大会中盤から後半にイタリア北部の山岳地帯へジロ2019は3つの個人TTステージと5つの山頂フィニッシュ コースプレゼンがミラノで開催

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 第102回目となるジロ・デ・イタリアのコースプレゼンテーションが、現地時間10月31日にイタリア・ミラノで開かれた。2019年大会の開幕地は、同国北部の都市・ボローニャ。大会前半はイタリア半島中部から南部、さらには小国サンマリノへ。2週目以降は北部の山岳地帯へと移り、最後は世界遺産の街・ヴェローナでの個人タイムトライアルで3週間の戦いを終える。

ジロ・デ・イタリア2019のコースプレゼンテーションに招待されたクリストファー・フルーム。おなじみのトロフィーとともに記念写真に納まる Photo: Gian Mattia D'Alberto / lapresse

社会的・文化的側面の強い大会に

 コースプレゼンテーションは、ミラノにあるRAI(イタリア放送協会)のホールを会場に開催された。ゲストとして、2018年大会の覇者であるクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、同大会でポイント賞を獲得したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が招待され、会の途中で華やかにステージへ迎えられたほか、イタリア期待のオールラウンダーであるジャンニ・モズコン(イタリア、チーム スカイ)も関係者とともにコース発表を見守るなど、高い注目度の中で進行した。

ジロ・デ・イタリア2019 コースマップ ©︎RCS

 2019年大会は、当初の発表通りボローニャでの8.2km個人タイムトライアルで開幕。同様に明らかとなっていたサンマリノでの個人タイムトライアルは、第9ステージに34.7kmで設定される。

 主催者RCSは2019年大会のコース設定にあたり、社会的・文化的な側面との結びつきを重視。イタリア中部に甚大な被害を及ぼしたラクイラ地震(イタリア中部地震)から10年、画家レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年といった要素を組み込んだコース設定。さらには、20世紀のイタリアを代表するジャーナリストであったインドロ・モンタネッリの生誕110周年を記念して、生まれ故郷のフチェッキオが第2ステージのフィニッシュ地点となるほか、作曲家ジョアキーノ・ロッシーニの故郷であるペーザロが第8ステージのフィニッシュ地点に選ばれている。

 会期は5月11日から6月2日まで。3週間、全21ステージの総距離は3518.5kmとなる。

獲得標高5000m超えの山岳ステージが複数登場

 大会の幕開けは、ボローニャでの個人タイムトライアル。8.2kmとレース距離こそ短いものの、最後の2.1kmは平均勾配9.7%の急坂。残り1km地点で16%区間が控えるなど、初日から有力選手間でタイム差がつく可能性がある。

 同じくボローニャを出発する第2ステージからは南へ進行。ダ・ヴィンチの生まれ故郷をスタートする第3ステージが、この大会最初のスプリントステージ。この日を含め、連続3日間はスプリンター向けのステージが設定される。

 第6ステージからは丘陵地帯を走るとともに、東岸のアドリア海沿いへ。第7ステージは、2009年の地震で大きな被害を受けたラクイラへ。第8ステージをはさみ、大会前半のポイントとなりそうなのが、サンマリノへと向かう第9ステージ。34.7kmの個人タイムトライアルは、中盤以降上り基調。山頂に建つ市街地を目指すルートは、終盤に最大勾配11%区間が待つなど難度が高い。上級山岳ステージが設けられていない大会1週目だが、この時点で総合首位のマリアローザ争いの形勢が見えつつある状況となっても不思議ではない。なお、第9ステージは近くで製造されるワインにちなみ、「サンジョヴェーゼ・ワイン・ステージ」と銘打たれる。

ジロ・デ・イタリア2018第1ステージ コースレイアウト ©︎RCS
ジロ・デ・イタリア2019第9ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 1回目の休息日を経て、ラヴェンナからモデナまでの第10ステージで2週目がスタート。この地域は、2012年のイタリア北部地震で最も被害が大きかったとされる。続く第11ステージとともにオールフラットで、スプリンター向けのコースセッティング。

 第12ステージから、いよいよ同国北部の山岳地帯へと入っていく。まずこの日は、レース後半に登坂距離8.9km、平均勾配9.4%のモントーゾで脚試し。今大会最初の山頂フィニッシュは、第13ステージ。前半から中盤にかけて難所を越え、フィニッシュ地点のチェレゾーレ・レアーレは標高2247m。最後の20.3kmは平均勾配5.9%、最終盤だけ見ると8.9%となる。

 第14ステージは、主催者が設定する5段階の難易度のうち、最大の5つ星が与えられた。10%前後の勾配を含むカテゴリー山岳が5カ所登場。獲得標高は4000mを超える1日は、131kmという短いレース距離も相まって激しい展開となること必至だ。

 2週目の最終日となる第15ステージは、秋に開催されるクラシックレース「イル・ロンバルディア」と一部コースを同じくし、サイクリストの聖地と言われるマドンナ・デル・ギザッロ教会やコルマ・ディ・ソルマーノ(ソルマーノの壁)、チヴィリオの上りなどが登場。コモにフィニッシュするのも秋のビッグレース同様だ。

ジロ・デ・イタリア2019第13ステージ コースレイアウト ©︎RCS
ジロ・デ・イタリア2019第14ステージ コースレイアウト ©︎RCS
ジロ・デ・イタリア2019第16ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 運命の3週目は、レース距離226km、獲得標高が驚異の5700mに及ぶ第16ステージから始まる。スタートと同時に上りが始まり、2つのカテゴリー山岳を通過後、中盤にパッソ・ガヴィアへ。標高2618mにあたるこの頂上が、2019年大会の最高標高地点「チーマ・コッピ」に設定される。勝負どころとなるのは、マルコ・パンターニの記念碑が建てられるパッソ・デル・モルティローロ(モルティローロ峠)。登坂距離12.8km、平均勾配10.1%、中腹で最大勾配18%となる急坂区間で、マリアローザ争いが大きく動くことが予想される。

