サイクルロードレース年末年始コラム<8>2019年シーズンに飛躍するネクストブレイクは誰だ? 期待の新人も合わせて紹介

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 若手の台頭はスポーツ観戦の醍醐味の一つだろう。今回は2019年シーズンにヤングライダー賞ジャージの対象になりうる25歳以下の選手を対象とし、ステージレーサー、スプリンター、クラシックスペシャリスト、タイムトライアルスペシャリストの4部門でネクストブレイク候補選手を紹介していきたい。また、ネクストネクストブレイク候補として、今季からワールドチームに加入した新人選手を何人か紹介していく。

 ※年齢を記載している選手は、2019年1月1日時点で換算。

すでにブレイク中?なベルナル

 ステージレーサーでは、若手登竜門レースであるツール・ド・ラヴニールの2017年の総合王者のエガン・ベルナル(21歳、コロンビア、チーム スカイ)を推したい。2018年は鳴り物入りでワールドチームデビューを飾ると、年間6勝と非凡なる才能を見せつけた。

ベルナルの2018年シーズン主な戦績

ツアー・ダウンアンダー新人賞
コロンビア国内TT選手権優勝
ツール・ド・ロマンディ第3ステージ(ITT)優勝
ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝
ツール・ド・フランス総合15位

 本人は「タイムトライアルが課題」と言いつつも、コロンビア国内選手権とロマンディのタイムトライアルで勝利。ロマンディは山岳タイムトライアルながら、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)やリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)を破る大金星だった。

ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝を飾ったエガン・ベルナル Photo : Yuzuru SUNADA

 カリフォルニアではアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)といった強豪を圧倒する登坂力を見せ、総合優勝を飾った。

マイヨジョーヌのゲラント・トーマスをアシストするエガン・ベルナル Photo : Yuzuru SUNADA

 ツールでは新人賞候補に目されながらも、クリストファー・フルーム(イギリス)とゲラント・トーマス(イギリス)の忠実なアシストとして任務を遂行。新人賞は逃すも、初グランツールで総合15位の好成績を収めた。

 しかし、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでは落車して鎖骨と肩甲骨を骨折、クラシカ・サンセバスチャンでは集団落車に巻き込まれて鼻骨と歯を折って大手術を余儀なくされた。落車を避けるレーステクニックを身につけることが今後の課題かもしれない。

 もうすでにブレイクしたといっても過言ではない活躍を見せているが、ベルナルに期待されることはグランツールでの総合優勝だろう。今季はジロ・デ・イタリアに総合エースとして出場することが見込まれている。

●期待の新人ステージレーサー

タデイ・ポガチャル(20歳、スロベニア、UAEチーム・エミレーツ)
ツール・ド・ラヴニール総合優勝を含む3つのステージレースで総合優勝を飾ったオールラウンダー。ジャパンカップにも出場し、11位で完走している。

ジーノ・メーダー(21歳、スイス、ディメンションデータ)
ツール・ド・ラヴニールではステージ2勝を飾り、総合3位。総合系選手の少ないチームなので、1年目から主力としての起用が濃厚だ。

マルク・ヒルシ(20歳、スイス、チームサンウェブ)
U23欧州選手権とU23世界選手権とダブルで優勝。今はワンデーレースへの適性を見せているが、本人は将来的にグランツールレーサーになることを望んでいる。

ルーキーイヤーに7勝あげたヤコブセン

 スプリンター部門でぇあ、2017年のツール・ド・ラヴニールでステージ1勝を含む年間8勝を飾り、プロ入りしたファビオ・ヤコブセン(22歳、オランダ、クイックステップフロアーズ)を推したい。2018年はルーキーイヤーながらシーズン7勝をあげる活躍を見せた。

ヤコブセンの2018年シーズン主な戦績

ノケレ・クルス(1.HC)優勝
スヘルデプライス(1.HC)優勝
ビンクバンクツアー第1ステージ優勝
ツアー・オブ・グアンシー第3・6ステージ優勝

 春のクラシックではスプリンター向きのワンデーレースで2勝した。ビンクバンクツアー第1ステージではマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らと競り合いながらワールドツアー初勝利。

ビンクバンクツアー第1ステージ カレブ・ユアン、マルセル・キッテルとの僅差のスプリントを制したファビオ・ヤコブセン(右の青いジャージ) Photo : Yuzuru SUNADA
ビンクバンクツアーの総合リーダージャージを着用するファビオ・ヤコブセン Photo : Yuzuru SUNADA

 ツアー・オブ・グアンシーでは同郷の先輩であるディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)を倒してステージ2勝をあげ、ポイント賞ジャージも獲得した。

 クイックステップの強力なスプリントトレインの助けを借りつつも、しっかりとレースの最後にワールドチームの猛者たちと互角以上に渡り合える脚を残していることが新人離れした実力の持ち主である証拠だ。

 フェルナンド・ガビリア(コロンビア)がUAEチーム・エミレーツに移籍したことで、チームのエーススプリンターの座は一つ空いている。ゆえに2019年はグランツールデビューを飾り、ステージ優勝量産の期待が高まっている。

