ポラテック・コメタのツール・ド・熊野招待もコンタドール氏がキナンサイクリングチームの選手と熊野路をライド 自身の基金もPR

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2度のツール・ド・フランス個人総合優勝をはじめ、“グランツール”と呼ばれる3週間のステージレースを7回制覇した名サイクリスト、アルベルト・コンタドール氏が和歌山県を訪れ、11月6日にキナンサイクリングチームとの熊野路ライドを行った。また、キナンサイクリングチームのメインスポンサーである「株式会社キナン」を7日に訪問し、自身が2010年に設立した「アルベルト・コンタドール基金」をPR。キナンはその活動に全面的に賛同し、今後の取り組みに役立ててもらうべく寄付金を手渡した。

那智の滝をバックに那智山の上りを進む =2018年11月6日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

キナンチームの選手と山岳バトル?

 コンタドール氏とキナンサイクリングチームは6日、那智勝浦町・那智山をライドした。チームからは椿大志、中西健児の2選手と、加藤康則ゼネラルマネージャーがアテンドを行った。

那智山ライド出発前にアルベルト・コンタドール氏と記念撮影 =2018年11月6日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 現役時代は山岳で数々の激走を演じたコンタドール氏は血が騒いだのか、スタートからハイペース。キナンメンバーも負けじと食らいつき、自然あふれる山道を駆けた。この日は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録され、日本三名瀑の1つに数えられる那智の滝にも足を運んだほか、神仏習合による数々の伝承が残る那智山の荘厳なムードを感じていた様子だった。

那智の滝へとつながる飛瀧神社の鳥居前で一礼 =2018年11月6日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

コンタドール氏の基金にキナンが寄付

 コンタドール氏は翌7日には、新宮市にあるキナン本社を訪問。コンタドール氏の兄であるフランシスコ氏をともない、自身が2010年に設立した「アルベルト・コンタドール基金(フンダシオン・アルベルト・コンタドール/FUNDACION ALBERTCONTADOR)」の活動についてPRした。

自身が設立した基金について語るアルベルト・コンタドール氏 =2018年11月7日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 この基金は、サイクリングの楽しみを年代・性別問わず広めていくとともに、自転車を通じた青少年育成、2004年と2006年にレース中のコンタドール氏を襲った脳卒中の予防と啓発、古くなったバイクを修理し寄贈する、といった目的のもと活動。また、若い選手たちの育成にも力を入れており、UCI(国際自転車競技連合)登録のコンチネンタルチーム「ポラテック・コメタ」は同基金が運営している。

 同基金の代表であるフランシスコ氏は、これらの活動内容は世界共通の課題としてとらえているといい、今後は日本における協力体制も築いていきたいと述べる。この熱意に耳を傾けたキナンの角口賀敏会長は、同社の歴史とともに、自転車による地域貢献やツール・ド・熊野の主催、各種イベントの運営に力を注いでいることを説明。互いに手を取り合って絆を深めていける、よい関係づくりを約束した。

アルベルト・コンタドール基金への寄付を記念して。左からアルベルト・コンタドール氏、株式会社キナン・角口賀敏会長、アルベルト・コンタドール基金代表のフランシスコ・コンタドール氏、株式会社キナン・角口孝幸社長 =2018年11月7日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 そして、話はサイクルロードレースへ。日本とスペインそれぞれの競技の実情に触れ、キナンサイクリングチームとコンタドール氏主宰の若手育成チームとが、ともに高めていくための意見交換を行った。フランシスコ氏からは、「ポラテック・コメタをツール・ド・熊野に参戦させたい」との声も。夢が膨らむ一言に、その場にいた関係者から歓声が挙がった。

 話し合いを通じ、株式会社キナンはコンタドール氏の取り組みに全面的に賛同することを表明。角口賀敏会長と角口孝幸社長から寄付金を手交し、今後の活動に役立ててもらうこととなった。

地元サイクリストからの大歓迎に笑顔

 7日の昼には、キナンの研修センターで歓迎パーティーを開催。同社関係者のほか、地元のサイクリストも招待し、盛大にコンタドール氏を迎えた。

 会ではバーベキューのほか、近くの海で採れた海の幸、寿司のふるまいがあり、コンタドール氏も箸を使う“日本式”で熊野の味に舌鼓。食事後には即席のサイン会や撮影会が催され、選手・関係者、そしてファンからも愛される同氏の人柄を感じさせる温かな時間となった。

