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栗村修の“輪”生相談<139>50代男性「レース前にトイレですっきり出せるコツはありますか?」

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 50歳手前でロードバイクに出会い、5年目になります。

 友人に誘われて(だまされて)最初に参加したヒルクライムをはじめ、エンデューロ、クリテリウム、市民ロードレース等など、ホビーレース中心に活動しています。自分のレベルなりに本気のホビーレーサーなのですが、レース参加の度に悩む事があります。それは排便、大きい方です。

 大体のホビーレースですが、早朝に集合してレーススタートとなるものが多いです。いつもよりずっと早く起きてレース会場に向かいます。場合によっては、前日深夜から車にバイクを積んで運転で移動したりもします。車中で軽く仮眠をとって、アップをして集合。スタート時間が朝の6時台〜8時台でしょうか。朝の5時台には着替えて動き始めています。するといつも便意を催すはずの時間に催しません。なんとなく下腹がもやもやしたまま、重い荷物をもったままスタートラインに立つような状態になります。

 スタートしてからレース終了までレースによりますが、1時間〜長い場合エンデューロで8時間という場合もあります。朝タイミングを逃しますと、ほぼそのまま翌日まで荷物をもったままになります。途中で仕入れた補給食も抱えたままです。つまりレースのある日は便秘になります。

 たまにタイミングよくレース直前にすっきりしてからスタートラインに行く事もありますが、そういう時は走る方の調子もすこぶる良い気がいたします。

 質問ですが、プロやエリートのレーサーの方々は、レースの日の排便に悩まれる事はあるのでしょうか。すっきりしてスタートラインに立つために、何かされている工夫等はありますでしょうか。

(50代男性)

 ご友人に騙されてレース活動を始められたとのこと、おめでとうございます。しかし、とうとう来てしまいましたね、この質問が。重要なので、本気でお答えしようと思います。

 おっしゃる通りちゃんと「出る」とスッキリしますが、レース前は精神状態や生活リズムが変わるので、デリケートな人はシモのリズムも狂ってしまいます。こうなると、ちょっと厄介ですね。

 ほとんどのプロ選手は、レース前には必ず“軽量化”をします。朝食後にトイレに行くパターンが多いですね。しかし、宿によってはトイレが混むので、優先的にトイレに行きにくい若い選手(ウ◯コも先輩選手に譲る必要がある?)などは、荷物を抱えたままスタートラインに並んだりもします。

 まあ、それは工夫でなんとかなるレベルですが、一番困ってしまうのは、逆パターンです。選手の世界でいう「×ビりグソ」ですね。「ビ×りグソ」タイプの選手は、レース前になると緊張でお腹の調子がおかしくなるようで、スタート前に2回も3回もトイレに立ったりします。結果的には他の選手より軽量化できるのでいいかもしれませんが、トイレ探しなどで苦労します。

レース前の“軽量化”はお約束 Photo: Yuzuru SUNADA

 私の親しい元選手の友人に以下の様な哲学を持った方がいました。

 「レース前は朝からスタートまで最低3回はこなすのがジンクス。5回行けば絶好調。レース会場などではまず空いてそうなトイレ(人目に付かなかったり一見不便だったり)を探してキープしておくのと、予備のペーパーを自前で用意しておくのがしきたり。前日の移動時にもちゃんと水分を摂っておいたり、出が悪いときは腰回りの運動をしたりで内臓が動くよう心がけたり、スタートが朝早いときは内臓の目覚めも考慮して、すごく早起きしたりもする」

 ともかく、選手たちもシモの問題には悩んでいるわけです。例外的ではありますが、去年のジロ・デ・イタリアで衝撃的なトイレ映像を公開してしまったトム・デュムランのようなケースもあり得ます。それまでのデュムランは荷物を抱えてあのチーマ・コッピを上っていたことになりますから、大変な話ではあります。

レース中、痛恨のトイレストップで遅れたトム・デュムラン。辛うじてマリアローザを守り、ジロ・デ・イタリア初優勝を飾った =ジロ・デ・イタリア2017 第16ステージ Photo: Yuzuru SUNADA

 もとい、トイレ対策としては、やはり上記の友人の様な、ご自身が催す条件(哲学)を知ることが大事ではないでしょうか。自分はどういうときにトイレに行きたくなるのか?を知るということです。ほら、人によっては牛乳がスイッチだったり、書店で本の匂いをかぐとトイレに行きたくなったりするじゃないですか。そういうスイッチを見つけておくんです。ちなみに東洋医学におけるツボの一つ「気海(きかい)」がウ◯コスイッチであるという情報もあります。

 また、ウ◯コが出ないと「おれは大量の食べカスを抱えたままレースを走るのか…」と精神的に打ちのめされた状態でスタート地点に並ぶ方もいるかもしれませんが、実はその成分というのは、80%が水分で、残る20%のうち3分の1が食べカス、3分の1が生きた腸内細菌、3分の1がはがれた腸粘膜だといわれています。人間のカラダは食べたものを殆ど吸収してしまうようで、「ウ◯コ=食べカス」ではないという事実を知っているだけでも気持ちに余裕が生まれるかもしれません。

 ただし、トイレも含めて無理は禁物です。お仕事もあるでしょうから、前夜移動で車中泊、というパターンになってしまうのもやむをえないとは思うんですが、年齢を考えるとお勧めはできません。脳卒中や心筋梗塞などの循環器系トラブルは怖いですからね。できれば、前夜入りしてしっかり睡眠をとってレースに臨んでください。もしかしたら、お腹の問題も、「無理なスケジュールでレースに出場しないで」という体からのSOSかもしれませんよ。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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