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猪野学の“坂バカ”奮闘記<29>『坂バカ』の座は渡さない! 変装&いじわるヒルクライムでマリンの“実力”拝見<後編>

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 前回に引き続き、『チャリダー★』の新キャラ、マリンへの本性をあばく「どっきりヒルクライム」後編。番組の企画とはいえ、ほぼ私個人の企みである直接対決の幕が切って落とされた。舞台となる「椿ヶ鼻ヒルクライム」(大分)は年代別スタートのため、私はマリンより3分早いスタート。そのため、マリンが来るのを150Wくらいの出力でひたすら待った。あまり遅過ぎても怪しまれる。スタート直後の坂を上り終え、トンネルに入ったところでようやくマリンの年代の先頭集団を引くバイクのエンジン音が聞こえ出した。

「椿ヶ鼻ヒルクライム」でマリンの背後に迫る怪しい影の正体は…

パワーあってもスタミナなし!

 トンネル内で勢いよく私をパスして行く集団、その中にマリンの姿はない。「ふん、素人が!」思わずニンマリする。椿ヶ鼻ヒルクライムのコースは、トンネルからの平坦区間をいかに集団で走るかによって結果が大きく変わる。無理をしてでも平坦区間は集団に残るべきなのだ。

 どれだけ平坦区間を1人で待っただろうか? ようやくもう一台バイクの音が聞こえ出した。間違いない、『チャリダー★』の撮影バイクだ! いよいよだ!対決の時が来た! 勢い良く私を抜いて行くマリン! すかさずケイデンスを上げて後ろに張り付く。大したことない速度で少しホッとする。これで猛烈に速かったら恐らく私は立ち直れないだろう。

すかさずケイデンスを上げて後ろに張り付く筆者(左後方)

 しばらく張り付くといよいよ緩い勾配が始まる。マリンは坂の始まりでは260wまで上がるが、すぐに220Wくらいに落ちてしまう。まだトルクを掛け続けることができないのだ。ホッとすると同時に己の人間性の小ささに驚く。それでも220Wから230Wをずっとキープして走っている。自転車を始めて3カ月で大したものだ。やはりこの男測り知れない。私を追い抜くのも時間の問題かも知れないと思うと、涙でサングラスが曇り出した。

 その時だ、急にマリンの出力が下がり出した。200Wを下回っている。そう、タレ出したのだ! 一気に希望が沸いて来る。「こやつ!スタミナがないぞ!」。スタミナ、持久力はヒルクライムには必須だ。私は貧脚だが持久力だけは無駄にある。苦しそうに悶絶するマリンに対し、私は呼吸すら乱れない。おまけに一番軽いギアが入らないらしく、パニクっている。メカトラだ…。天は私に微笑んでいる、なんて気持ちの良いヒルクライムだ!(本当に小さい)

本性を暴く“いじわる”作戦

 余裕が出て来たので、話しかけてみる。

 「マリンさん速いですね、いつもチャリダー観てます」とバレないように宮崎は都城弁で話しかけると、「ありがとうございます!おじさん引いて下さい」と返って来た。おじさんだと? 一瞬イラッと来たが、よく考えたら私は立派なおじさんだ。

 調子に乗った私は本性を暴くため、マリンにボトルの水をかけてみることにした。これにはさすがにぶち切れるだろう。バレるリスクはあったが、奴の正体を暴くべく、勢い良くマリンに水をぶっかけた! さすがのマリンもこれには驚いた様子で、一瞬戸惑いの表情を浮かべた。しかし、その表情は笑顔へと変わり「ありがとうございます!」と爽やかに言い放った。

 こいつはもしかしたら本当にいい奴なのかも知れない。それともただ馬鹿なだけか? これ以上やるとさすがにバレそうなので、引いてもらったお礼をいい、マリンを一気に抜き去った。マリンから得たドラフティング効果のため、ゴールまでは気持ち良く踏めて48分でゴール。マリンは46分でゴール、まだ私の敵ではない。ゴールしてもすぐに人混みに紛れる。ここでも誰も私に気付くことはない。

ゴール後の記念写真。見事に騙し切った!(筆者:左後方、水色のジャージ)

ドッキリ危うし?

 ミッション成功を成し遂げ、安堵しているとスタッフが血相を変えて飛んで来た。「猪野さん昨日ホテルで家族連れと写真撮りました?」と─。なんと前日一緒に写真を撮った家族連れが、「昨日猪野さんと撮ったんですよ!」と写真をマリンに見せたというのだ! 何ということだ! ここまで完璧なドッキリを成功させて来たのに、これで完全にバレてしまった!

いいヤツなのか、バカなのか…掴めない男、松本マリン

 しかし咄嗟にスタッフが、ドラマの撮影で来てるんですかねぇ〜とはぐらかしたら、「あっ、そういえばドラマって言ってましたよね!」と納得したらしい。やはり馬鹿なのだろうか…。掴めない男だ。

 今回のミッションで奴の本性をあばくまではいかなかった。これから速くなり、私を蹴落とす存在になるのか? それとも、このまま停滞し続けるのか…。いずれにせよ、私にとって危険な存在であることに変わりはない。その男の名は松本マリン。

(写真提供:NHK)

猪野学と愉快な仲間たち~坂バカに挑戦~

俳優モードの猪野学さん

 突然ですが、猪野学のファンミーティングイベント「猪野学と愉快な仲間たち~坂バカに挑戦~」を11月17日(土)、東京・荒川区の「シテック/カフェガリビエ」で開催いたします。オンラインサイクリング「Zwift」が楽しめるカフェで、一緒にバーチャル対決しませんか? 室内なので、もちろん雨天決行!「我こそ坂バカ」という方、挑戦をお待ちしています!

日時:11月17日(土) 開場13:45/開始14:00/終了16:00(予定)
場所:CITTEC / Cafe Galibier
住所:東京都荒川区南千住1-15-16
アクセス:日比谷線 三ノ輪駅 3番出口 徒歩3分
参加費(税込):3,500円 ※事前銀行お振込み(振込手数料のご負担をお願いいたします)
申込期間:11月2日(金)23:59まで
定員:30人(※1回の申し込みで2人まで受付可。期日までに定員を超えた場合はキャンセル待ちとなります)
持ち物:タオル、自転車でお越しの際はチェーン(店外のサイクルラックを利用するため)
その他:ロッカー、シャワー完備(ロッカー100円、シャワー400円 ※シャワー利用の場合は、バスタオル要持参

猪野 学猪野 学(いの・まなぶ)

俳優・声優。自転車情報番組NHK BS1『チャリダー☆』(毎週土曜18:00〜18:25)にレギュラー出演し、「坂バカ俳優」という異名で人気を博す。自転車の他、空手やスキーなども特技とするスポーツマン。俳優として舞台や映画、ドラマなどで活躍する一方、映画『スパイダーマン』のトビー・マグワイアの声優としても知られる。ウェブサイト「マナブログⅡ

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