ジャパンカップロードレース詳報接戦のマッチスプリントはパワーに軍配 ワールドチームを従え、存在感を示した宇都宮ブリッツェン

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 例年の倍近くの人数で争われたジャパンカップ・サイクルロードレースだったが、サバイバルな展開の末、最後は2人によるマッチスプリントによって幕が閉じた。ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)は終盤、生き残った集団内でうまく立ち回り勝利。アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNL・ユンボ)は昨年に続き、接戦の末に涙をのんだ。

表彰台の3人。左から2位のアントワン・トルホーク(オランダ、ロットNL・ユンボ)、優勝したロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、3位のマッティ・ブレッシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) Photo: Shusaku MATSUO

昨年のほぼ倍の選手数が古賀志へ

 アジア最大級のワンデーレースで、UCI(国際自転車競技連合)でHCカテゴリーに分類される今大会は、今年で27回目の開催となった。カラッとした快晴となり、天候に恵まれた宇都宮市森林公園には総勢8万2000人もの観客が詰めかけた。例年、激しい攻防が繰り広げられる1.1kmの上り坂「古賀志林道」には、人の列が途切れないほどのファンが訪れていた。出走人数の下限が増えたことにより、126人が伝統の一戦へと挑んだ。

スタートラインに並んだ選手たち Photo: Masahiro OSAWA
マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)が積極的に動く Photo: Shusaku MATSUO

 コースレイアウトは昨年と同様の1周10.3kmの周回コース。スタート直後から古賀志林道を上り、テクニカルでハイスピードな下りをこなす。平坦路を駆け、森林公園へ向かうアップダウンを抜けると再びスタートラインへと戻ってくるレイアウトだ。例年はサバイバルな展開になる事が多く、小集団のスプリントに持ち込まれることが多い。UCIワールドチームが揃えたメンバーと人数から、厳しい展開になることが予想された。

この日をもって引退するオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)が仕掛ける Photo: Shusaku MATSUO

 午前10時、号砲が鳴り、一斉に選手たちがスタートした。最初に勢いよく古賀志林道で飛び出したのは、このレース限りで現役引退を発表しているオスカル・プジョル(スペイン、チームUKYO)で、マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)が続き、2人でリードを築いた。

 その動きに追従したのがクーン・ボーマン(オランダ、ロットNL・ユンボ)だった。メイングループから先頭の2人にブリッジを成功させ、3人で協力しながらレースを展開した。一方のメイングループは地元の声援を浴びた宇都宮ブリッツェンが先頭を固める。岡篤志、小野寺玲、鈴木龍、鈴木譲らが集団をコントロールし、後続にトレック・セガフレードやウィリエールトリエスティーナ勢らを従え、存在感を存分に示した。

残り4周まで集団を牽引し続けた宇都宮ブリッツェン Photo: Shusaku MATSUO
メイングループから1分30秒差で逃げる3人 Photo: Shusaku MATSUO

 今大会では3、6、9、12周回目山岳賞が設けられており、該当周回の古賀志林道頂上の通過者には表彰対象となる。最初の山岳賞は逃げのメンバーであるガルシアが獲得した。その後、レースは落ち着いた展開をみせる。メイングループは変わらず宇都宮ブリッツェンが完璧にペースを作り、逃げの3人はスムーズなローテーションで周回を重ねていく。2回目の山岳賞はボーマンが獲得。3回目の山岳賞も分け合うことなく、ボーマンが貪欲に取りに行った。逃げのメンバー内ではボーマンが頭一つ抜けた実力を持つ印象だ。この動きで、プジョルが山頂で後れをみせ、苦しい表情を浮かべる姿もあった。

ヘーシンクの攻撃を皮切りにレーススタート

 その後、再び3人でレースをリードするも9周目にガルシアとプジョルを置き去りにし、ボーマンが独走を開始。一方のメイン集団では、残り4周の古賀志林道でロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ)が強烈なアタックをみせて、集団を崩壊させつつ、前方で待つチームメートと合流を果たした。一気に20人弱まで絞られた集団では石上優大(日本ナショナルチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、中根英人(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)ら日本人選手の姿もあった。

強烈なアタックで集団を破壊したロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ) Photo: Shusaku MATSUO

 翌周の古賀志林道でもアタックがかかり、ふるい落としが止まない。パワーやトルホーク、マッティ・ブレッシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシングチーム)、イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)ら、そしてヘーシンクが続き、レースは最終局面へと移った。なお、最後の山岳賞はトルホークが獲得している。

単独で先頭を追ったマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Shusaku MATSUO
ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ)がチームメートへ献身的にアシストする Photo: Shusaku MATSUO

 最終周回の古賀志林道に差し掛かると、パワーが上り口からアタックを開始。それに続いたのがトルホークだった。2人は上りでリードを築くと、後続と差を一気に広げてフィニッシュを目指した。互いにどちらが仕掛けるか、牽制し合いながらラスト1kmの看板を通過。レースはマッチスプリントの様相を呈した。

マッチスプリントに破れ、悔しい表情でフィニッシュを迎えた2位のアントワン・トルホーク(オランダ、ロットNL・ユンボ) Photo: Shusaku MATSUO
3位争いはマッティ・ブレッシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が制した Photo: Shusaku MATSUO

 大勢の観客が待ちわびるフィニッシュエリアに2人の姿が見えると、先に仕掛けたのはパワー。トルホークが必死に食らいつくも、伸びをみせたのはパンチ力のあるパワーだった。笑みを浮かべてフィニッシュラインを切るパワーに対し、トルホークは悔しい表情でレースを終えた。トルホークは昨年の4位に続き、あと一歩のところで勝利を逃す結果となった。

山岳賞を獲得した3人 Photo: Shusaku MATSUO
全体の12位に入り、アジア人最高位は中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Shusaku MATSUO

 優勝したパワーは「最終局面まで力を抑え、5周目くらいから仕掛けようと思っていた。レースの展開は早く、特にラスト2周はフルガス(全力)だったね。ロットNL・ユンボが強力なので、動きをチェックしていたよ」と明かした。惜しくも敗れたトルホークは「スプリントが強いロブ(パワー)を上りで振り切ろうとしたが駄目だった」と振り返った。

ジャパンカップロードレース結果(144.2km)
1 ロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 3時間44分00秒 
2 アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +0秒
3 マッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +40秒
4 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシングチーム) +41秒
5 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +42秒
6 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +2分1秒
7 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +2分7秒
8 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +2分26秒
9 クーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード)
10 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO)

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