サイクルロードレース年末年始コラム<3>いま一番勝てるスプリンターは誰? ワールドツアーの集団スプリント勝利数ランキングを紹介

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 2018年シーズンのワールドツアーは全部で38レース、178日間にわたって行われた。そのうち集団スプリントに持ち込まれたのは56回だった。ステージレースとワンデーレースを含めて、およそ3分の1が集団スプリントにて決着がついたことになる。そこでワールドツアーの集団スプリントでの勝者をカウントし、ランキングを作成してみた。

今季勝ちまくったエリア・ヴィヴィアーニ(中央)、パスカル・アッカーマン(左)、ディラン・フルーネウェーヘン(右) Photo : Yuzuru SUNADA

最多勝は10勝のヴィヴィアーニ

 集計にあたって、50人以上の集団が同タイムまたは30秒以内でフィニッシュしているケースを集団スプリントと定義した。例外として、レース中にニュートラル扱いとなりタイム差が記録されなかったジロ・デ・イタリア第21ステージは集団スプリントに含めている。

ワールドツアー集団スプリント勝利数ランキング

1 10勝、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
2 6勝、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
3 5勝、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)
サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
5 4勝、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)
7 3勝、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップフロアーズ)
ホセアルバロ・ホッジ(コロンビア、クイックステップフロアーズ)
9 2勝、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)
アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)
アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)

 年間18勝をあげたヴィヴィアーニがワールドツアーの集団スプリントでも10勝をあげ、1位に輝いた。

 ランキング上位はクイックステップとボーラ・ハングローエによる独占状態だ。あわせて7人がランクインし、両チームが集団スプリントにおいて圧倒的な力を持っている。

 クイックステップは1勝のマクシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)を含めて5人が勝利、ボーラ・ハンスグローエは1勝のジェイ・マッカーシー(オーストラリア)を含めて4人が勝利と、複数の選手が勝っていることが大きな特徴だ。他のチームでは、3人の選手が1勝ずつあげたミッチェルトン・スコットを除き、集団スプリントで複数人勝利したチームはない。

ジロ・デ・イタリア第2ステージでヴィヴィアーニの勝利を演出したファビオ・サバティーニ Photo: Yuzuru SUNADA

 クイックステップとボーラ・ハンスグローエに共通していることは、リードアウトトレインが強力なことだ。特に最終発射台となるリードアウト役に優秀な選手がいることが大きい。クイックステップにはリケーゼとファビオ・サバティーニ(イタリア)、ボーラ・ハンスグローエにはリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)がそれぞれ最終発射台を務めていた。トレインが安定しているからこそ、誰を発射しても勝てるチームになっているのではないだろうか。

 そんなクイックステップとボーラ・ハンスグローエで最も多くのスプリント勝利をあげたヴィヴィアーニとアッカーマン、さらに両チーム以外で最も勝利したフルーネウェーヘンの、3人それぞれの2018年シーズンベストスプリントを紹介したいと思う。

最高のリードアウトと自画自賛

 ヴィヴィアーニのベストスプリントはブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージだ。ラスト3km地点でクイックステップが集団の先頭に立つと、他のチームが全く前に出られないほどの高速域をキープ。

 ラスト1kmのアーチをくぐったタイミングでルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出すも、ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)が難なく対処して吸収。依然として集団先頭を抑えたまま、最終発射台のサバティーニが満を持してヴィヴィアーニを発射。ライバルスプリンターたちを全く寄せ付けずに完勝。シーズン60勝目をあげた。

ライバルたちを寄せ付けないスプリントを見せたエリア・ヴィヴィアーニと、後方で勝利を確信するファビオ・サバティーニ Photo : Yuzuru SUNADA

 レース後にヴィヴィアーニは「今季一番の完ぺきなリードアウトだった」と自画自賛。強力なクイックステップトレインとの連携の良さを見せ、今季のヴィヴィアーニを象徴する華麗な先行逃げ切り型のスプリントだった。

あわや接触の際どいライン取り

 アッカーマンのベストスプリントはツール・ド・ポローニュ第2ステージだ。前日ステージ優勝を果たし、リーダージャージを着用して臨んだ一戦。ラスト1kmを切ってからも、ポーランドナショナルチームの選手たちが積極的に集団から飛び出す動きを見せ、混戦状態になっていた。

 飛び出していた選手たちが集団に吸収されるタイミングでスプリント開始。先頭は飛び出していた選手たちが横並びになっており、アッカーマンの前のラインはふさがれていた。すると、アッカーマンは選手と選手の間を縫うような走りを見せ先頭に立った。下手したら接触して落車もあり得る危険な走りだったが、ここしかないというラインに躊躇なく飛び込んでいった。

 そうして、前方が開けると持ち前のパワーをいかんなく発揮。追いすがるホッジを振り切って勝利した。

拳を突き上げるパスカル・アッカーマン Photo : Yuzuru SUNADA

 アッカーマンのパワーとテクニックが合わさった見事なスプリントだった。

野生の勘と嗅覚に優れたスプリント

 フルーネウェーヘンのベストスプリントはツール・ド・フランス第8ステージだ。前日に勝利していたものの、クイックステップやボーラ・ハンスグローエといった強力なトレインの前にフルーネウェーヘンの周囲にはアシストが誰もいない状況だった。大会2勝のガビリアやサガンが好位置をキープしていたが、フルーネウェーヘンはグライペルの付き位置に入った。グライペルは第4ステージで3位になったものの必ずしもマークすべき選手には見えない。それでもフルーネウェーヘンは徹底マークした。

 いざスプリントが始まるとグライペルはよく伸びた。サガンが早めにスプリントをせざるを得ない状況で、グライペルが前に出ようと仕掛けた瞬間、フルーネウェーヘンもギアを一段階上げた。サガンが失速するなか、先頭に出たグライペルをさらに大外からかわして勝利したのだ。

ステージ連勝で大会2勝目を飾ったディラン・フルーネウェーヘン Photo : Yuzuru SUNADA

 クイックステップやボーラ・ハンスグローエのような強力なトレインがなくとも、集団スプリントで4勝できたのは、フルーネウェーヘンがスプリンターとしての野生の勘・嗅覚に非常に優れた選手だからだ。ツール第8ステージは、フルーネウェーヘンらしさ全開のスプリントだった。

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