“山の神”森本誠選手らも参戦神々が宿る那智山に挑む「熊野古道ヒルクライム」 300人がキナンの選手とともに秀峰の頂へ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 和歌山県南部の那智勝浦町で11月4日、「熊野古道ヒルクライム」が開催された。舞台となった那智山の深い自然と森林の中を、約300人のサイクリストが力走。ゲストライダーとして、熊野地域を拠点とするUCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」の5選手も参加し、走りはもちろん、トークショーや抽選会などのステージイベントを盛り上げた。

「熊野古道ヒルクライム」にキナンサイクリングチームの5選手が参加 ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

晩秋の熊野路を駆けるコース

 熊野古道ヒルクライムはユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録される熊野路を駆ける、晩秋の風物詩としてすっかり定着したサイクルイベント。年々人気が高まっており、和歌山県や近隣府県のみならず、東北は宮城県からも参加するなど、各地から健脚自慢が集った。

総勢300人のサイクリストが一斉にスタート ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 サイクリストたちは、同町の海水浴場「ブルービーチ那智」から5.4kmのパレード走行をしたのち、レースをスタート。その後は神仏習合による数々の伝承が残る那智の山道を一気に上っていく。参加者は標高931mの大雲取の山頂を目指す30.7kmと、妙法山阿弥陀寺を目指す14.6kmのコースに分かれ、それぞれの限界に挑戦した。

山本大喜がコースレコードをマーク

那智山の深い自然と森林の中へ漕ぎ入る ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 ゲストとして招かれたキナンサイクリングチームは、椿大志、山本大喜、トマ・ルバ、中島康晴、新城雄大の5選手が大雲取へ、加藤康則ゼネラルマネージャーが妙法山阿弥陀寺を目指し、約300人の一般サイクリストとともにコースを走った。また、“山の神”として数多くのヒルクライムを制する森本誠選手(GOKISO)、テレビ番組の出演で人気を博す筧五郎選手(56サイクル)もオープン参加し、こちらも大雲取を目指した。

 多くのサイクリストとの交流はもちろん、その走りをデモンストレーションする場ともなったゲストライダーたち。特に、大雲取までのルートには20%近い勾配や一部未舗装区間も待ち受ける中、森本、山本、ルバが熾烈なトップ争いを見せた。

熾烈なトップ争いを見せた森本誠と山本大喜、トマ・ルバ ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 前夜の雨でウェットな路面コンディションをものともせず、下りを攻める森本が山本とルバを終盤に引き離す。しかし、ここで意地を見せたのが山本だ。

終盤に追い上げてトップに立った山本大喜がコースレコードをマーク ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 山本はフィニッシュまでの最後の1kmで迎える激坂区間で猛追し、森本をパス。これまでの記録を約1分30秒上回る、56分55秒の驚異的なコースレコードをマークした。11月1日に入籍し、スタート前には参加者から祝福を受けたこともプラスにしての好走となった。多数の見せ場を作った森本も2秒差で続き、従来の記録を更新した。

 その後は、続々とサイクリストが頂上へ到達。フィニッシュが近づくと、歯を食いしばり、懸命にペダルを踏み続ける姿が印象的だった。

終盤の激坂区間を上るサイクリストたち ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
ゴール地点で参加者のフィニッシュを祝福するキナンサイクリングチームの選手たち ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

来年へ向けてレベルアップを誓う

 フィニッシュ後は走り終えた充実感と大雲取からの絶景に、参加者の多くが感動を覚えた様子。大阪府から参加した中村宗徳さんは、初のサイクルイベント参戦に「とても緊張した」と言いながらも、頂上では大満足の笑顔。スタートでは「周りに惑わされてついついハイペースになってしまった」そうだが、「走っていくうちに気持ちが落ち着いてきて、自分のペースに戻すことができた」と振り返る。日頃は那智高原や高野山で鍛練しているといい、「来年も絶対に参加する!」と宣言していた。

 特撮ヒーローをモチーフにしたサイクルジャージが印象的な「強力馬力自転車屋」の崎濱さん、久保さん、森下さん。和歌山市からの参加で、那智山でのベストタイム更新を目指して毎年参加をしているのだとか。

特撮ヒーロー柄のジャージが印象的な「強力馬力自転車屋」の3人。左から久保さん、森下さん、崎濱さん ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 崎濱さんが「下りはセーフティーに行った」と言うと、久保さんも「激坂ではタイヤがスリップしてしまい、ダンシングができなかった」と、濡れた路面に悪戦苦闘したそう。かたや、途中パンクトラブルに見舞われた森下さんは「何より完走できたのが一番」と、ほっとした様子。3人の目はすでに来年へと向けられ、さらなるレベルアップを誓っていた。

山本が「山の神」宣言、森本「僕は山の民」

 お昼からは、ブルービーチ那智で特産品の振る舞いや、ステージイベントで盛り上がった。ゲストライダーによるトークショーでは、走りの感想のほか、今後の目標などを語り合った。

 さらに、筧選手が現地入りするにあたり、自宅から約250kmを自走したとのエピソードを披露すると、会場は大きなどよめきに。コースレコードをマークした山本選手が「今日から自分が“山の神”です!」と宣言すると、元祖“山の神”森本選手は「今日から“山の民”になります」と応戦。選手たちのユーモラスなトークに笑いが絶えなかった。

 そのほか、選手たちがプレゼンターを務めた表彰式や抽選会なども行われ、大きな賑わいの中でイベントは閉幕。最後は、参加者とイベント関係者による記念撮影をして、次回大会での再会を約束した。

ブルービーチ那智でのトークショー。中島康晴がマイクを取る ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
プレゼントが当たる抽選会も ©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
©︎KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

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