 アンテルセルヴァを目指す第17ステージは、この大会3回目の山頂フィニッシュ。第18ステージは、実質最後の平坦ステージとなる。

 151kmと短めのレース距離となる第19ステージは、サン・マルティーノ・ディ・カストロッツァの山頂フィニッシュ。最後の13.6kmは、平均勾配5.6%の上り。ロードレースステージとしては最終の第20ステージは、またしても獲得標高5000mを超える、ドロミテ山脈をめぐる1日。チーマ・カンポ、パッソ・マンゲン、パッソ・ロッレと、最大勾配10%を超える山々をクリアし、最後はモンテ・アヴェナへ。フィニッシュに近づくにつれて勾配が厳しくなり、最終日を前に総合上位陣がタフな攻防戦を見せるに違いない。

ジロ・デ・イタリア2019第19ステージ コースレイアウト ©︎RCS
ジロ・デ・イタリア2019第20ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 そして、最後を飾る第21ステージは、ヴェローナでの15.6kmの個人タイムトライアル。中盤の登坂を経て、同地中心部に位置する円形闘技場「アレーナ・ディ・ヴェローナ」へ一気に駆け下りる。このステージを終え、個人総合成績でトップに立つ選手が、第102回ジロ・デ・イタリアの頂点に立つ。総合上位陣が僅差でこの日を迎えるとなれば、劇的な幕切れが待ち受けることになる。なお、最終日の個人タイムトライアルステージとして同地が選ばれるのは4度目となる。

総合系ライダーのターゲット設定に期待

 10月25日に発表されたツール・ド・フランス2019のコースと合わせ、総合成績での上位進出を目指す選手たちは今後、来シーズンの目標をどこに設定するのか選択を迫られることとなる。山岳の比重が高くなりそうなツールに対し、ジロは山岳・TTのバランスが保たれており、各有力選手の脚質に合わせたチョイスが期待される。

コースの発表をステージで見守った3人。左からエリア・ヴィヴィアーニ、クリストファー・フルーム、大会ディレクターのマウロ・ヴェーニ氏 Photo: LaPresse/Marco Alpozzi

 プレゼンテーションに出席したフルームはコース発表を受けて、現状では大会2連覇の可能性を排除しない姿勢を見せる。今シーズンの最大目標であったジロとツールの連勝「ダブル・ツール」の再挑戦も視野に、「12月に控えるトレーニングキャンプで来年のプログラムを決める」とコメント。仮にフルームがジロを回避するとしても、チームとしてマリアローザ防衛を目指して総合エースを送り込みたいとする。コースについては、第16ステージのモルティローロ峠に着目し、「選手たちの実力が試されるポイント」と述べた。

 このプレゼンテーションには出席しなかったものの、今年のグランツールの主役だったゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)、トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)らも、ジロとツールのコース設定を比較したうえで来季の目標設定を行う意思を示しており、今後の動向が注目される。

ジロ・デ・イタリア2019(星の数は主催者発表の難易度)

5月11日 第1ステージ ボローニャ~ボローニャ(サン・ルカ) 8.2km個人タイムトライアル ★★★
5月12日 第2ステージ ボローニャ~フチェッキオ 200km ★★★
5月13日 第3ステージ ヴィンチ~オルベッテロ 219km ★★
5月14日 第4ステージ オルベッテロ~フラスカーティ 228km ★★
5月15日 第5ステージ フラスカーティ~テッラチーナ 140km ★
5月16日 第6ステージ カッシーノ~サン・ジョヴァンニ・ロトンド 233km ★★★
5月17日 第7ステージ ヴァスト~ラクイラ 180km ★★
5月18日 第8ステージ トルトレード・リド~ペーザロ 235km ★★★
5月19日 第9ステージ リッチョーネ~サンマリノ 34.7km個人タイムトライアル ★★★★
5月20日 休息日
5月21日 第10ステージ ラヴェンナ~モデナ 147km ★
5月22日 第11ステージ カルピ~ノーヴィ・リーグレ 206km ★
5月23日 第12ステージ クーネオ~ピネローロ 146km ★★★
5月24日 第13ステージ ピネローロ~チェレゾーレ・レアーレ(ラーゴ・セッル) 188km ★★★★
5月25日 第14ステージ サン=ヴァンサン~クールマイユール(スカイウェイ・モンテ・ビアンコ) 131km ★★★★★
5月26日 第15ステージ イブレア~コモ 237km ★★★★
5月27日 休息日
5月28日 第16ステージ ロベレ~ポンテ・ディ・レーニョ 226km ★★★★★
5月29日 第17ステージ コンメッツァドゥーラ(ヴァル・ディ・ソーレ)~アンテルセルヴァ 180km ★★★
5月30日 第18ステージ ヴァルダーオラ~サンタ・マリア・ディ・サーラ 220km ★
5月31日 第19ステージ トレビーゾ~サン・マルティーノ・ディ・カストロッツァ 151km ★★★
6月1日 第20ステージ フェルトレ~クローチェ・ダウネ/モンテ・アヴェーナ 193km ★★★★★
6月2日 第21ステージ ヴェローナ~ヴェローナ 15.6km個人タイムトライアル
総距離 3518.5km(ステージ平均167.5km)
個人タイムトライアル 3
低難度ステージ 6
中難度ステージ 7
高難度ステージ 5

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