「この競技が大好きすぎる」38歳で世界チャンピオンに輝いた秘訣とは アレハンドロ・バルベルデにインタビュー

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 プロ16年間のキャリアの中で数々のクラシックレース、グランツールで勝利を重ねてきたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)はことし、オーストリア・インスブルックで開催されたロードレース世界選手権を初制覇し、虹色のジャージ「マイヨ・アルカンシエル」に袖を通した。38歳という年齢でタイトルを獲得した秘訣や、2年後の東京五輪に向けた試みを聞いた。(聞き手・松尾修作)

「この競技が好きすぎる」と無邪気に語るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン) ©CANYON JAPAN

 3回目の来日となったバルベルデは11月4日、さいたま市で開催された「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」でゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)を下し、アルカンシエルを着て初勝利を挙げた。翌日、リラックスして東京に滞在したバルベルデは、家族やチームメートと東京を観光。間を縫ったわずかな時間だったが、世界チャンピオンとしてインタビューに応じてくれた。

2018年の世界選手権制し、念願のタイトルを手にしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン) Photo : Yuzuru SUNADA

――世界選手権の優勝おめでとうございます。数々のビッグレースで優勝を経験してこられましたが、世界選手権優勝というタイトルはどういった位置づけなのでしょうか。

バルベルデ:これまで幾度となくレースで勝ってきましたが、世界選手権は次元が違う。圧倒的に別格です。アルカンシエルは大変意味のあるジャージです。

「世界戦のタイトルだけは圧倒的に別格だ」 ©CANYON JAPAN

――勝利を収めた要因を教えてください。

バルベルデ:一番の要因は経験に尽きます。コースも自分に向いていたことが後押しをしたことも間違いありません。しかし、これまで世界選手権を何度も走り、どこで脚を溜めて、どこで踏むべきかを分かっていたことは他の選手と比べても勝っていたポイントですね。レースの勝ち方を知っていたことも効いたと思います。

世界選手権を制したバイク、キャニオン「アルティメットCF SLX」 ©CANYON JAPAN

――38歳という大ベテランですが、年齢的に体力面でライフスタイルや練習方法を変えるものでしょうか。

バルベルデ:NO! その年のカレンダーによって多少は変化しますが、基本的にはあまり変えてませんね。ことしに関しては最初から世界選手権を狙ったカレンダーを組みました。普段であればクラシカサンセバスチャンなどを狙って走りますが、ことしは出場しなかった。メンタルもコンディションも集中している時間が長くなってしまうからね。

――それほど狙って挑んだ世界選手権だったのですね。16年間トップで活躍し続けるメンタリティを保つには何が必要なのでしょうか。

バルベルデ:楽しむことが大事。この競技が好きすぎるので、レースやトレーニングを苦に思ったことはないんだ。実はコンディションを上げるのにそんなにきつい練習を必要としてなく、普段通りのトレーニングをしておけば結果を出せる体質なんです。だから楽しいし、モチベーションも落とさず走れる。競って練習するのも好きですね。チームメートやアマチュアのおじさんたちとトレーニングすることも多いですが、レースのように走ることも多いです。1人で行う単調なメニューはつまらないですからね。勝負事が大好きなのです。

「世界戦で勝った要因は経験に尽きる」と断言 ©CANYON JAPAN

――2年後の東京五輪では40歳という年齢です。もちろん、挑戦すると思いますが、試走や準備をどのように進めますか。

バルベルデ:2年間という期間は十分といえます。来年は普通にカレンダー通りに走って、普段通り結果が出れば2020年の東京へ向けたカレンダーを組み始めます。コースを事前に試走するつもりはないですね。1週間前くらいに日本に入って確認するくらいでしょう。

――気候はいかがでしょう。35℃に迫る気温や、高い湿度は影響ありませんか。

バルベルデ:そんなに? それはちょっと厳しいね(笑)。

――次に機材についてお伺いします。ズバリ保守派でしょうか、それとも新しいモノは試したい?

バルベルデ:新しい技術は好きだけど、いろいろな選手が使った後、意見を聞いてから使います。自分にメリットがあるとわかってからでないと使いたくはないですね。チームバイクのキャニオンでは2種類のフレームを使ってきました。最初はアルティメット、次に空力に優れたエアロードを使っていましたが、再びアルティメットに戻しました。どちらも優れたバイクですが、アルティメットほうがさまざまなシチュエーションで自分に合っていると感じたからです。

2年後の東京五輪も視野に入れているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン) ©CANYON JAPAN

――プロ16年間で機材はレース内容を変えましたか?

バルベルデ:確かに機材は大きく変化したし、レースの戦術にも影響を与えています。しかし、それよりも選手がレースに臨むモチベーションが上がったことがレース界で大きく変化したポイントだと思います。昔は「練習で出るレース」と「結果を出したいレース」で明確に走り方の違いがあった。今は1月のダウンアンダーから全力です。全ての選手がどのレースでも成績を出しにきている。結果的にスピードが上がります。カレンダーが選手の動きを変えたと言えるでしょう。

――自転車に乗らないときは何をして過ごしていますか。

バルベルデ:普通の人として過ごしてますよ。特別なことは何もしません。映画を見たり、散歩したり。家族と一緒にする時間を何よりも大事にしています。日本では連れてきた奥さんと一緒に神戸牛を食べてみたいね! この後はチームメートも合流して東京観光に行く予定なんだ。

多忙を極めるなか、Cyclistのインタビューに応じてくれた ©CANYON JAPAN

――最後に、来シーズンはアルカンシエルジャージを着て走る意気込みを教えてください。

バルベルデ:ジャージを着ることを純粋に楽しみたいです。明確な目標や意気込みは特にありません。どういうリザルトが出るかもわかりませんし、普段通りこの競技を楽しむだけです。

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