走れば知られざる一面も海、味、気候で“THE 沖縄”を体感 「ツール・ド・おきなわ チャレンジサイクリング」実走リポート

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 市民レーサーの甲子園と称される「ツール・ド・おきなわ2018」のレースイベントを翌日に控えた11月10日、沖縄の各所を巡るサイクリングイベントが開催された。Cyclist編集部では、サイクリングとして用意された6コースのうち、約100kmを走破する「チャレンジサイクリング」に参加した。沖縄の海、味などで“THE 沖縄”を体感できるイベントだった。

海岸線を疾走する参加者たち Photo: Masahiro OSAWA

コースマップに騙されてはいけない

 チャレンジサイクリングは名護を出発し、自然溢れる「やんばる」(沖縄北部)の南エリアを巡るコースが設定されている。距離は約100km(公式サイト上の詳細ルートは103.3km)、獲得標高は1428m。走り応えのありそうな数値が並ぶ。しかし、ルートを見ると印象はガラっと変わる。「余裕だな」と思えてしまうのだ。その理由は、一見すると高低差が極めて少ないように見えるからである。

 しかし、「余裕だな」という根拠のない自信は、スタート後、10分以内に打ち砕かれた。突如、勾配のきつい坂が出現し、参加者の隊列は散り散りに。筆者も気づいた頃には、坂の途中で喘いでいた。

内陸は坂道だらけで「チャレンジサイクリング」の"チャレンジ"の意味をかみしめながら漕ぐことに Photo: Masahiro OSAWA

 コースプロフィール上はさほどではなさそうだが、実際に走るときつい。獲得標高100mに満たないような坂が、島を横切るルートでいくつも出現する(最高標高は179m)。このため、高低図に大きな山は描かれないが、公表数値どおり獲得標高は1400mを超える健脚向けのコースだったわけだ。後述する第3休憩ポイント(52.5km地点)では「もう坂はいいよ」といった声が聞こえてきたほど。走りごたえは十分。山より海のイメージが強い、知られざる沖縄の一面を見たようなルートだった。

 もちろん、海沿いも走る。坂を下れば、その先に見えてくるのはエメラルドグリーンの海。東京近郊ではなかなかお目にかかれない絶景がここにある。ペダルを漕ぐのをやめ、しばし見入ってしまうほどの美しさ。これぞ“THE 沖縄”だ。

坂を下れば、美しい海が見えてくる Photo: Masahiro OSAWA

地元グルメを堪能

 4つ用意された休憩ポイントでも“THE 沖縄”を堪能できる。11km地点に設けられたポイントでは、サーターアンダーギーや黒糖やバナナ、オレンジがあった。もうひとつが「ナントゥ」だ。ナントゥはういろうのような感じで、ほんのりとした甘さで、もちもちしていて最高においしい。

第1エイドではサーターアンダーギーやオレンジ、黒糖などが振舞われた Photo: Masahiro OSAWA
もちもちしていて美味なナントゥ Photo: Masahiro OSAWA

 2番目のポイント(37.2km地点)では、パイナップルクッキーやハイビスカスのジュースなどが置かれていた。ここで出会ったのが、千葉県出身で現在は那覇に住むという山崎さん夫婦。ご主人のヘルメットには、ツール・ド・おきなわ30回開催を記念したオブジェが装着されていて、参加者のなかでもひと際目立っていた。聞けば、毎年何らかの装飾をしてイベントに参加しているという。

第2エイドではパイナップルクッキーなどが提供 Photo: Masahiro OSAWA
那覇から参加した山崎さん夫妻。ご主人のヘルメットにはツール・ド・おきなわ30回開催を祝う作り物が Photo: Masahiro OSAWA

 3番目(52.5km地点)では軽い補給を済ませるポイントで、チョコレートや飴などが置かれていた。最後のポイント(73.7km地点)ではメインディッシュとして、アグー(沖縄の在来豚)肉が入ったアグーそばが振舞われた。

 休憩場所は、地元の中学校(金武町立金武中学校)。見た目は日本のどこにでもある学校なのだが、よく見ると格子状のバルコニーが沖縄っぽさを感じさせ、改めて南国特有の文化がここにあることに気づかされる。

沖縄の中学校のバルコニーなどに独特なデザインが見られた Photo: Masahiro OSAWA
アグー入りのそば Photo: Masahiro OSAWA

あぁ、神様、GOKISO様

 実は、この金武中学校にいる時点で筆者はピンチを迎えていた。エイドを立ち去ろうとしたその瞬間、チェーン落ちに見舞われたのだ(この日2度目、その後もう1度…)。通常ならすぐ復帰できるが、この時に限っては、チェーンガード奥にチェーンが挟まり、難儀していた。

チェーン落ちを救出してくれた近藤機械製作所の西尾知夏さん(右)と坂本悟史さん(左)。筆者の自転車を手に Photo: Masahiro OSAWA

 あれこれしているうちに「やりましょうか?」と声をかけてくれた一人の女性。よくみると、GOKISO(ゴキソ)ロゴのシャツを着ている。GOKISOは近藤機械製作所が展開する高級ホイールブランドだ。これはプロだと思い「ありがとうございます」とお願いすることに。手が油で汚れることを厭わず、対処していただき、ピンチを脱出できた。

 そんなこんなで「GOKISOが沖縄で何を?」と思い聞いてみたら、サイクリングでは参加者のサポートを行い、レースでは前日にホイールを貸し出しているという。しかも、サイクリングではチューブラータイヤでの参加者へのサポートも対応するなど、通常は考えにくい手厚いサポートが受けられるとのこと。いつか試してみたいホイールと思っていた筆者にすれば「パンクしたほうがラッキーじゃないか」と思えたほど。よく考えれば、GOKISOって神様の名前みたいだなと思いながらその場を立ち去った。

金武ダムで取材に応じてくれた全日本空輸の方々(右から山内さん、膳さん、小原さん、曲田さん)。東京から参加とのこと Photo: Masahiro OSAWA

 このアクシデントで学んだのは、困った人には会話が生まれるという法則。ならば、困っている人を探せばいい。

 ということで、金武ダム(約78km地点)で集合写真を撮ろうとしていた参加者を発見。すかさず「写真撮りますよ」と話しかけたら、「ありがとう、サイクリスト。毎月買っているよ」と言われたので、「うちはウェブで無料で見られますよ」と伝えた(よくあることなので我々が頑張らないと…)。それはさておき、会話の相手は、全日本空輸で働く皆さん。東京では味わえない沖縄の大自然を満喫すべく、職場の仲間で東京から沖縄までやってきたのだとか。こうした出会い、会話を楽しめるのも、ライドイベントの魅力だろう。

解放感たっぷりのライドも魅力

 金武ダムを越えると、アップダウンはほぼなくなり、ゴールに向け、海沿いの平坦路を疾走するのみ。かなりのアップダウンを繰り返してさすがに疲労がでてきたが、道路のすぐ先に見える美しい海が広がり癒される。

 しかも、11月だというのに気温は25℃を超え、通り抜けていく風が体にやさしい。本州では秋が深まるこの季節に、夏の格好で解放感たっぷりのサイクリングを味わえる喜びを名残惜しみながら、チャレンジサイクリングのゴールを迎えた。

コース脇の歩道に出るとエメラルドグリーンの海が広がる Photo: Masahiro OSAWA

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