歓迎パーティーの参加者が揃っての記念撮影 =2018年11月7日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
箸を使った“日本スタイル”で熊野の食材や寿司を味わったアルベルト・コンタドール氏 =2018年11月7日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

アルベルト・コンタドール氏 インタビュー

 キナンサイクリングチームの活動やツール・ド・熊野の意義、そして日本の自転車界についてコンタドール氏に知ってもらったところで、インタビューを申し込んだところ、「お役に立てるなら」と、快く応じてくれた。(聞き手:キナンサイクリングチームメディアオフィサー 福光俊介)

◇         ◇

——オラ(やあ)、アルベルト! お疲れのところありがとうございます。今回が2回目の来日ですね。埼玉、そして和歌山とめぐっての印象はいかがですか?

コンタドール氏:心から楽しんでいます。日本の文化が大好きで、ファンの温かさにも感謝しています」

——キナンの本社がある和歌山県新宮市に来て、歓迎パーティーにも出席してくださいました。参加者と交流して、どんな気分ですか?

コンタドール氏:この地域の美味しい食べ物に出会えたことは幸せです。そして何より、みなさんとお会いできたことが最高の経験になっていると感じています」

飛瀧神社の神盃に口をつけたアルベルト・コンタドール氏 2018年11月6日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

——和歌山県ではサイクリングでいろいろなコースをめぐっていますね。11月6日にはキナンサイクリングチームのメンバーとも一緒に走りました。実際に走行してみてどんなことを感じましたか?

コンタドール氏:選手・一般のサイクリスト問わず、最高のトレーニング環境だと感じました。素晴らしい景色の中でトレーニングできることは、サイクリストにとっての幸せですよね」

——今回ご一緒させてもらったキナンサイクリングチームについてお話ししましょう。私たちは今年のUCIアジアツアーにおいてチームランキング1位になりました。さらには、アジアチャンピオン、日本チャンピオンを輩出し、これからはチームとして次のステップへと踏み出していく段階にあります。ご自身の経験も踏まえながら、次のステップへのアドバイスがあれば教えてください

コンタドール氏:まずはレースプログラムを整えることだと思います。UCIのレースカレンダーをチェックし、よいレースにめぐり合えるようチームとして取り組むことが大切ではないでしょうか」

——日本には別府史之選手(トレック・セガフレード)、新城幸也選手(バーレーン・メリダ)というワールドクラスのライダーが存在します。彼らに追いつけ、追い越せと多くの日本の選手がトライを続けています。今回の来日を通じ、わが国の自転車事情にも触れたところで、日本人選手にこれから期待することを教えてください

コンタドール氏:素晴らしい指導者と出会うことが必要ですし、あらゆる経験を積んでいくことも求められます。先ほどの質問の答えと同じになりますが、レースカレンダーをいかにうまく設定するかも重要です。それぞれに合ったレースで活躍できるよう、取り組んでほしいと思います」

——キナンサイクリングチームはツール・ド・熊野での個人総合優勝者の輩出を最大の目標としています。キナン本社では、「ポラテック・コメタもツール・ド・熊野出場を目指したい」といった話題で盛り上がりましたね。これが実現したなら、どんな意気込みで参加してくれますか?

前日のライドをともにしたキナンサイクリングチームの椿大志(左)と中西健児(右)が、コンタドール氏と「バキューンポーズ」で記念のショット =2018年11月7日 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

コンタドール氏:ハハハ…難しい質問ですね…。まずはキナンサイクリングチームの勝利を心から願っています。そして、ポラテック・コメタが出場できればキナンサイクリングチームの最大のライバルになってみせますよ」

——そのときには、また熊野にお越しくださいね

コンタドール氏:もちろん、スケジュールを調整して訪れますよ!」

——キナンサイクリングチームには2人のスペイン人ライダーが所属しています。それ以外にも、日本のみならずアジア圏では多くのスペイン人ライダーが走っていて、UCIアジアツアーのレベルを高めているという側面があります。「自転車王国」でもあるスペインですが、こうした選手たちが世界各地で活躍できる背景にはどのような要因が挙げられると思いますか?

コンタドール氏:どこの国へ行っても、自らの夢や目標に向かって努力することには変わりありません。自分が生まれ育った国ではなく、異国となれば厳しい状況に直面することだってあるでしょうし、苦しいことだってあるかもしれません。ですが、決して負けることなく、夢や目標に向かって、多少の犠牲を払ってでも挑戦し続けること。彼らの強さはそうした面から現れているのだと思います」

——ありがとうございました

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キナンサイクリングチーム 和歌山県

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