●期待の新人スプリンター

マックス・カンター(21歳、ドイツ、チームサンウェブ)
ドイツU23王者、ツール・ド・ラヴニール第1ステージ優勝の実績を持つ。3シーズン前からトレーニー契約を結んでいたドイツ期待の星がいよいよトップチーム昇格。

マッテオ・モスチェッティ(22歳、イタリア、トレック・セガフレード)
アルベルト・コンタドールの育成チームでシーズン9勝をあげる活躍を見せた。上れるスプリンターとして、サバイバルな展開に勝機を見出す。

ジャスパー・フィリップセン(20歳、ベルギー、UAEチーム・エミレーツ)
U23ジロ・デ・イタリアでのステージ1勝を含むシーズン6勝をあげた。石畳を含むワンデーレースにも適性を見せており、幅広い活躍が期待される。

北のクラシックに挑戦するモホリッチ

 クラシックスペシャリスト部門では、2013年にアンダー1年目の18歳でU23世界選手権を制し、翌年プロデビューを飾ったマテイ・モホリッチ(24歳、スロベニア、バーレーン・メリダ)を推したい。2018年は年間7勝を飾るなど、飛躍の一年となり、プロ6年目のシーズンを迎えている。

モホリッチの2018年シーズン主な戦績

ジロ・デ・イタリア第10ステージ優勝
スロベニア国内選手権優勝
ビンクバンクツアー総合優勝
ドイツ・ツアー(2.1)総合優勝

 モホリッチは抜群のスタミナを誇り、逃げ切りが一つの勝ちパターンだった。さらに素晴らしいダウンヒル技術の持ち主であるうえに、登坂力が強化され、石畳への適性を見せ、スプリント力も増しており、非常に隙のない選手へと成長した。

 ビンクバンクツアーでは、第3ステージで逃げ切りを決めて総合首位に浮上。最終ステージではライバルたちの猛攻を、ほとんど一人で受けきって総合優勝を決めたように、レースを支配する力を持っている稀有な選手だ。

 秋にはさいたまクリテリウム出場のために来日しており、日本のファンにとっても馴染み深い選手の一人だろう。

ビンクバンクツアー第7ステージの激坂石畳を駆け上がるマテイ・モホリッチ Photo : Yuzuru SUNADA
さいたまクリテリウムにて、ファンが作成したグッズを嬉しそうに掲げるマテイ・モホリッチ Photo : Yuzuru SUNADA

 2019年はツール・デ・フランドルやパリ〜ルーベを筆頭に、北のクラシックに目標にしながら、初のツール・ド・フランス出場が予定されている。

●期待の新人クラシックスペシャリスト

レムコ・イヴェネプール(18歳、ベルギー、クイックステップフロアーズ)
ジュニア世界選手権のロードとTTでの勝利を含むシーズン23勝と圧倒的な結果を残した。自転車競技を始めてまだ2年ながら、U23を飛び越えてワールドチームに昇格。

ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
U23ツール・デ・フランドル3位、U23イル・ロンバルディア優勝を飾り、ジャパンカップでは8位入賞。カデル・エヴァンスの再来と目されるオーストラリアの次世代の星。

ドイツの期待を背負うシャフマン

 TTスペシャリスト部門では、ドイツの新星マクシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を推したい。ワールドチーム2年目の2018年シーズンはプロ初勝利を含む3勝を飾っている。

シャフマンの2018年シーズン主な戦績

ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第6ステージ優勝
フレーシュ・ワロンヌ8位
ジロ・デ・イタリア第18ステージ優勝
ドイツ・ツアー第2ステージ優勝、総合3位

 カタルーニャでは降雪予報によりコースが短縮。大雨が打ち付け気温が氷点下になる荒れた天候のなか、シャフマンはスタートと同時に、もう1人の選手とともに逃げに乗った。悪天候ながら概ね平坦路を走る117kmのコースにもかかわらず、シャフマンは逃げ切りを決め、マッチスプリントを制してステージ優勝を飾った。

 その1カ月後のフレーシュ・ワロンヌでは、最終周回に集団から飛び出し、独走のままユイの壁に到達。残り200mで後続集団に飲み込まれるが、チームメイトのジュリアン・アラフィリップ(フランス)の勝利を演出。自身も粘って8位入賞した。

最大勾配26%のユイの壁を上るマクシミリアン・シャフマン(昨年はクイックステップフロアーズ)。後方の青いジャージはチームメイトのジュリアン・アラフィリップ Photo : Yuzuru SUNADA

 このように独走力の高さだけでなく、意外性のある登坂力も持ち味となっている。今後はTTスペシャリストとして力を磨くだけでなく、ステージレーサーに転向する可能性もあるだろう。

●期待の新人TTスペシャリスト

エドガルド・アッフィーニ(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
U23欧州選手権の個人タイムトライアルで勝利するなど、TTで4勝をあげた。U23イタリア選手権に関しては、ロードとTTの二冠。

ハリー・タンフィールド(イギリス、カチューシャ・アルペシン)
ツール・ド・ヨークシャー第1ステージで逃げ切り勝利をあげた。トラック競技の個人追い抜きを得意とする。イギリス国内TT選手権2位。

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