Cyclist人気連載『工具はともだち』がイベントで限定復活工具ファン必走必見 KTC「ネプロス」の新ミュージアムに魅了された”芸術の秋”ライド

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 日本の工具メーカー、京都機械工具(KTC)が主催するイベント「京都の秋満喫ライド&ネプロス体感見学ツアー」が11月23日、KTC本社がある京都府久御山町と京田辺市で開催された。4回目となる今回は、KTCが世界に誇る最高級の工具シリーズ「nepros」(ネプロス)の魅力を“体感”できる施設として、この夏にオープンした「nepros museum360°」(ネプロスミュージアムサンロクマル)の見学が行われた。ほぼ全員“工具好き”というメンバーで構成された30人の参加者は、往復45kmのサイクリングを楽しみ、芸術品のような工具の魅力に触れる、KTCでしか体験できないライドプログラムを満喫した。

世界的な工具メーカー、KTCの最高品質シリーズ「ネプロス」を全身で体感できる「ネプロス ミュージアム360°」。鏡面仕上げの美しさは工具ファン垂涎 Photo: Ikki YONEYAMA

TOJ京都コース含む凝縮の45kmライド

 同イベントは秋の京都を走るサイクリングと、KTCの施設見学、そしてスタッフによるトルク管理講座を楽しみながら学ぶことができる。京都府久御山町にあるKTCをスタート・ゴール地点にした45kmのサイクリングコースには、木津川沿いの17kmのサイクリングロードと国内最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)の京都ステージで使われたコースの一部が含まれている。

総勢30人が脚力別に3グループに分かれて出走(写真はAグループ) Photo: Ikki YONEYAMA

 参加者は総勢30人。大半が工具好きで、新設された「ネプロスミュージアム」を見学したいという男性の参加者が占めたが、その男性に誘われて参加したという女性もいた。

 イベントはサイクリングからスタート。KTC社内屈指のサイクリストの皆さんの先導で、脚力に応じたA、B、Cの3グループに分かれて走り出した。近畿地方で「木枯らし1号」が吹いた翌朝、秋も終わりに近づく冷え込みを見せたが、4回目となる今回も気持ちの良い秋晴れが広がった。サイクリングロード(八幡木津川自転車道)に出ると、風向きは北風。次第に体が温まってくるとただただ追い風となり、サイクリストの背中を押して軽快に目的地へと運んでくれた。

八幡木津川自転車道を走り、TOJ京都ステージへと向かう Photo: Ikki YONEYAMA
工具好きという旦那さんに誘われて名古屋から参加した加藤知子さん。「工具のことはよくわからないけど、これを機に触れてみるのもおもしろそうと思って参加してみました」とのこと Photo: Kyoko GOTO
宇治市から参加した辻浦正志さん。イベント最高齢参加者で、同イベントに参加するのは3回目というリピーター Photo: Ikki YONEYAMA

 サイクリングルートを外れ、山へと向かう。TOJ京都ステージのスタート・ゴール地点である普賢寺「ふれあいの駅」を拠点にレースコースに踏み入ると、じわりじわりと足を疲労させる曲がりくねった上り坂が現れた。

TOJ京都ステージのヒルクライムコースでは、それぞれのペースでアタック Photo: Ikki YONEYAMA
友人に誘われて大阪から参加した酒田藍子さん。心配だった坂も皆に応援されて完走! Photo: Ikki YONEYAMA

 自転車歴は皆さまざまだが、工具を愛するサイクリストの皆さんはどうやら健脚揃い。山岳ポイント区間に入り、ライドリーダーの西村喜代一(きよかず)さんが「それぞれ自由なペースで上ってください」と声をかけると、それぞれがトルクを上げ、すいすいと坂を上り始めた。唯一「上りは苦手」といっていた酒田藍子さんも、皆の応援を受けて上り切った。心拍を上げ、体が温まったところでお互い笑顔に。「同じ釜の飯」ならぬ「同じ坂」を上ることで、参加者同士の距離がぐっと縮まったようだ。

コースの最高地点にある「山岳賞」の碑の前でポーズ Photo: Ikki YONEYAMA
途中の普賢寺「ふれあいの駅」に立ち寄り、それぞれ草餅やお茶を飲みながら一休み Photo: Ikki YONEYAMA

