『Cyclist』が選ぶ今年の注目ニュース<3>リム&ディスクブレーキ論争の終止符になるか ロードでのディスクブレーキ全面解禁

by 石川海璃 / Kairi ISHIKAWA
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 『Cyclist』編集部の記者が選ぶ「今年の注目ニュース」。機材好き記者、石川海璃が2018年、最も注目した記事は「ロードでのディスクブレーキ完全解禁に UCIが長期指針『アジェンダ2022』を発表」です。3年のテスト期間を経て、ついに完全解禁となったディスクブレーキ。今後はレースシーンでの普及は加速するのか。また、一般ユーザーでささやかれるリム&ディスクブレーキ論争に終止符を打てるのかに注目しています。

ディスクブレーキが2018年6月21日に完全解禁となった Photo : Yuzuru SUNADA

ディスクブレーキは普及するか

 「アジェンダ2022」(Agenda 2022)は、UCI(国際自転車競技連合)の向こう4年間の戦略的ロードマップ。自転車競技の将来を見据えたものとして発表されました。大半は女子選手の状況改善にかかわるものでしたが、中でも私が注目したのはロードレースとBMXでのディスクブレーキ解禁です。

今年のツール後半の様子。ディスクブレーキを使用するチームは写真内だと「トレック・セガフレード」くらいか Photo: Shusaku MATSUO

 ロードレースのディスクブレーキ導入にあたっては、これまで3年間に渡ってテストが行われ、ようやく正式リリースとなりました。これを受けてUCIワールドチームの「カチューシャ・アルペシン」は、来シーズンからはディスクブレーキ搭載のロードバイクで走るとアナウンス。国内においても、来年度から日本最高峰のサイクルロードレースシリーズ「Jプロツアー」(JPT)でディスクブレーキが使用可能になるなど、ディスクブレーキを容認する動きが加速していますが、果たしてレースの世界で普及が進んでいくのでしょうか。

レースシーンでの課題

 アジェンダ発表後行われたツール・ド・フランス。そのステージ序盤では、選手たちが各社のディスクブレーキモデルに乗っていました。その大半はエアロロードだったと記憶しています。アルプス山脈など山岳ステージがメインの第2週目になると、ディスクブレーキモデルに乗る選手が減り、リムブレーキの軽量・オールラウンドのバイクに乗り換える選手が多い印象を受けました。

今年のツールの様子。「チーム スカイ」は全員リムブレーキモデルを使用 Photo: Shusaku MATSUO

 このことから見えてくるのは、ディスクブレーキモデルがレースシーンで普及が進むには、解決すべき課題がいくつか存在するということです。

 現在レースシーンで多用されるディスクロードはエアロ形状のものが大半。軽量・オールラウンドタイプのディスクロードも存在しますが、リムブレーキモデルと比較すると決して軽いとは言えません。

各チームともエアロディスクロードの使用率が高い。軽量・オールラウンドモデルはリムブレーキが多く使われている印象 Photo: Shusaku MATSUO

 また、ホイールを固定する規格がクイックリリースからスルーアクスルに変更されたことにより、パンクでホイールを交換する際に時間がかかることも問題の一つとして挙げられます。さらにはディスクブレーキでは制動力の違いによってローター径が異なり、規格が多様化している面も、選手がアクシデントに見舞われた時にチームの支援やニュートラルサポートを受ける場合の障害となりそうです。

 こういった要因を選手たちとチームはネックと考え、ディスクブレーキモデルの使用を控えているため、まだまだ普及が進まないのではないでしょうか。

 しかし、この課題はどの界隈においても起こりえるもので、一種の拒否反応のようなもの。かつてバイクの素材がクロモリからアルミ、カーボンに移り変わった時のように、徐々に受け入れられると思います。それを踏まえると、レースシーンでディスクブレーキが浸透するのは時間の問題と言えそうです。

リム&ディスクブレーキ論争はいかに

 選手がレースの現場で使う際に想定されるネックな部分を挙げて課題としましたが、我々一般のサイクリストの立場で考えた場合、ディスクブレーキは非常に有用だと思います。各周辺パーツの剛性が高くなる中で、課題となっていたエンドの剛性不足の解消や、リムブレーキよりも安定したブレーキング能力、ケーブルルーティングの自由度が増し、内蔵化できたことによって空力性能が向上するなど、簡単に想像してみるだけでこれだけのメリットが挙げられます。

レースシーンではエアロディスクロードが目立つが、もちろん軽量・オールラウンドモデルも存在する Photo: Masami SATOU

 巷ではリム&ディスクブレーキのどちらのロードバイクがいいか、などと度々論争が起きています。性能だけを見るならば、車体の全体的なスペックが向上し、今後も成長余地のあるディスクブレーキが優位と言いたいところですが、注意したいのは我々ユーザーがどんな乗り方をするのかによってその評価が変わるということです。

 結論としては優劣を決めるよりもどういう乗り方をするかによって、バイクを使い分けて楽しむというのがリム&ディスクブレーキ論争における一つの答えだと考えています。

 今後、レースシーンでディスクブレーキが普及することで、我々一般ユーザーにどういった影響を与えるのか、2019年の動向に注目したいところです。

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