サイクルロードレース年末年始コラム<1>2018年シーズン最多勝は18勝、最多出場は92日 個人記録に関するランキングを紹介

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 年末年始特別企画として、サイクルロードレースに関するコラムを全10回にわたってお届けする。初回は2018年シーズンの個人に関する様々な記録をランキング形式で紹介。ランキングではUCIワールドチーム所属選手を対象としたが、際立った記録を持つワールドチーム以外の選手や日本人選手の記録についても紹介したいと思う。

シーズン最多勝は18勝のヴィヴィアーニ

 まずは、勝利数に関するランキングだ。集計に際して、チームタイムトライアルとハンマーシリーズでの勝利はチームの勝利とみなして、個人記録には含めていない。

ワールドチーム所属選手の勝利数ランキング

1 18勝、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
2 14勝、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)
ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)
4 12勝、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
5 9勝、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)
9 8勝、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)

 クイックステップに移籍1年目から猛烈に勝ちまくったヴィヴィアーニが断トツ1位だった。直近10シーズンの間で年間最多勝記録を持っているのは2009年に23勝をあげたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)で、ヴィヴィアーニは7番目に多い記録となっている。相当勝ちまくった印象だが、上には上がいるのだ。

今季18勝をあげたエリア・ヴィヴィアーニ。写真は「今シーズン最高のリードアウト」と語ったブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージのもの Photo: Yuzuru SUNADA

 また9位タイの選手を含む12人中、スプリンタータイプの選手はヴィヴィアーニ、フルーネウェーヘン、アッカーマン、デマール、ガビリア、サガン、グライペルと7人占めている。スプリンターがランキング上位に来るのは当然といえば当然なのだが、直近10シーズンでスプリンター以外で年間最多勝となったのは、2011年に18勝したフィリップ・ジルベール(ベルギー、オマガファルマ・ロット)のみだ。今季14勝をあげたバルベルデは、スプリンター以外の年間勝利数としては、このジルベールに次いで多い記録となった。

アレハンドロ・バルベルデの今季最大のハイライトは、世界選手権での初勝利だろう Photo: Yuzuru SUNADA
ツール・ド・フランス第8ステージで勝利したディラン・フルーネウェーヘン。ピースサインではなく大会2勝目を2連勝で飾ったことを意味するらしい Photo: Yuzuru SUNADA

 これらの記録には、ワールドツアー以外のHCクラスや1クラスなどのレースも含まれている。下位カテゴリーにおいてワールドチームは頭一つ抜けた存在であるため、勝率も高くなるだろう。そこで、ワールドツアーに絞った勝利数ランキングを掲載する。名前の後ろの( )内の数字は、ワールドツアー以外のレースを含む年間勝利数だ。

ワールドツアー勝利数ランキング

1 10勝、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)(18)
2 8勝、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)(8)
3 7勝、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)(14)
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)(12)
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)(8)
6 6勝、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)(9)
サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)(7)
8 5勝、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)(9)
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)(9)
プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)(8)
ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)(7)

 顔ぶれと順位に大きな違いはないが、年間14勝のフルーネウェーヘン、9勝のデマール、8勝のグライペルはランキング外となっている。また、クイックステップの選手は3人、ボーラ・ハンスグローエの選手が3人含まれている。この事実から推測できることは、クイックステップとボーラ・ハンスグローエのスプリントトレインが非常に強力ではないか、ということだ。

 ランキング外のフルーネウェーヘン、デマール、そして今季奮わなかったマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らは、実力不足のために勝てないとは思えない。スプリントトレインの力の差のため、位置取りで消耗するケースが多く、勝ちに繋がらないのではないかと思うのだ。

 サイモン・イェーツは今季8勝すべてがワールドツアーでの勝利だ。ブエルタ総合優勝を含めグランツールでステージ5勝。ステージレースの総合成績も良く、ワールドツアー個人ランキングでは1位となった。

 デニスは個人タイムトライアルだけで5勝をあげており、タイムトライアルの世界チャンピオンになったことはある意味では必然だといえよう。バーレーン・メリダに移籍してもタイムトライアルに主眼を置くことは変わらず、東京オリンピックの個人タイムトライアルで金メダルを目指す。

ジロ・デ・イタリアではステージ3勝をあげる活躍を見せたサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA
今季個人タイムトライアルでは9戦7勝と圧倒的な強さを誇ったローハン・デニス Photo: Yuzuru SUNADA

