初挑戦のCyclist編集部員レポートe-BIKEで走った「サイクリングしまなみ2018」 新たなモビリティで見えた新しい聖地の走り方

by 石川海璃 / Kairi ISHIKAWA
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 瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)を走る国際サイクリングイベント「サイクリングしまなみ 2018」が10月28日に全7コースで開催された。尾道から今治へ向かう「IMABARI 70」(Aコース、約70km)が新設され、サッカー元日本代表の岡野雅行氏、ジャイアント・グローバルグループ最高顧問のトニー・ロー氏らを含め1006人が出走。海峡を横断する高速道路や、美しい景色が広がる海岸線など、世界に誇るサイクリングルートを体験した。e-BIKEでしまなみを走破した台湾からの一行「追風騎士」や、一般参加者の声も合わせて紹介する。

追風騎士一行と記念撮影する尾道市・平谷祐宏市長(写真右から6番目) Photo: Kairi ISHIKAWA

e-BIKEでしまなみ走破

スタートに向かうため準備に取りかかる Photo: Kairi ISHIKAWA

 午前4時、防寒着を着ないと肌寒く感じる気温の中、広島県尾道市の「ONOMICHI U2」の前には、「ジャイアント・アドベンチャー」のツアー客らがスタート会場に向かう準備をした。台湾の観光客と日本人のガイドライダーで構成される追風騎士の面々は、この日のために前日まで入念に整備されたe-BIKE「ESCAPE RX-E+」(エスケープ RX-E+)に乗って今回のしまなみ海道走破を目指す。

いざ、サイクリングへ

 準備を終えるとONOMICHI U2から400mほど離れた渡船乗り場から対岸向島へと渡り、スタート会場の向島運動公園へ。いつもは市民で賑わう運動場には国内外から集まった人で埋め尽くされていた。

自転車と一緒に向島に渡船 Photo: Kairi ISHIKAWA
出走する順番にエリアが分けられていた Photo: Kairi ISHIKAWA

 オープニングセレモニーの後、尾道市・平谷祐宏市長、トニー・ロー氏、岡野雅行氏の合図で、20〜30人ほどのグループが1分間隔でスタート。追風騎士の一行は6時25分頃に出発した。

岡野雅行氏もAコースに出走 Photo: Kairi ISHIKAWA
日が昇りきらない中スタート。上着を着ないと肌寒かった Photo: Kairi ISHIKAWA
高速の下にある専用道路から見た景色。金網越しだが美しい景色が広がっていた Photo: Kairi ISHIKAWA

 コースは広島県尾道市の向島に位置する向島運動公園から、愛媛県今治市のしまなみアースランドへと、しまなみ海道を南下する約70kmのサイクリング。スタート後は住宅街を抜け、因島と向島の間の布刈瀬戸(めかりせと)沿いから全約1.3kmの因島大橋を経由して因島へ。

 因島大橋は、しまなみ海道に設けられた橋で唯一、自動車と自転車(125cc以下の原付と歩行者も走行可能)の道路が2段に分かれている橋だ。橋の主桁部分に設けられた専用道路から金網越しに覗く景色は、ここから素晴らしいライドが続くことを期待させた。

自転車専用となった高速道路

料金所から高速へ侵入する参加者 Photo: Kairi ISHIKAWA

 因島南インターチェンジまで南下し、料金所のゲートをくぐって数百メートル走れば、いよいよ高速道路に入る。本線に入るまで地味な上りが続き、辛いところだったが、ESCAPE RX-E+には関係なかった。

 アシスト強度が1番強い「SPORTS」モードに切り替え、モーターのパワーをフルに使えばスイスイと上ってしまう。一般参加者の「電動アシストずるいぞ!」という声を受けながら上り終えると、この日だけは自転車専用に生まれ変わった片側2車線の道路がお目見え。車が1台も通らない道路上を、サイクリスト達は談笑しながら、普段はできない横幅いっぱいの並走を楽しんだ。

今治・尾道間、尾道・今治間を走る参加者がすれ違うシーンも ©サイクリングしまなみ2018実行委員会

 約14kmの高速道路区間を大三島インターチェンジで降りると、第1エイドの多々羅しまなみ公園に到着。みかんゼリーなどご当地グルメをはじめ、ボディケアや、メカニックブースなど手厚いサポートが待ち構える。追風騎士の一行やほかの参加者も自由にエイドを満喫していた。参加者からは「エイドステーションのボランティアスタッフの皆さんが朝早くから準備してくれていたようで頭が上がりません。飲み物、食べ物ともに充実していて嬉しいです」との声も。

スティックパンやゼリーが振舞われた第1エイド Photo: Kairi ISHIKAWA
HaBu Rachingの皆さんと尾道市・平谷祐宏市長(写真中央左側) Photo: Kairi ISHIKAWA

 その中でお揃いのジャージで揃えた一団を発見。話を聞いてみると、因島総合病院に勤める人を中心に結成された「HaBu Racing」(ハブレーシング)というチームのようだ。病院がある土生(はぶ)町と車輪の回転軸のハブをかけて名付けられ、地域の人と円滑な人間関係でありたいという願いも込められているそうだ。地元開催のイベントなので、チームのほぼ全員が参加したという。

e-BIKEの本領発揮

 1つめのエイドステーションを過ぎて5km走れば、伯方島に入る。その後サイクリングロードや一般道、高速道路を経由しながらさらに行くと、第2エイドの伯方S・Cパークに到着。塩製造地として栄えた島のエイドには、塩羊羹や塩飴など、塩を原料に使った特産品尽くし。サイクリングで失ったミネラルを補給するのに最適な食べ物が提供された。

