新春インタビュー2019<1>チーム所属3年目のシーズンでツール出場を目指す新城幸也 欧州プロチームの現状を解説

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 2019年新春インタビューの第一回目は、日本のロードレース界のエースである新城幸也(バーレーン・メリダ)に欧州の現状やツール・ド・フランス出場について、また“未来のユキヤ”について聞いた模様をお送りする。何をチームから求められているのか、どのような目的でスケジュールを組み立てるのか、単独インタビューで深く掘り下げた。

新春インタビュー第一弾は新城幸也(バーレーン・メリダ) Photo: Shusaku MATSUO

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移り行く基準へ対応を

――単刀直入に聞きます。どうやったら今年、ツールのメンバーに選ばれるのでしょうか

新城:このチームは誰が戦略の軸になるかでメンバーが決まります。昨年のエースはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)でしたね。ニバリが出場するのであれば、自ずとメンバーの半分は決まってきます。フランコ・ペリッツォッティ(イタリア)や、ソニー・コルブレッリ(イタリア)、イサギレ兄弟などです。残りの枠に入らなければならなかったわけです。

ツアー・オブ・ジャパンでの落車以降、リズムを崩した昨シーズン Photo: Miwa IIJIMA

 しかし、今年は今の段階で誰がツールに出場するか分かりません。所属メンバーも大きく変わりました。ローハン・デニス(オーストラリア)は有力かな。合宿でチームと合流してから決めていく話になります。もちろん、今の段階から「グランツールに出場させてほしい」とオーダーは出しています。

――フィジカル面で求められることはありますか

新城:上りで働ける選手が必要とされています。今のレースはツールも含め、距離が短くて上りが多いレースが増えました。その場合、100kmちょっとしかなく、3時間ほどでレースが終了します。スプリンターにとっては消化ステージとなりますが、アシストにとって上りで動けなければチームから必要とされません。出場メンバーに選ばれるためには強化しなければならないポイントだと重要視しています。

――エアロロードのメリダ「リアクト」は乗り続けますか

新城:今季はオールラウンダーの「スクルトゥーラ」に乗ります。どちらに乗るかは自分で選択できますよ。リアクトもよく走りますが、上りで頑張りたいので少しでも軽いバイクを選びたいですね。ディスクブレーキかどうかはチームの判断によります。

昨年まではメリダのエアロロード「リアクト」でレースを戦った Photo: Shusaku MATSUO

――機材の話でいうと、無線やパワーメーターの使用禁止について欧州で議論されています。新城選手の考えを教えてください

新城:無線なしの時代も走っていたので、使っても使わなくてもどっちでもいいです。パワーメーターもここ4年しか使っていません。レース中もほとんど見ていない。1カ月とか1年とかの単位で結果論としてデータを見ているだけです。データをリアルタイムで送って無線で管理されてるわけではありませんからね。

 でも、集団の先頭を引く選手や、逃げている選手は活用していると思います。自分の力をどれだけ出せばどれだけ走れるかが計算しやすいからです。いきなり差を詰めることをせずとも、大まかな想像で動くことが可能になります。それがパワーメーターで大事になってくる部分。例えば1000W出すスプリントや、位置取りの最中に見てる場合ではありません(笑)。

 僕もFTPやNPなど、基本的なことは知っています。ただ、「こういうトレーニングがいい」などという解析はしていません。ほかの選手もチームのトレーナーに任せています。そのトレーナーがトレーニングメニューを組むうえで、後からデータを見れなくなることがパワーメーター使用禁止に反対している人たちの言い分ではないでしょうか。僕には影響はありませんね。

体を“レースモードへ”切り替える

――グランツールの出場人数が1人減り、1チームあたり8人になりました。新城選手にとって影響はありますか

レースでコンディションを上げるスタイルの新城幸也(バーレーン・メリダ) Photo: Miwa IIJIMA

新城:これは多くの選手にとって大きく影響するでしょう。グランツールに限らず、多くのレースで出走人数を減らしています。レースに出られる枠が減るので、選手が余っちゃう。僕は昨年、怪我の影響でレースに出た日数が少なかったのは仕方ないとして、元気な選手でも年間50~60レースしか出場できなかったチームメイトもいました。出走メンバーに入るセレクションが大変になってきています。他のチームもそうですが、チーム全体で30人も選手を抱えてもしょうがない。昨年は2017年と比べ、バーレーン・メリダは2人選手数を減らしてシーズンをスタートさせていました。

――話は戻りますが、ツールのセレクションに入るためには、選考レースの出場枠に入る必要もあるのですね

新城:はい。ツールに出場するためにはツール・ド・ロマンディなど5月のレースで結果を出す必要があります。そのレースに出るためには4月のクラシックシーズンをしっかりと走らなければなりません。なので、今年は4月にピークを持っていこうと思います。

 そして逆算してツアー・ダウンアンダーで体を“レースモード”にしてきます。2月の欧州はワンデーレースばかりなのですが、僕はステージレースで調子を上げるタイプ。一度レースモードになってしまえば、レースまで間が空いても構いません。2月はタイに戻るか、中東のレースでコンディションを保つことになると思います。

――最後に、若い選手が“未来のユキヤ”になるために必要なことを教えてください

新城:ヨーロッパで走るのであれば、ヨーロッパのチームに入りたい選手が来るべきだと思います。ヨーロッパで走れば確かに多くの経験を積めますが、自身のレベルアップを目的にして、最終的に日本に戻ってしまっては意味がありません。ヨーロッパのプロチームに入り、選手としてやっていくことを目的にしなければならないと思います。

 ヨーロッパでプロになるのは大変です。生活するだけで精いっぱいになると思います。フランスのチームならフランス語、イタリアならイタリア語を話さなければならない。自転車のトレーニング以外で疲れてしまってはいけません。環境に適応できる力が必要となってきます。

欧州プロチームの内情を説明する新城幸也(バーレーン・メリダ) Photo: Shusaku MATSUO

 今まで多くの人が欧州へと渡りました。現在、自分を含めて欧州にいる日本人もいます。そうした人たちと話をして、いま海外で活躍している人の言葉を聞いてほしい。そこからヨーロッパのリアルな現状が見えてくると思います。5年経ったら業界の内情もガラリと変わります。いや、3年もないかな。毎年新しい基準やシステム、価値観ができています。そこを知ることが大切です。

 ヨーロッパに行ったから強くなるのではありません。勘違いしちゃいけない。ヨーロッパでプロになるというのは簡単なことじゃない。日本よりも競争率が高い世界です。欧州を目指す選手は「最終的にはプロになる」という目標をブラさず、活動してほしいですね。

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