ワールドチーム最年長は41歳

 続いて、年齢にまつわるデータをいくつか紹介していきたい。まずは今季ワールドチームに所属していた選手を年齢が高い順にランキングにしてみた。

ワールドチーム最年長ランキング

1 41歳、スヴェイン・タフト(カナダ、ミッチェルトン・スコット)
2 40歳、フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ)
マシュー・ヘイマン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
ブラム・タンキンク(オランダ、ロットNL・ユンボ)
5 39歳、ロイ・クルフェルス(オランダ、チームサンウェブ)
6 38歳、ラースユティング・バク(デンマーク、ロット・スーダル)
グレゴリー・ラスト(スイス、トレック・セガフレード)
マルケル・イリサル(スペイン、トレック・セガフレード)
プシェメスワフ・ニエミエツ(ポーランド、UAEチーム・エミレーツ)
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)
(38歳は計13人)
※年齢は2018.12.31時点で換算

 最年長のタフトは、来季はアメリカのプロコンチネンタルチームであるラリーサイクリングに移籍して、現役を続行。40歳のペリツォッティ、タンキンクは今季限りで引退。ヘイマンは2019年1月のツアー・ダウンアンダーをもって引退となり、来季ワールドチーム最年長選手はクルフェルスとなる。そのクルフェルスも2019年シーズン限りでの引退を宣言している。

今季のジャパンカップでも来日したスヴェイン・タフトは来季も現役続行 Photo: Yuzuru SUNADA

 また、38歳以上の選手18人中、2018年シーズンに勝利したのは、カナダTT選手権優勝の41歳タフト、年間14勝の38歳バルベルデ、ツール・デ・フィヨルド総合優勝のミヒャエル・アルバジーニ(スイス、ミッチェルトン・スコット)の3人のみ。ワールドツアーで勝利したのはバルベルデのみだ。

 ワールドチームに限らず、UCI公認レースに出場した最年長選手はレックス・ネデルロフ(オランダ、ネックス・CCNサイクリングチーム)で年齢は驚異の52歳!ラオス籍のコンチネンタルチームに所属、オランダ国内選手権を51位で完走、ツール・ド・シンカラなどアジアの2クラスのステージレース5つに出場してすべて完走。まだまだ現役バリバリのレーサーなのだ。

 UCI公認レースで勝利した最年長選手は47歳のダヴィド・レベッリン(イタリア、ソヴァック・ナチュラ4エバー)だった。5月のアルジェリアで行われた2クラスのステージレースで1勝している(※勝利時点では46歳)。

 UCI公認レースに出場した日本人選手ではジャパンカップサイクルロードレースなどに出場した向川尚樹(マトリックスパワータグ)が38歳で最年長。日本人最年長勝利はツール・ド・熊野第3ステージで優勝した36歳の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)だった。ちなみに、マトリックスパワータグは全UCIコンチネンタルチームのなかで2番目に所属選手の平均年齢が高かった。

2016年ツアー・オブ・オマーンでのダヴィデ・レベッリン Photo : Yuzuru SUNADA
実力だけでなく国内選手では人気もトップレベルな佐野淳哉 Photo: Yuzuru SUNADA

 最年長に対して、最年少に関する記録も調べてみた。まずは今季ワールドチームに所属した選手のなかで、トレーニーまたは2018年8月1日以降に加入した選手を除いた選手を年齢が若い順に並べてみた。

ワールドチーム最年少ランキング

1 21歳、パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム スカイ)
ハーム・ヴァンフック(ベルギー、ロット・スーダル)
ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル)
ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、クイックステップフロアーズ)
マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームサンウェブ)
パスカル・エーンクホーン(オランダ、ロットNL・ユンボ)
ジュリアン・カルドナ(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ)
ニコラ・コンチ(イタリア、トレック・セガフレード)
10 22歳、ダヴィ・ゴデュ(フランス、エフデジ)
を含む19人
※年齢は2018.12.31時点で換算

 1997年7月11日生まれのシヴァコフが最年少。2017年にU23版ジロ・デ・イタリアで総合優勝を飾った若手のホープである。

 最年少勝利はツール・デ・フィヨルド第2ステージで勝利したランブレヒトだ。21歳1カ月での達成だった。ワールドツアーでの勝利となると、4月のツール・ド・ロマンディ第3ステージの山岳タイムトライアルを21歳3カ月で勝利したベルナルが最も若い。

 ほかに22歳以下で勝利したのは、3月のハンザムクラシックを21歳6カ月で勝利したアルバロホセ・ホッジ(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、3月のノケレ・クルスを21歳7カ月で勝利したファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップフロアーズ)、4月のツアー・オブ・ジ・アルプス第5ステージを21歳9カ月で勝利したパーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ)だ。以上の5人で2018年は計20勝を飾っている。

ツアー・オブ・カリフォルニアで2勝し、総合優勝を飾るなどシーズン6勝をあげたエガン・ベルナル Photo : Yuzuru SUNADA
スプリンターとして起用され、ネオプロながらワールドツアー3勝を含むシーズン7勝をあげたファビオ・ヤコブセン Photo: Yuzuru SUNADA

