『Cyclist』が選ぶ今年の注目ニュース<4>スポット参戦の助っ人がさらった経済産業大臣旗 さらなる国内選手の活躍に期待するJプロツアー

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 『Cyclist』編集部の記者が選ぶ「今年の注目ニュース」。編集部の松尾修作は、フランシスコ・マンセボ(スペイン)がJプロツアー(JPT)を走り、経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップを制した記事をチョイス。かつてのスター選手が日本のレースに参戦した影響について考察しました。

スポット参戦2戦目で経済産業大臣旗を手に入れたフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) Photo: Shusaku MATSUO

 「なんでマンセボがJプロツアーに!?」と驚いたのは筆者だけではないはず。かつて、ツール・ド・フランスでランス・アームストロング氏やヤン・ウルリッヒ氏らと死闘を繰り広げ、個人総合4位に入った実力者です。当時、高校生だった筆者は彼らに憧れ、ヨーロッパで走ってみたいと思ったものでした。

バネスト時代のフランシスコ・マンセボ(スペイン)※左から3番目 Photo : Yuzuru SUNADA

 そのマンセボがJPTチームのマトリックスパワータグから第20戦「まえばしクリテリウム」でサプライズ参戦を果たしました。このレースでアシストとして存在感を示したマンセボですが、混戦の末惜しくもチームは敗れる結果に。しかし、その次戦の第22戦(第21戦は中止)、JPTの中で最もレーティングが高い「第52回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」を圧勝し、格の違いを見せつけました。筆者も取材で現地におり、その走りに刺激を受けました。

42歳にフィジカル負けした国内勢

 ただ、残念に思ったのも事実。かつてのスター選手とはいえマンセボも42歳です。舞台となった南魚沼は平地もあれど、厳しい上りとジェットコースターのような下りが殆どのコース。ベテランの経験を生かすプロフィールではなく、フィジカルの強さが重要になるレースでした。そこでスポット参戦の助っ人が、国内最高峰のレースで、最も重要なレースに勝ってしまいました。国内の選手たちが健闘しているのも目の当たりにはしていましたが、世界との壁に複雑な心境になったのも事実です。

フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)が日本人選手を率いる Photo: Shusaku MATSUO

 UCI(国際自転車競技連合)プロチームのチーム スカイが今月、チームスポンサーの「スカイ」が2019年度をもって離脱すると発表しました。世界のプロトン内で“最強”のチームであっても、投資に対して広告効果が薄いと判断したからでしょう。他チームを含めて、所属選手は戦々恐々です。また、ワールドツアーでも出走人数を減らす動きがあり、チーム内でも選手が余る現象が起きていると聞きます。

 これらの情勢から、選手のリストラが進み、欧州のプロ選手でも、所属契約の競争率が激化することが予想されるでしょう。その結果、働き口を求めた強豪選手と、賄える範囲で助っ人を獲得したい日本チーム側のメリットが噛み合えば、もしかしたら、マンセボよりも若く有名な現役の選手がJPTを走る姿も観られるかもしれませんね。

 マトリックスパワータグが2019年度のチーム体制を発表しましたが、今季限りだと思われていたマンセボの名前もありました。来季のJPTにビオラジャージは無しか、と思っていたので一安心。かつてジロ・デ・イタリアでステージ勝利したダミアン・モニエ(愛三工業レーシング)のように、JPTチームに限らず、日本に定着してくれたら嬉しいかな。

 先日、プロリーグ構想が発表され、さらに興業としての価値を高めていくとしたJPT。華やかさと、プロとしての合理性を求めると、強い選手を外から引っ張ってくることも当然です。しかし、日本人選手の活躍も期待せずにはいられません。個人的には、同年代の窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)が勝利を重ね、ツアーを総合優勝したことが今年のハイライトでした。

 Jプロツアーの一ファンとして、各チーム、各選手の来シーズンの活躍を楽しみにしています。先日から始まった連載「ツール・ド・Jプロツアー」では今後、さらに選手を紹介していきますので、こちらのチェックもよろしくお願いします!

宇都宮クリテリウムE1で6位入賞を果たした筆者(右下) Photo: Moe

 ちなみに、筆者はJプロツアーの一つ下のカテゴリーに当たる「Jエリートツアー」のE1に今年も参戦しました。結果的に2レースで入賞! 現役の選手を退き、Cyclist編集部で働いてからはなかなか練習時間を取れません。しかし、その限られた時間の中で、どう強くなるかを考えながら行うトレーニングも楽しいもの。来年ももちろん、時間が許す限り参戦していくので、会場で松尾の顔を見かけたら話しかけてください。それでは、良いお年を!

松尾修作松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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