ライド中の景色。世界のサイクリストが集まってくる理由が分かった ©サイクリングしまなみ2018実行委員会

 エイドが設置されたビーチでは、海を見ながら休憩をとる参加者や、美しい海を背景に自撮りする参加者も多かった。追風騎士の一行も平谷市長を交え、ツアーの横断幕を広げて記念撮影。ツアーの思い出を共有した。

島民が至る所で応援をしてくれた。疲れた時の声援ほどありがたいものはない ©サイクリングしまなみ2018実行委員会
ずっと眺めたいほど綺麗な景色 Photo: Kairi ISHIKAWA

 補給を完了したところでサイクリングを再開。いよいよ最後のエイドステーションに向かう。ここからは因島から大三島へ向かう際の道ほどの傾斜ではないものの、上りと下りが頻発。斜度のきつい坂ではバイクを押して歩く一般参加者も見受けられたが、ESCAPE RX-E+に乗る追風騎士の面々は、苦しそうなサイクリストを横目にシッティングで坂をクリア。あまりの楽さに思わず笑みがこぼれるシーンもあった。「電動アシスト速い!」「え、あのバイクめっちゃ速い」など、このライドでもっとも「エスケープ RX-E+」への反応が返ってきたシーンだった。

坂道で歩く参加者と対照的に笑顔で上るトニー・ロー氏(写真右) Photo: Kairi ISHIKAWA

 70kmというサイクリングは長いようで短い。最後のエイドステーション「よしうみバラ園」に到着した。Aコースを含め、5コースのエイドになっていることもあり、滞留する参加者は200人以上いて会場は大混雑。フードドリンク提供のスペースも盛況で、少し並ばないと補給ができないほど。改めて大会の人気度、参加者の多さを思い知らされた。

サイクリングの疲労で長く休憩する人も Photo:Kairi ISHIKAWA
会社の広報誌ために参加した山本佳奈さん(右から3番目)と八木柚香さん(右から2番目)。周りの人も一緒に記念撮影 Photo: Kairi ISHIKAWA

 エイドステーションには様々な動機で、様々なコースを走る参加者が集まっていた。地元の金融企業に勤める山本佳奈さんと八木柚香さんは左肩に「愛媛」と書かれたジャージを着て参加。会社の広報誌に載せるために参加し、一番距離の短い今治と大島を往復する「OSHIMA 30」(30km)を走ったという。「選んだコースは地元なのですが、普段こんなに大勢の人で賑わうことが嬉しい。海外からの参加者も多くびっくりです」とコメントした。

橋を渡り切ればこの景色ともお別れ。ゴールに向けてひと踏ん張りだ Photo: Kairi ISHIKAWA
数km手前の緩く長い坂を上る参加者。長い距離を走り、体力も限界に近い Photo: Kairi ISHIKAWA

 よしうみバラ園を出て海岸線沿いを走りAコース最後の橋、来島(くるしま)海峡大橋を越えると島々を巡る冒険も終了。予讃線をなぞって市街地に向かう。最後は岡山理科大学今治キャンパス周辺の緩やかで長く続く坂を上り、住宅地を抜けて、ゴールへ向かった。参加者は全員笑顔でフィニッシュラインを通過した。

e-BIKEはどうだったのか

 ゴール後、笑顔でゴールの喜びを分かち合った追風騎士の一行。これまで何回もしまなみを走った強者もいるが、e-BIKEという新しいモビリティでしまなみ海道を走破したのは、ほとんどの参加者が初めてだったという。

サイクリングを楽しむ追風騎士の一行 Photo: Kairi ISHIKAWA

 ホウ・リャンシャンさんは「海の島のコントラストが非常に美しいルートでした。高速道路を走るというのは非常に面白い試みです。今回はe-BIKE(ESCAPE RX-E+)で走りましたが、普段自分が乗っているバイクよりも上り坂が非常に楽でした」と語ってくれた。また、「美しい景色を求めてヒルクライムするときなど、まだまだ活躍できるシーンは多そうです」と期待した。

翻訳アプリを駆使してインタビューに答えてくれたホウ・リャンシャンさん Photo: Kairi ISHIKAWA
今年で72歳のトニー・ロー氏。アクティブに世界各地のサイクリングイベントに参加している Photo: Kairi ISHIKAWA

 トニー氏は「しまなみ海道の坂や上りで楽に走れるという大きなアドバンテージを得ることができました。今までスポーツサイクルに興味がなかった人でも気軽に楽しめるアイテムだと思います。世界では、欧州を中心に年々シェアを拡大させています。国によって環境は異なりますが、日本はしまなみ海道をはじめ、サイクリングを楽しめるフィールドが非常に多い」と話した。

しまなみサイクリング翌日もライドに出かけた追風騎士一行 Photo: Kairi ISHIKAWA

 

e-BIKEはスポーツバイクを始める多くの人に最適だ Photo:Kairi ISHIKAWA

 今回、人生で初めてしまなみ海道の美しい景色とe-BIKEを体験した。コースプロフィール以上にキツイと感じる上りや向かい風が強い橋の上でも、e-BIKEは力強いパワーでサイクリングをアシストしてくれた。そのおかげで島と海の美しい景色が広がるしまなみ海道を満喫できたように思う。今後、日本にe-BIKEが普及していけば初心者や高齢者など、多くの人が気軽にe-BIKEでしまなみ海道を走破できると感じた。

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