 里山特有のテクニカルなダウンヒルをこなし、普賢寺「ふれあいの駅」に戻ると、参加者は地元の方がついたばかりのよもぎ餅を食べたり、お茶を飲んだりして小休憩。往路が追い風なら復路は…という誰かの言葉に、皆苦笑い。向かい風覚悟でプロトン(集団)を形成し、助け合いながら一路KTC本社へ。宇治から参加した辻浦正志さんの話によると、同コースは地元でもよく知られる練習コース。45kmという手頃な距離ながら、午前中で内容の濃いライドを楽しんだ。

KTCの“精神”に触れる「ものづくり技術館」

 KTC本社へ戻り、ランチをとった後は工具ファンお待ちかねの施設見学。KTC本社の敷地内には製造工場のほか、同社の工具を展示しその歴史を知ることができる「ものづくり技術館」と、職人による工具の修理やユーザーサポートのための施設「ものづくり技術館 匠工房」、そして今秋開設した「ネプロスミュージアム360°」がある。今回はものづくり技術館とネプロスミュージアムの2つを、参加者たちは2つのチームに分かれて交互に見学した。

KTCものづくり技術館の吹き抜けのショールーム(2階から撮影) Photo: Ikki YONEYAMA

 ものづくり技術館の1階、吹き抜けのショールームには、最高級ツール「ネプロス」をはじめ、汎用ツールや専用ツールなど約3000アイテムに及ぶさまざまなツールを一堂に展示。ハンドツールの展示としては国内最大規模を誇る。KTCの歴史や工具の製造工程を学びながら、KTCのものづくりの精神に触れることのできる空間だ。

KTCが1日に出荷するアイテム数に相当する工具が展示されている。その数約3000点 Photo: Ikki YONEYAMA
材料を熱してから成形する「熱間鍛造」用のプレスマシーン。最大2000トンの加圧力を素材に打ち下ろす Photo: Ikki YONEYAMA

 参加者を案内したKTCスタッフの仲あずささんは、力を可視化できるKTCのデジタル型トルクレンチ「デジラチェ」の体験コーナーでトルク管理の重要性を分かりやすく解説。「ボルトやナットはつい締め過ぎていることが多い。トルクレンチの使い方を誤ると、とんでもなく強い力で締め付けている可能性があります。とくに自転車のように指定されるトルクが小さい場合、少しのブレが大きく影響するので締め付けたトルクが目で見えるデジタル型の方がより安心です」と説明した。

トルクレンチの選び方も解説 Photo: Ikki YONEYAMA
力を可視化できるKTCのデジタル型トルクレンチ「デジラチェ」の体験装置 Photo: Ikki YONEYAMA

もはや美術館!「ネプロスミュージアム」

 「ネプロスミュージアム360°」は、KTCが理想を追求した最高級工具「ネプロス」を「全身で感じてほしい!」という、いわばKTCの“工具愛”から誕生したミュージアムだ。

ネプロスミュージアムの入場券となるタグ。チケットと違い、キーホルダーとして思い出の品になる(入場料500円)。タグは7色から選べる Photo: Kyoko GOTO

 「より強い、より使いよい、より美しい」をコンセプトに設計され、「New Professional Satisfaction」(達人の新たな満足)の頭文字から名付けられた「nepros」(ネプロス)。1995年に発売され、2020年でちょうど25周年を迎えることを記念してミュージアムを開設した。

 コンセプトは「ネプロスを全身で感じる(感性)ライブ空間」。「6つのゾーン」を通過するごとに気分を高めながら、ネプロスを堪能するように構成されている。ネプロスのラチェットハンドルでできたピンクのドアノブで扉を開けると、入った瞬間に参加者を異空間へと誘われたような気分に。照明が落とされた館内では、丁寧な「鏡面仕上げ」が施されたネプロスが、スポットライトを受けて日本刀のような美しい光を放っていた。

照明が落とされたニュージアム内。入った瞬間、異空間へと誘われる Photo: Ikki YONEYAMA
6つのゾーンに分かれており、解説を受けながら前へと進む Photo: Ikki YONEYAMA

 6つのゾーンにはそれぞれ、「こんなところにネプロス」「ネプロス解体新書」「ネプロスシアター」「ネプロスに触れる」「ネプロスに包まれて」「ネプロスライフ」─という名称がついている。

「TOYOTA GAZOO Racing」のメカニックチームが使用する工具セット  Photo: Ikki YONEYAMA
ミュージアムから門外不出のネプロス工具8点セット。漆と金箔で金閣寺が表現されている逸品 Photo: Ikki YONEYAMA
ミュージアムのハイライト「ネプロスに包まれて」コーナー。タイトル通り、1800にも上るネプロス製品が四方をぐるりと囲むように展示されている Photo: Ikki YONEYAMA

