マイヨジョーヌ導入100周年の節目の大会ブリュッセルで開幕、アルプスでの山岳3連戦で王者が決まる ツール2019コースプレゼンテーション開催

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 第106回大会として2019年に開催される、世界最大のサイクルロードレース、ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションが、10月25日にフランスの首都・パリで行われた。2年ぶりにフランス国外からスタートすることとなり、ベルギーの首都であるブリュッセルでグランデパール(開幕地)を迎える。大会1週目で中央山塊を抜け、2週目はピレネー山脈、そして雌雄を決する3週目がアルプス山脈をめぐるルートセッティングとなった。

ツール・ド・フランス2019コースプレゼンテーションを見守る選手たち。(中央左から)クリストファー・フルームやゲラント・トーマス、ジュリアン・アラフィリップらが並ぶ Photo: ASO/Thomas Maheux

マイヨジョーヌやメルクスを祝う記念の大会に

 パリでのコースプレゼンテーションは例年通り、大会関係者や上位入賞を果たした選手たちが多数招待され、次回大会のルート発表を見守った。

ツール・ド・フランス2019ルートマップ ©︎A.S.O.

 2019年大会は、あらゆるジャンルにおける記念の大会となる。まず、大会の華であり、個人総合首位を走る選手の証である「マイヨジョーヌ」が大会に導入されて100周年を迎える。初お目見えしたのが1919年。これまで数多くの実力者が袖を通したリーダージャージだが、次回はさらに注目度を増し、存在感を強めることになる。

 もう1つは、英雄エディ・メルクスのツール初制覇から50年。4連覇を含む5度の個人総合優勝を挙げた伝説のチャンピオンへの祝福は、彼の母国であるベルギーでのグランデパールとして形にする。

 3週間・全21ステージの総距離は3460km。大会の慣例として、パリ・シャンゼリゼでのフィニッシュで閉幕を迎えることになる。

2週目でピレネー、そして決戦はアルプスで

 大会の幕開けは、当初の発表通りベルギーの首都ブリュッセル。この地を拠点に2ステージを走る。第1ステージは、レース前半に最大勾配13%の石畳区間「ミュール・ド・グランモン」を含む192km。シャルルロワを経て、ブリュッセルと帰ってくる大会初日は、スプリント勝負が予想される。続く第2ステージは、27kmのチームタイムトライアル。大会序盤とあり、チーム力がストレートに反映されそうだ。

 同国南部のバンシュをスタートする第3ステージの途中から、本来の舞台であるフランスへ。ナンシーにフィニッシュする第4ステージと合わせ、スプリンター向きのレイアウト。第5ステージからフランス北東部のヴォージュ山脈へと入り、ラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユにフィニッシュする第6ステージが大会最初の山頂フィニッシュ。グラベル(未舗装)を含む2カ所の勾配20%区間が選手の登坂力を確かめる。

ツール・ド・フランス2019第5ステージレイアウト ©︎A.S.O.
ツール・ド・フランス2019第6ステージレイアウト ©︎A.S.O.

 それからは南西へと針路をとり、中央山塊へ。5カ所のカテゴリー山岳が設定される第8ステージ、序盤に最大勾配19%のミュール・ド・オレック=シュル=ロワールを上る第9ステージ、全体的に下り基調の第10ステージを終えたところで、1回目の休息日を迎える。

ツール・ド・フランス2019第8ステージレイアウト ©︎A.S.O.
ツール・ド・フランス2019第9ステージレイアウト ©︎A.S.O.

 2週目はピレネー山脈がメイン。コル・ド・ペイラギュード(ペイラギュード峠)を含む2つの山岳をこなして、フィニッシュまで駆け降りる第12ステージ、翌日の第13ステージはおなじみの街・ポーでの27km個人タイムトライアル。このあたりから総合争いは活性化しそうだ。

ツール・ド・フランス2019第12ステージレイアウト ©︎A.S.O.
ツール・ド・フランス2019第13ステージレイアウト ©︎A.S.O.

 大会中盤のハイライトとなりそうなのが、トゥールマレー峠の頂上を目指す第14ステージ。ロードレースステージでは最も短い117kmの1日は、標高2115mの頂へ向かってハイスピードバトルとなりそう。この週最終日の第15ステージも、プラット・ダルビ(登坂距離11.8km、平均勾配6.9%)の頂上フィニッシュ。

ツール・ド・フランス2019第14ステージレイアウト ©︎A.S.O.
ツール・ド・フランス2019第15ステージレイアウト ©︎A.S.O.

 勝負が決する3週目には、アルプス山脈が主たる戦いの場として選ばれた。なかでも、第18~20ステージは上級山岳3連戦だ。

 コル・ド・ヴァルス(ヴァルス峠)、コル・ド・イゾアール(イゾアール峠)、コル・ドゥ・ガリビエ(ガリビエ峠)を連続して上り、最後はヴァロワールへのダウンヒルが待つ第18ステージ。標高2770mのコル・ド・イズラン(イズラン峠)を上ったのち、ティニュの頂上フィニッシュへと向かう第19ステージと、難関が続く。

ツール・ド・フランス2019第18ステージレイアウト ©︎A.S.O.
ツール・ド・フランス2019第19ステージレイアウト ©︎A.S.O.
ツール・ド・フランス2019第20ステージレイアウト ©︎A.S.O.

