サイクルロードレース年末年始コラム<2>クイックステップは年間73勝、最も若いチームはサンウェブ チーム記録をランキングで紹介

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 年末年始特別企画として、サイクルロードレースに関するコラムを全10回にわたってお届けする。第2回は2018年シーズンのチームに関する様々な記録をランキング形式で紹介。

クイックステップが7年連続最多勝

 まずはワールドチームの勝利数ランキングだ。勝利数には、ナショナルチームの一員として出場した個人記録(国内選手権や各大陸選手権など)は含んでいるが、ナショナルチームとして出場したチームタイムトライアルでの勝利は除いている。例をあげると、アジア選手権チームタイムトライアルに勝利した日本チームの一員である別府史之と新城幸也は、それぞれトレック・セガフレードとバーレーン・メリダの勝利数には含んでいない。また( )内の数字は2017年シーズンの勝利数である。

チーム勝利数ランキング

1 73勝、クイックステップフロアーズ(56)
2 43勝、チーム スカイ(34)
3 38勝、ミッチェルトン・スコット(29)
4 33勝、ボーラ・ハンスグローエ(33)
ロットNL・ユンボ(26)
グルパマ・エフデジ(27)
アスタナプロチーム(18)
8 29勝、バーレーン・メリダ(12)
9 27勝、モビスターチーム(31)
10 26勝、ロット・スーダル(25)
11 23勝、BMCレーシングチーム(48)
12 21勝、トレック・セガフレード(18)
13 15勝、アージェードゥーゼール ラモンディアール(16)
14 13勝、UAEチーム・エミレーツ(19)
15 11勝、チームサンウェブ(19)
16 9勝、ディメンションデータ(25)
17 6勝、EFエデュケーションファースト・ドラパック(14)
18 5勝、カチューシャ・アルペシン(17)

 クイックステップが2012年以降、7年連続最多勝チームとなった。2017年オフには勝ち頭だったマルセル・キッテル(ドイツ)がカチューシャ・アルペシンに移籍するなど主力選手の多くがチームを去ったにもかかわらず、2017年の56勝を遥かに上回る勝利数をあげた。新加入のエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)が18勝をあげ、23歳以下の選手で計15勝を飾るなど、限られた補強と若手の育成が見事にかみ合った。パトリック・ルフェーブル氏がクイックステップのGMに就任した2003年シーズン以降ではチーム史上最多の勝利数となった。ルフェーブル氏をはじめとしたフロント陣の優秀さが際立って見える。

世界選手権チームタイムトライアルで優勝したクイックステップフロアーズ Photo: Yuzuru SUNADA

 また、クイックステップ、チームスカイ、アスタナは勝利した選手数が14人に上る。ミッチェルトン・スコットとグルパマ・エフデジは13人と、上位のチームは勝てる選手が多く、多少不振に陥った選手がいたとしても、他の選手でカバーできる戦力層の厚いチームといえそうだ。

 一方でロットNL・ユンボは勝利した選手数が6人のみで、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)とディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)の2人でチームの3分の2の勝利をあげている。勝利した選手数は6人であり、もしログリッチェとフルーネウェーヘンが負傷などにより不振だった場合は一気にチーム力が低下するリスクのあるチームといえそうだ。

イツリア・バスクカントリーで総合リーダージャージを着るプリモシュ・ログリッチェ(左から2番目) Photo: Yuzuru SUNADA

 対して、下位に沈んだチームはいずれも前年から勝ち星を大きく減らしており、立て直しが急務である。ディメンションデータとEFドラパックは積極的に補強を行った。カチューシャ・アルペシンは新たにパフォーマンス部門を設け、エリック・ツァベルをコーチに招くなどチームの底上げを図っている。

 これらの勝利数にはHCクラスや1クラスでの勝利も含まれている。ワールドチームに所属する選手は総じて実力が高く、下位カテゴリーのレースに出ると猛威を振るうケースが多い。そこで、ワールドツアーのみに絞ったランキングも調査してみた。( )内の数字は2017年シーズンの数字である。

ワールドツアー勝利数ランキング

1 38勝、クイックステップフロアーズ(30)
2 22勝、ボーラ・ハンスグローエ(19)
3 21勝、チーム スカイ(18)
4 17勝、ミッチェルトン・スコット(13)
5 14勝、BMCレーシングチーム(22)
6 12勝、モビスターチーム(12)
7 10勝、アスタナプロチーム(7)
ロットNL・ユンボ(10)
9 8勝、グルパマ・エフデジ(5)
チームサンウェブ(13)
11 7勝、ロット・スーダル(10)
12 6勝、UAEチーム・エミレーツ(8)
13 4勝、バーレーン・メリダ(4)
トレック・セガフレード(6)
15 3勝、アージェードゥーゼール ラモンディアール(2)
16 2勝、ディメンションデータ(3)
EFエデュケーションファースト・ドラパック(3)
カチューシャ・アルペシン(4)

 勝利数ランキングと同じような顔ぶれが上位に来ており、なおかつ軒並み前年より勝ち星を伸ばしていることがわかる。

 そのなかでBMCは大きく勝ち星を減らしている。2017年の勝ち頭であったリッチー・ポートとグレッグ・ヴァンアーヴェルマートが思ったように勝てなかったことが要因の一つだ。追い討ちをかけるようにスポンサー問題が発生、主力選手の多くが移籍するなど2019年シーズンは更に厳しい戦いを強いられることとなりそうだ。

