最新技術とフィッターの知識を融合與那嶺恵理がリトゥールでフィッティング 2019年シーズンへ向けポジションを探る

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 現全日本女子ロードチャンピオンの與那嶺恵理が12月中旬、来季に向けたバイクフィッティングを行った。彼女がポジションを委ねたのはスペシャライズドが提供するサービス「Retul」(リトゥール)だ。世界中のサイクリストを計測した膨大なデータを基に導き出される、最新のフィッティングの様子をリポートする。

2019年シーズンへ向け、「リトゥール」でフィッティングした與那嶺恵理 Photo: Kyosuke TAKEI

スペシャライズドの最新システムを体験

 12月の初旬、與那嶺は来季所属するチーム「アレ・チポッリーニ」の合宿のため、スペインを訪れていた。チームバイクを受け取り、トレーニングキャンプに励んだ與那嶺だが、1月のツアー・ダウンアンダーまでは間がある。一時帰国した與那嶺は、ライドポジションを決めるべく、スペシャライズド・ジャパンを訪ね、リトゥールのシステムを使ったフィッティングを行うことを決めた。

デジタル・シットボーン・デバイスで瞬時にフィットするサドル幅を測る Photo: Shusaku MATSUO

 リトゥールは2007年に立ち上がったバイクフィッティングシステムで、2012年にスペシャライズドの一部となった。バイク自体のフィッティングだけでなく、身体を計測し、最適な製品サイズを選定する「マッチ」や、座るだけで座骨の幅を測り合ったサドル幅をアドバイスしてくれる「デジタル・シットボーン・デバイス」(DSD)、また、一人ひとりの足型を採寸し、オリジナルのインソールを製作する「カスタムフットベッド」など、体とバイクの接点をよりフィットさせていくシステムだ。

リトゥールではインソールの製作も「カスタムフットベッド」で可能 Photo: Shusaku MATSUO
足形に合わせたオリジナルのインソールが完成する Photo: Shusaku MATSUO

3Dモーションキャプチャで正確な数値を

 與那嶺はこれまで、スペシャライズド社の「BG fit」フィッティングを4年ほど前に受け、レースに合わせて武井亨介コーチと共にポジションセッティングを煮詰めてきた。チポッリーニのバイクは、イタリアでのチームキャンプ初日に、スペイン人のフィッターによる簡単なフィッティングを受けたのみ。「トルクを出したいからサドルはやや低め。とにかく空気抵抗を少なくしたいので、頭を低くできるポジションにしています」というのが彼女のこだわりだという。今回のフィッティングでは、客観的な意見も取り入れていきたいという想いがあった。

フィッターを務めたスペシャライズド・ジャパンの渡辺孝二さん Photo: Shusaku MATSUO

 フィッティングを担当したのはスペシャライズド・ジャパンの渡辺孝二さん。リトゥールを取り扱うスタッフのインストラクターを務めており、いわば“先生の先生”だ。通常、店舗でリトゥールのフィッティングを行う場合、渡辺さんから専門の知識を授かった信頼できるフィッターが担当してくれる。

スペインのチームキャンプを終えたままのバイクを組み立てていく Photo: Shusaku MATSUO

 渡辺さんはシステムや必要機材をセットすると、専用の計測機器で與那嶺のバイクを計測していく。指定の位置に機器を当てると、コンピュータ上にバイクを計測したデータがミリ単位で表示される。これは特殊なLEDの発光を元に、XYZ軸の座標を計測。0.4mmの精度で測り、1mm単位のデータに変換して導き出しているという。ライダーの体へ取り付け、動きを計測するハーネスも同じ仕組みで、3Dモーションキャプチャを行う。これらのデータを世界単位で収集し、膨大なデータを解析してはじき出される数字がリトゥールのメリットといえるだろう。

バイクの指定部分に測定器をあてることで、自動的にサイズを算出 Photo: Shusaku MATSUO
リトゥール上で生きる精密なバイクデータを計測 Photo: Shusaku MATSUO
フィッターの知識が必要な骨格に関するアセスメントも Photo: Shusaku MATSUO

 リトゥールは機材だけでなく、ライダーの身体計測やアセスメントも重要視している。股関節の柔軟性や各部の可動範囲、骨格はたとえ同じ身長であっても個人差が生じる。ライダーのレベルや目指すべき目標によっても結果は変わるという。

 一通り計測を終えた與那嶺は、計測用のハーネスを各可動部につけた状態でバイクへと跨りペダリングを行った。ここでも渡辺さんとのコミュニケーションは欠かさない。リトゥールのシステムが出した数字でバイクをセッティングしたものの、與那嶺は「ペダリングするとサドルが高く感じる」とフィーリングを伝える。渡辺さんはそれを汲み「では下げましょう」と提案する。リトゥールの数値には幅があり、ライダーの意見を聞きながら進めていくという。

体にセンサーを取り付け、動きを3Dモーションキャプチャで計測 Photo: Shusaku MATSUO
体に取り付けたセンサーから発せられるLEDの光を受信する Photo: Shusaku MATSUO
リアルタイムの動きを計測し、実走でも有効なポジションへと導く Photo: Shusaku MATSUO

アセスメントがポイント

 渡辺さんは「基本的にアセスメントを基にポジションの提案をしていきます。與那嶺選手の場合、可動範囲も広く、出力も高いですし、維持もできます。どんなポジションも取れてしまうのですが、どれが最適かは本人にはわかりません。迷いをなくすため、どこがいいかを探していく作業になります。以前はコンピュータが導き出した数字にバイクを合わせているだけでしたが、ライダーは単純じゃありません。アセスメントとココミュニケーションを取ることがポイントになってきます」と語る。いままでは感覚的なものであったポジションを、数値データという比較対象を用いることで、より具体的なものとしていくという。そのうえで、フィッターの知識を上乗せし、最適なポジションを探っていく。

ライダーとのコミュニケーションが重要となる Photo: Shusaku MATSUO

 フィッティングを終えた與那嶺は「このポジションに全く違和感はありませんが、いいかどうかはわかりません。まずは作ってもらったポジションでレースまでの1カ月間を乗り込んでみたい」と話した。この日、サドルを高くしたうえに、ステムを2cm短くした。サドル幅やクランク長変更の提案もあったが、使用可能な機材のなかで調整していくという。

與那嶺の動きが可視化される Photo: Shusaku MATSUO
リトゥールでフィッティングしたバイクやインソールで2019年シーズンへと挑む與那嶺恵理 Photo: Shusaku MATSUO

 リトゥールでは計測したデータにウェブサイトからアクセスし、いつでも確認することが可能。サービスを受けられるショップは全国で約40店舗と範囲を拡大している。フィッティングにかかった時間はおおよそ3時間、価格はロードバイクの場合3万円ほどだ(店舗によって異なる)。基準となるポジションを求めるサイクリストにとって、リトゥールがその第一歩となるのは間違いないだろう。

■リトゥールフィッティング
税抜価格:30,000円(ロードバイク)、35,000円(タイムトライアル、トライアスロン)
※スペシャライズド新宿の参考価格

■リトゥールカスタムフットベッド
税抜価格:17,800円
※スペシャライズド新宿の参考価格

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