

 舞台は2016年夏のアメリカ・テキサス州オースチン。現在、BMXフリースタイル・パーク競技の五輪代表候補として注目される大池水杜(おおいけ・みなと)選手が、アメリカの女性トップライダーから呼ばれ、一緒に生活しながらX GAMESなどに出場したひと夏を綴るフォトブックです。一緒に渡米したNAOKIことBMXライダーでカメラマンの我満さんが一緒に生活しながら切り取ったロードムービー的な一冊です。

『GIRLS BMX AUSTIN』の中の1枚 Photo: Naoki GAMAN

「X GAMESはこちらから出たいといっても出られる大会じゃない。インスタグラムでつながっていたアメリカのトップライダーから、メッセージで『X GAMESに出ない?』と連絡がきたんです。1週間会社を休んで、ずっと彼女の家に泊まらせてもらっていた。朝から晩までつきっきりで面倒を見てもらって良い経験ができました」

 大池選手がCyclistの2018年の新春インタビューで答えてくれた、渡米での経験が写真集におさめられています。笑顔で空港に迎えに来てくれたアメリカのライダー、一緒に近所で練習を楽しむシーン、大会に出る場面、そのオフショットまで満載です。我満さん独特の乾いた色調はもちろんですが、見開きで4枚の連続写真が並んだり、作者が苦労したというレイアウトや、すべて英語で、きめの細かいフォント遣いが、読者を最後まで飽きさせません。

Photo: Naoki GAMAN
Photo: Naoki GAMAN
Photo: Naoki GAMAN

 東京五輪からBMXフリースタイル・パーク競技が競技種目に採用されることが決まったのが2017年6月。この写真集は、そんな大騒ぎが始まる前の夏に撮られたもので「本場のBMXを楽しみ尽くしたい」と渡米した大池選手の気持ちが写真から伝わってくる気がします。もちろん、写真集の主人公は大池選手だけでなく、アメリカの女性ライダーであり、ときどき写真にも登場する撮影者の我満さん自身でもあります。

X GAMESで集合写真に納まる大池水杜選手と各国のトップライダーたち Photo: Naoki GAMAN

 自分の本棚には、GLEN.E.FRIEDMAN、BRUCE DAVIDSONといったストリートカルチャー、ストリートに生きる人々を追ったドキュメンタリーカメラマンの写真集が多いのですが、そういった1960年代、1990年代の写真集たちに囲まれて、2016年を切り取った『GIRLS BMX AUSTIN』は、同じような雰囲気を持ち、仲良く並んでいます。楽しい動画が現れては消える現代ですが、写真集を一枚一枚じっくり眺める時間を持つのはいかがでしょうか。

GIRLS BMX AUSTIN

A5 132ページ 税込み価格2,500円
紹介ページ→https://naokingraph.jimdo.com/

澤野健太澤野健太(さわの・けんた)

Cyclist編集長。自転車歴は1980年代後半、小学生の時に映画『ET』を見て「YAMAKUNI」のBMXを手に入れ、レースに出始める。15歳の時、ZUNOWのマウンテンバイクを手に入れるが、組み直していた時に、母親に廃品回収に出され、ロードバイクの道へ。スポーツ新聞社勤務を経て、2016年にCyclistへ。“ユルめ”のロングライドや、オフロードの記事などを担当。

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