ツール・ド・フランス第3ステージのチームタイムトライアルで勝利したBMCレーシングチーム Photo: Yuzuru SUNADA

 バーレーン・メリダはチーム発足1年目の2017年シーズンは、寄せ集めのような形になり低迷していたが、マテイ・モホリッチ(スロベニア)を筆頭に2018年シーズンに新加入した選手たちで計10勝をあげるなど、着実にチーム力はアップしている。しかし、2018年シーズンは29勝のうちワールドツアーでの勝利は前年と変わらず4勝のみだった。ワールドツアーで勝てる選手の輩出が課題といえそうだ。

最年少チームはサンウェブ

 続いてワールドチーム所属選手の年齢に関するランキングを紹介していく。まずはシンプルに所属選手の平均年齢を若い順に並べてみた。

所属選手の平均年齢ランキング

1 26.6歳、チームサンウェブ
2 27.4歳、クイックステップフロアーズ
3 27.9歳、チーム スカイ
4 27.9歳、EFエデュケーションファースト・ドラパック
5 28.0歳、カチューシャ・アルペシン
6 28.0歳、グルパマ・エフデジ
7 28.2歳、ロット・スーダル
8 28.3歳、ディメンションデータ
9 28.3歳、アージェードゥーゼール ラモンディアール
トレック・セガフレード
アスタナプロチーム
12 28.5歳、UAEチーム・エミレーツ
13 28.5歳、ボーラ・ハンスグローエ
14 28.6歳、モビスターチーム
15 28.7歳、ロットNL・ユンボ
16 28.8歳、ミッチェルトン・スコット
17 29.2歳、BMCレーシングチーム
18 29.6歳、バーレーン・メリダ
※2018年12月31日時点の年齢で換算

 チームサンウェブが唯一の26歳台となった。ローレンス・テンダム、ロイ・クルフェルスといった38歳の大ベテランが在籍しているにもかかわらず、25歳以下の選手が11人在籍している非常に若いチームである。メインスポンサーのサンウェブ社と無期限スポンサー契約を結んでいることもあって、長期的な育成を見込んだチームとなっている。

2017年ジロ・デ・イタリアで総合優勝したトム・デュムランを擁するチームサンウェブ Photo: Yuzuru SUNADA

 最多勝チームのクイックステップが2番目に若いチームであることが恐ろしい。今オフはフェルナンド・ガビリア(コロンビア)がUAEチーム・エミレーツに移籍したものの、まだまだ今後も連続して最多勝チームになっても不思議ではなさそうだ。

 勝利数ランキングでは低迷していたディメンションデータ、EFドラパック、カチューシャ・アルペシンといったチームは若い選手が中心のチームといえそうだ。育成が順調に進めば、チーム力の底上げができるかもしれない。

 主力選手の平均年齢を可視化するために、「平均勝利年齢ランキング」を作成してみた。「チームで勝利をあげた選手の年齢×勝利数」の合計値をチームの勝利数で割って算出。チームタイムトライアルの勝利は「チームの平均年齢×勝利数」で計算している。( )内の数字はチームの平均年齢である。

平均勝利年齢ランキング

1 25.8歳、ロットNL・ユンボ(28.7歳)
2 26.4歳、チームサンウェブ(26.6歳)
3 26.5歳、クイックステップフロアーズ(27.4歳)
26.5歳、トレック・セガフレード(28.3歳)
5 26.9歳、ボーラ・ハンスグローエ(28.5歳)
6 27.5歳、アスタナプロチーム(28.3歳)
7 27.6歳、グルパマ・エフデジ(28.0歳)
8 27.9歳、チーム スカイ(27.9歳)
27.9歳、ディメンションデータ(28.3歳)
10 28.8歳、ミッチェルトン・スコット(28.7歳)
11 28.8歳、アージェードゥーゼール ラモンディアール(28.3歳)
12 29.1歳、バーレーン・メリダ(29.6歳)
13 29.2歳、カチューシャ・アルペシン(28.0歳)
14 29.4歳、BMCレーシングチーム(29.2歳)
15 30.1歳、UAEチーム・エミレーツ(28.5歳)
16 30.4歳、ロット・スーダル(28.2歳)
17 30.5歳、EFエデュケーションファースト・ドラパック(27.9歳)
18 32.6歳、モビスターチーム(28.6歳)
※2018年12月31日時点の年齢で換算

 ロットNL・ユンボが最年少となった。25歳のフルーネウェーヘンが14勝、24歳のセップ・クス(アメリカ)が4勝、21歳のパスカル・エーンクホーン(オランダ)が2勝していることで大きく平均を下げている。対してチームの平均年齢は28.7歳となっており、アシスト選手の主力が高齢であるといえる。今季限りで引退の40歳ブラム・タンキンク(オランダ)をはじめ、35歳以上の選手が5人在籍していた。

ツアー・オブ・ターキーに出場したUAEチーム・エミレーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 クイックステップ、アスタナ、チーム スカイなど平均勝利年齢とチーム平均年齢がプラスマイナス1歳程度に収まっている上に、チーム勝利数ランキングで上位であるため、非常にバランスが良いチームといえそうだ。

 UAEチーム・エミレーツは勝利平均年齢が高く、主力選手の高齢化が課題だった。今オフに24歳のガビリアを獲得したことで2019年シーズンは大きく下げることができそうだ。

 最も勝利平均年齢が高いモビスターは、やはりアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)への依存度が非常に高い。本来ならチームの主力選手であるべきナイロ・キンタナ(コロンビア)とミケル・ランダ(スペイン)が計3勝では少しさびしい。バルベルデに次ぐ主力選手の確立がチームの課題となっている。

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