 なお日本人選手に関して、ワールドチームが出場可能な1クラス以上のレースでは3月のツール・ド・台湾第1ステージを岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が22歳9カ月で勝利した。対象レースを2クラスまで広げると、10月の大分アーバンクラシックで勝利したU23日本王者の石上優大が20歳11カ月で最年少となる。

1月から10月まで走り続けるタフな仕事

 ワールドチーム所属選手のなかで最もレースに出場した選手を紹介していきたい。ここでは、UCI公認のロードレースの出場日数をカウントしているため、さいたまクリテリウムのようなイベントレースや、トラック競技、シクロクロスへの出場日数は対象外とした。

ワールドチーム最多出場日数ランキング

1 92日、ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
2 91日、ヨハン・ファンジル(南アフリカ、ディメンションデータ)
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)
4 90日、トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)
ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
ジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)
トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)
ジェイロバート・トムソン(南アフリカ、ディメンションデータ)
10 89日、ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)

 バーレーン・メリダに移籍1年目のゴルカ・イサギレが最多出場となった。1月16日のツアー・ダウンアンダーで開幕を迎え、3月のパリ〜ニースで総合3位になるなどの活躍を見せており、4月下旬のツール・ド・ロマンディまでほとんど休みなくレースに出場した。5月はまるまるレースに出場せずにリフレッシュ。6月9日のツール・ド・スイスから、スペイン国内選手権優勝、そしてツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャに連戦で出場し、ラストは10月13日のイル・ロンバルディアでシーズンを終えた。弟のヨンも4位タイのレース日数で、兄弟揃って重用された一年だった。来季は2人揃ってアスタナプロチームへ移籍する。

 ランキング上位の選手にはアシストとしてレースに出場していた選手が多い。特にクウィアトコウスキーはツール・ド・フランスではアシストとしてハードワークしながら、勝利数ランキングでも5位タイになるなどエースとしての走りも際立っていた。使い勝手の良い選手は、あらゆるレースで起用されるのだろう。

個人成績ではスペイン国内王者になるなど、充実の1年を過ごしたゴルカ・イサギレ Photo: Yuzuru SUNADA
地元ポーランドで開催の「ツール・ド・ポローニュ」でステージ2勝&総合優勝を飾ったミカル・クウィアトコウスキー Photo : Yuzuru SUNADA

 ちなみに、ワールドチーム以外で最多出場したのはエウゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)の97日だった。第2位も同じくウィリエールのジャコポ・モスカ(イタリア)で95日となっている。2人とも逃げを得意とする選手で、デヘントやデマルキもそうだが、逃げに乗って目立てる選手はステージレースで起用される機会が多く、レース日数が増えるのだろう。

 日本人選手で最多出場は岡本隼で67日だった。1月のシャールジャ・ツアーに始まり、11月のツアー・オブ・福州まで長いシーズンを送っていた。ちなみに新城幸也は2014年に91日レースに出場した経験を持つ。

 続いて出場したレース全てで完走した選手の出場日数ランキングを紹介する。

全レース完走した選手の出場日数ランキング

1 90日、ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)
3 86日、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
パヴェル・コチェトコフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
5 81日、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)
6 80日、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ)
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)
グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
10 79日、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)

 ランキング上位の選手たちには、9、10月に良い結果を残している選手が多い。デマルキは9月以降に2勝、モレマは1勝、バルベルデは世界選手権に勝っている。イサギレ、ベネットはイル・ロンバルディアでトップ10に入り、ヴァンアーヴェルマートはカナダのレースで2位、3位と連続表彰台を獲得した。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージで勝利したアレッサンドロ・デマルキ Photo: Yuzuru SUNADA

 常にレースを完走できる選手は体調不良にならない身体の強さに加えて、調子の波が少ないのだろう。秋口に調子を落とす選手がいる一方で、調子を落とさずにレースを走れるので、相対的に好成績を残せているのではないだろうか。

 ワールドチーム以外での最多は85日出場してすべてに完走したヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス・ソルシオンクレディ)だった。エラダも9月のブエルタでリーダージャージを2日間着用するなど、シーズン終盤に良い走りを見せていた。

ツアー・オブ・ジャパン伊豆ステージを走る新城雄大 Photo: Yuu AKISANE

 日本人選手では新城雄大(キナンサイクリングチーム)が出場したレース34日間すべて完走している。ツアー・オブ・ジャパン伊豆ステージでは、リーダージャージを守るために序盤から集団けん引に力を使っていた。仕事を終えて集団から千切れても、どうにか走り抜きタイムアウトをギリギリ免れる順位でフィニッシュしていた。筆者は現地で観戦していたのだが、その時の新城の苦しそうな表情はとても記憶に残っている。日本選手権で3位に入ったのも頷ける立派な走りだった。

 そして、バルベルデは勝利数、最年長、完走記録の3部門でランクインしている。改めてとてつもない選手であることを思い知らされた。

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