 カーレースやモーターバイクなど世界の様々なシーンで信頼を獲得しているネプロスのツールの紹介から、製品開発の経緯や構造の秘密、製造過程の動画、実際に触れることができるコーナー、そしてネプロスシリーズが宝石のように展示された空間など、各ゾーンをガイドの解説とともに1時間ほどかけて巡った。

 ガイド役を務めたKTCスタッフの桐山香さんに「ネプロスの虜になってもらいます」と初めに言われたように、巡り終えた頃にはネプロスが欲しくなってしまったから、工具ファンはうっかり入ってしまうと“キケンな空間”かもしれない。

トリックアートを使った「インスタ映え」コーナーも Photo: Ikki YONEYAMA
ものづくり技術館内にある「オフィシャルグッズショップ」。ユニークなオリジナルアイテムが並ぶ Photo: Ikki YONEYAMA

大盤振る舞いな賞品に白熱の「じゃんけん大会」

 施設見学の後は、手持ちの工具に装着するだけで高精度なトルク測定ができるシステム「トルクル」を使ったトルク管理講座が行われた。

 講師を務めた山口佳之さんは、近年問題となっているボルトの締結に起因する事故を説明し、トルク管理の重要性を強調。ねじは伸ばすと元に戻ろうとする力が発生する原理を説明する一方、締めすぎると破断する危険性があることなどを説明し、トルクの値を目視しながら適正なトルク管理を行うよう呼びかけた。工具のプロにさまざまな質問ができる機会とあって、質問コーナーでも会場から積極的に質問が寄せられていた。

ラチェット装着時のトルクル ©KTC
手持ちの工具がトルクレンチに早変わりし、スマホにつながる ©KTC

 最後は恒例となったじゃんけん大会が開かれた。目玉賞品は「デジラチェ」。今回ライドリーダーを務めたKTCの西村さんが愛用し、「正直デジラチェを賞品にするのは予算外でしたが、サイクリストにぜひ使ってほしい」というたっての希望から賞品の1つに“ねじこんだ”という。

豪華賞品が当たる白熱のじゃんけん大会 Photo: Ikki YONEYAMA

 ほかにもネプロスのラチェットや、カーボン製の名刺入れ、マルチツール、KTCのオリジナルのマフラータオルなど、さまざまなKTCオリジナルグッズがプレゼントされた。また、じゃんけんの景品のほかにも、ネプロスミュージアムを見学した記念のソケットやオリジナル軍手など参加者全員に豪華なお土産が用意された。

最大の目玉商品は、サイクリストであるKTC社員も絶賛する「デジラチェ」 Photo: Kyoko GOTO
ミュージアム見学後、参加者全員にプレゼントされたネプロスのソケット Photo: Kyoko GOTO

 工具好きの旦那さんに誘われて参加したという加藤知子さんはイベント後、「工具をきれいだと感じた。ぴったり合う正確さも気持ちよく、工具好きな主人の気持ちがわかりました」と感想を語った。

 親子で参加していた父親の佐織仁さんは、「前回参加した友人から話を聞いて興味をもっていた。ライドも良かったし、工具について知らなかったことをたくさん勉強できて楽しかった」と語った。

親子で参加していた佐織賢太郎さん(左)と仁さん Photo: Kyoko GOTO

 息子の佐織賢太郎さんは、「工具に“ロマン”を感じた。使いやすさ、美しさももちろんだけど、使う人の安全性が考えられていると思った。自分でインターネットで検索しても、ここまで細部のこだわりを知ることはできない。五感を使って工具に触れられる貴重な機会だと思った」と満足した様子だった。

参加者全員で記念撮影 Photo: Ikki YONEYAMA

nepros museum360°(ネプロスミュージアム サンロクマル)

所在地:京都府久世郡久御山町佐山新開地128番地 KTCものづくり技術館内
入場料(税込):500円(※小学生未満は無料。但し、要大人同伴)
定員:1回10人
開始時間は1日4回(所要時間は約1時間)
1回目:9:00/2回目:10:30/3回目:13:30/4回目:15:00
休館日:土日及び同社休業日
予約方法:KTCものづくり技術館見学窓口にて電話予約(TEL:0774-46-3959)
 1.日時 2.予約者氏名 3.人数 4.来館方法 5.当日連絡がつく電話番号を連絡
受付時間:平日9:00~17:00(KTC会社休日除く)
問い合わせ:TEL(0774)46-3959/FAX(0774)46-4359
Email: support@kyototool.co.jp

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