 そして、事実上の最終決戦となるのが第20ステージ。131kmとショートステージだが、最後の33kmがヴァル・トランスの頂上フィニッシュを目指す登坂区間となる。平均勾配は5.5%。名うてのオールラウンダーやクライマーたちがいかにして、この区間を攻略するかが見ものだ。そして、この日を終えた時点で、マイヨジョーヌに袖を通した選手が第106回ツールの王座を濃厚とする。

 大会最終日の第21ステージは、総合成績を争わないことが基本。3週間を走り抜いた勇者たちが互いの健闘を称え合い、パリへの凱旋パレードを行う。同地のシンボルであるシャンゼリゼ通りに入ってから、ステージ優勝争いが始まり、大会最後の勝者を決めることになる。

 2019年大会は、5つの山頂フィニッシュのほか、標高2000m級の山々が登場。ツールに限らず近年のグランツールでは大きなウエイトを占めてきた、タイムトライアルステージが個人・チーム合わせて54kmと短め。

 また、ロードレースステージにおけるカテゴライズは明らかにされていないが、主催者A.S.O.の発表では平坦ステージ7、中級山岳ステージ、5、上級山岳ステージ7(うち山頂フィニッシュ5)と振り分けられる見通し。1位から3位までにそれぞれ10秒、6秒、4秒と付与されるフィニッシュでのボーナスタイムは全ステージに適用。さらに、2018年大会の1週目に設定されたボーナスポイントが、今度は8ステージで導入され、各日のキーポイントとなる山岳ポイントや丘の上に設けられる予定となっている。

有力選手の多くが山岳の難易度に着目

 プレゼンテーションに出席した選手たちは、一様に興味深い反応を示している。

2018年のツール覇者ゲラント・トーマスは「これまで通り難しいルート」と感想を語る Photo: ASO/Thomas Maheux

 今年のツール王者であるゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)は、「これまで通り難しいルートだ」と指摘し、なかでも「標高2000mを超える山岳を上ることや、中級山岳ステージでも高難度のものがある」との印象を語る。勝負のポイントとして、「経験豊富なライダーをそろえること」を挙げ、安定したチーム力を求める。連覇がかかるあたりについては、チームとの話し合いが必要とし、チームメートのクリストファー・フルーム(イギリス)との棲み分けは今後決まっていく見通しを明かした。

標高2000mを超える区間への順応性を求めるクリストファー・フルーム Photo: ASO/Thomas Maheux

 そのフルームも、標高の高い区間での順応性が必要と述べる。「高地で育ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)に合ったコースではないか」と見る。

 今年、個人総合2位となったトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)は、絶対的な自信を持つ個人タイムトライアルの距離が短いことを指摘。「決して理想的なコースとは言えない」としながらも、「その点では今年も同様だった」と続け、得意とする総合力での戦いに視野を広げる。

 新人賞のマイヨブランを獲得したピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)は、「200kmを超える長距離ステージがあり、山岳も難易度が高い」と第一印象を口にした。常に警戒が必要といい、「ルート的に総合成績がめまぐるしく変化しそうだ」とも。

 総合系ライダーのみならず、スプリンターもビジョンがはっきりした様子。今年の大会で2勝を挙げたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)は、「平坦ステージが7回あり、十分なスプリントチャンスがある」と喜び、大きな目標は「第1ステージでの勝利でマイヨジョーヌを手に入れること」ときっぱり。

◇         ◇

 ツール2019については、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム前日の11月3日に、大会前日イベントとして日本でもコースプレゼンテーションが行われる。こちらは、さいたまクリテリウム大会アンバサダーのアルベルト・コンタドール氏をゲストに迎えて、コースの見どころやポイントを挙げていく予定となっている。

ツール・ド・フランス2019

7月6日 第1ステージ ブリュッセル~シャルルロワ~ブリュッセル 192km
7月7日 第2ステージ ブリュッセル王宮~ブリュッセル・アトミウム 27kmチームタイムトライアル
7月8日 第3ステージ バンシュ~エペルネー 214km
7月9日 第4ステージ ランス~ナンシー 215km
7月10日 第5ステージ サン=ディエ=デ=ヴォージュ~コルマール 169km
7月11日 第6ステージ ミュルーズ~プロンシュ・デ・ベル・フィーユ 157km
7月12日 第7ステージ ベルフォール~シャロン=シュル=ソーヌ 230km
7月13日 第8ステージ マコン~サンテティエンヌ 199km
7月14日 第9ステージ サンテティエンヌ~ブリウド 170km
7月15日 第10ステージ サン=フルール~アルビ 218km
7月16日 休息日 アルビ
7月17日 第11ステージ アルビ~トゥールーズ 167km
7月18日 第12ステージ トゥールーズ~バニェール=ド=ビゴール 202km
7月19日 第13ステージ ポー~ポー 27km個人タイムトライアル
7月20日 第14ステージ タルブ~トゥールマレー/バレージュ 117km
7月21日 第15ステージ リムー~フォワ/プラット・ダルビ 185km
7月22日 休息日 ニーム
7月23日 第16ステージ ニーム~ニーム 177km
7月24日 第17ステージ ポン・デュ・ガール~ギャップ 206km
7月25日 第18ステージ アンブラン~ヴァロワール 207km
7月26日 第19ステージ サン=ジャン=ド=モーリエンヌ~ティニュ 123km
7月27日 第20ステージ アルベールヴィル~ヴァル・トランス 131km
7月28日 第21ステージ ランブイエ~パリ・シャンゼリゼ 127km
総距離 3460km

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