2019年新春インタビュー<5>今治市・菅良二市長、自転車を活用したまちづくりで「全国で地方創生の大きなうねりを」

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 2018年11月15日に設立された「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」の設立総会には、自転車によるまちづくりに積極的に取り組む全国市区町村長など276人が参加し、今後の自転車行政に各自治体が注力しようとしている姿がうかがえました。その発起人として、いち早く自転車行政に取り組んできた愛媛県今治市の菅良二市長に新春インタビューの締めを飾っていただきます。(聞き手・Cyclist編集長・澤野健太)

「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市町村の会」を立ち上げた、今治市の菅良二市長。愛車と一緒に笑顔でポーズ Photo: Kenta SAWANO

「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」を設立

――今回、「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」を作った経緯、きっかけを教えてください。

「サイクリングしまなみ」のサイクリングジャージでインタビューに臨んでくれた菅良二市長 Photo: Ryo KAMIKATAHIRA 

 私自身がサイクリストで、自ら先頭にたち自転車の活用推進を図っていますが、ここ近年、多くの自治体が自転車を活用して、「環境」「健康」「観光」といった社会課題の解決や地域活性化に向けた取り組みを始めています。この機に、志を同じくする全国の自治体が連携することで、自転車文化の普及・拡大を図りつつ、地方創生の先進的な取り組みとすることを目的に、設立を目指しました。

 国も国土交通省に自転車活用推進本部を立ち上げ、国土交通大臣が本部長に、省庁も横の連携をとって、国を挙げて自転車の活用を推進していくという流れの中、全国294の団体にご賛同をいただけることとなりました。

――菅市長お一人で、立ち上げたのでしょうか。

2016年、ビワイチサイクリング時に、琵琶湖大橋の展望スペースで記念撮影する菅市長と守山市の宮本市長(守山市提供)

 もとは滋賀県守山市の宮本和宏市長と始まった話でした。2015年7月に宮本市長がしまなみを訪れ「やはり進んでますね」と驚いていました。翌年(2016年)にこちらも琵琶湖に行って走り、昨年(2017年)にはサイクリング事業で姉妹提携しました。名護市とも同様に提携を結び、沖縄からの帰路に、青い海を見ながら「日本中がサイクリングで元気になるように、この連携をもっと全国に広めよう」と考え付きました。

 さらに宮本市長が東大サイクリング部OBでそこの先輩に国交省関係者がいることもあり、自転車活用推進本部や自転車活用推進議員連盟ともつながりができ、全国へ呼びかけ会員を募る中でそうした関係機関にご協力をいただきながら、このたびの設立の運びとなりました。

「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」設立総会で話す菅良二市長 Photo: Kenta SAWANO
設立発起人の市長。右から愛媛県今治市の菅良二市長、北海道美唄市の髙橋幹夫市長、岩手県北上市の髙橋敏彦市長、新潟県佐渡市の三浦基裕市長、群馬県前橋市の山本龍市長、滋賀県守山市の宮本和宏市長、広島県尾道市の平谷祐宏市長、鹿児島県南さつま市の本坊輝雄市長 Photo: Kenta SAWANO

国内外からの誘客で地域活性化

――会の目的は? 日本の自転車事情をどうしたいでしょうか?

 全国の自治体がタッグを組み連携することで、自転車文化の普及・拡大を図りつつ、全国に地方創生の大きなうねりを起こしていきたいです。単なる移動手段としての扱いではなく、「生きがい」「友情」を育み「健康」をもたらす、また「観光」振興のツールとして、「環境」問題の解決にも大きな役割を持つ自転車に対する評価を、市民・国民に再認識していただきたいと願っています。

――9人のブロック長はどういった選出ですか、ブロック長の役割は?

 まずは、首長自身が熱心なサイクリストであることを条件に情報収集し、全国9ブロックより呼びかけ人を募りました。それから3度の会を持ち、本会設立に向けた規約、役員構成などについて協議するに合わせ会員を募り、各ブロック内の会員による調整によりブロック長9名を選出しました。ブロック長の役割は、各ブロック内での地域間交流による事例発表や意見交換会、現地視察でのサイクリング体験、また市域をまたいだ合同イベントなどを実施したりと、ブロックごとで自由度の高い活動について統括することになります。

――四国ブロックはどのあたりを重点的に取り組んでいきますか

「四国一周1000キロルート」を発表した愛媛県の中村時広知事(中央)とPR大使の一青妙さん(中央右)、サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー門田基志選手(チームジャイアント、中央左)。ほか「ノッテる!ガールズEHIME」の皆さん Photo: Kyoko GOTO

 昨年11月から始動した「四国一周サイクリングチャレンジ1,000kmプロジェクト」の挑戦者も増えている中で、ルートをうまく活用し、ルート外へも人の流れを作るにはどうすれば良いか、また、四国八十八箇所などの歴史のある文化などのコンテンツを取り入れたサイクルツーリズムなどについて、事例発表や意見交換を重ねながら、最終的には国等への要望活動を行うなど、ブロック会員にとってメリットのある取り組みにしたいですね。

――四国の中で今治市が取り組むべきことは何でしょうか?

 しまなみのブラッシュアップはもとより、ブロック長の務めを全うするためにも、四国全体をサイクリングアイランドと位置付け、国内外からの誘客を図り、交流人口の拡大による地域の活性化を目指したいです。

――モデルとしている都市はありますか?

 各地域にそれぞれの良さが必ずあり、見習うところは沢山あろうかと思っております。これから仲間となった地域に出向き、実際に肌で感じることで、お互いに参考とさせていただく施策や取組が見つかり繋がっていくことを心から期待しています。最初は周りの様子をうかがっている自治体もありましたが、実際にこちらから相談に伺い熱意を伝えることで理解を示していただきました。「市長自ら声をかけに市町村を回っている」というのが噂になって広まっていたようです。

――今後、「~全国市区町村長の会」はどういう活動をしていきますか?

 年1度の総会、シンポジウムとサイクリング体験を融合した各ブロック持ち回りによる「全国シクロサミット」の開催、国を始めとする関係機関等への要望活動を行います。今後は総会開催の誘致合戦になってくれると良いですね。

終始笑顔でインタビューに答えてくれた菅良二市長 Photo: Ryo KAMIKATAHIRA

キング・リューとのサイクリングが始まり

――全国はもちろん、世界から注目される「しまなみ」がここまで有名になると思いましたか? 今後どう活用するか?改善点は?

 景観の良さはもちろんですが、やはり「サイクルオアシス」や「国際サイクリング大会」に見られる地域住民によるおもてなし体制の構築が大きいものと感じています。「サイクリストの聖地」として更なる国内外からの誘客を図り、交流人口の拡大による地域の活性化を目指していきます。それも中村時広愛媛県知事の呼びかけにより、GIANT前会長の劉金標(りゅう・きんひょう、英語名:King Liu=キング・リュー)さんが、7年前にしまなみを走ってくれて「これは素晴らしいコースですね」とおっしゃったのが全ての始まりですね。

全国の首長へ「自転車に乗りましょう」

――「わが町も『しまなみ』のように」と考える自治体も多いかと思いますが、どのようなアドバイスができますか?

今治市応接室で1時間たっぷりインタビューに応じた菅市長(右) Photo: Ryo KAMIKATAHIRA 

 他を真似ることも大切ですが、それぞれが持つ地域資源を徹底的に磨き上げていくということ、そのために地域や民間を巻き込み、同じ方向を向いて一体となり、連携を図っていくことが非常に大切だと思います。しまなみが皆様に知っていただいたのも、これまでの地道な努力の積み上げにより、知らず知らずのうちに花が咲き、今があると思っています。お金をかけて新しいことを仕掛けることも大切ですが、今ある地域資源それぞれの質を維持し高めていくことが非常に重要なことだと考えています。

――菅市長の普段の自転車との関わり方は? どれくらいの距離を乗りますか?

 行事に追われ、なかなか自転車にまたがる暇がないのですが、少しでも時間がとれれば、休むよりもまずはサイクリングをすることでストレスを発散させています。市職員有志による自転車チームで定期的にサイクリングをしていますが、多いときには100kmを走破します。首長さんもできるだけ、自転車に乗ってほしいし、それくらい元気であってほしいですね。

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