昨年優勝のマルコ・カノラは3位デゲンコルプが世界トップクラスのスピードで制した ジャパンカップ・クリテリウム詳報

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
  • 一覧

 宇都宮の目抜き通りで繰り広げられた超高速の勝負は、世界トップクラスのスプリンターであるジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)に軍配が上がった。集まった観客はUCI(国際自転車競技連合)ワールドチームを中心とした本場のスピードを目の前で体感。アタックが繰り返し起こるジャパンカップ・クリテリウムのエキサイティングな展開に、宇都宮の街が沸いた。

ジャパンカップ・クリテリウム表彰台。左から2位のキャメロン・スコット(オーストラリア、オーストラリア・ライド・サンシャインコースト)、優勝したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)、3位のマルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Shusaku MATSUO

129人の選手が一斉にスタート

 チャレンジレース、オープン男女のレースで幕を開けたジャパンカップ。戦いの場所を宇都宮市森林公園から、中心街へと移した。高校生のレース「ホープフルクリテリウム」や、女子競輪選手による「ガールズケイリンスペシャルレース」を終えると、いよいよ15時40分にメインレースとなる9回目のジャパンカップ・クリテリウムが開催された。会場となった大通りには、早朝からファンが場所取りに訪れるなど、お祭りムードが続いていた。

世界トップクラスのチームが宇都宮の中央通りをパレードした Photo: Shusaku MATSUO
クネゴのラストランを記念し花束が贈られた Photo: Shusaku MATSUO
地元の声援を浴びた宇都宮ブリッツェン Photo: Shusaku MATSUO

 スタート時間に近づくと、選手たちが続々と会場入りし、プレゼントを配ったりハイタッチで観客の前を通るなど、顔見せのパレードを2周行った。すでに引退を発表しているが、特別に出走することとなったダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)の花束贈呈セレモニーも開催され、ジロ・デ・イタリア総合優勝を含む長年の偉大な功績が称えられた。

勢いよくスタートを切る選手たち Photo: Shusaku MATSUO

 コースは例年と同様で、1周が2.25km。2カ所のターンが設けられたスピードコースだ。フィニッシュラインまで600m地点に折り返しがあり、直前のブレーキングが勝負を分ける。レースは15周、全33.75kmを、例年から大幅に増加した129人の選手によって争われた。

トレック・セガフレードが集団をコントロールする Photo: Shusaku MATSUO

 優勝候補の筆頭に挙げられたのは、今年ツール・ド・フランスでも復活のステージ勝利を果たしたデゲンコルプ。また、チームメートの別府史之はクリテリウムで過去2勝を挙げており、デゲンコルプとの連携に注目が集まった。タフなレースに強く、スプリントで昨年の同大会を制したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)も2連覇の期待がかかった。

タデイ・ポガチャル(スロベニア、リュブリャナ・グスト・ザウラム)がハイペースでリードする Photo: Shusaku MATSUO
宇都宮の中央通りを舞台に開催 Photo: Shusaku MATSUO
スピードが上がり、縦に伸びるメイン集団 Photo: Shusaku MATSUO

 プロ選手の間でも「ジャパンカップクリテリウムのレベルは高い」と称され、出走前に緊張感が張り詰めた二荒山神社前。いざスタートの号砲が鳴ると、口火を切ったのはUCIワールドチームであるEFエデュケーションファースト・ドラパックとロットNL・ユンボだった。勢いよく選手が飛び出し、リードを築こうとするも、例年通りトレック・セガフレードがメイン集団をコントロールし、目を離さない。

日本人が中心となり争われた3回目のスプリント賞は孫崎大樹(チーム ブリヂストンサイクリング)が獲得 Photo: Shusaku MATSUO
終盤に入り、各々がアタックを繰り返すも決まらない Photo: Shusaku MATSUO

 アタックが散発されるが、なかなか逃げが決まらない展開のなか、隙をついて3周目に飛び出したのはタデイ・ポガチャル(スロベニア、リュブリャナ・グスト・ザウラム)だった。ポガチャルはU23(23歳未満)のツール・ド・フランスと称されるツール・ド・ラヴニールで個人総合優勝を果たし、来期UAE・チームエミレーツへの入団が決まっている注目株だ。これに続いたのはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ)で、2人でしばらく逃げ続け、4周目に設けられたスプリント賞ではポガチャルが先着した。競輪選手の渡辺正光(クリテリウムスペシャルチーム)が周回賞を狙いブリッジを試みるも、2人に追いつくことはなかった。

スプリンターが横一線の勝負を展開

 この逃げを容認しなかったメイン集団は2人を吸収。トレック・セガフレードを中心に、ロットNL・ユンボやBMCレーシングチームが続き、次の動きへと備えた。途中、数人のアタックが生まれては一つになる展開が続いた8周目。2回目のスプリント賞を、得意のゴール前勝負を制して大久保陣(チーム ブリヂストンサイクリング)が獲得した。

最終周回を先頭で入るミッチェルトン・スコット Photo: Shusaku MATSUO
横一線に並んだフィニッシュ直前 Photo: Shusaku MATSUO

 その後も連続してアタックがかかるも、メイングループは容認を許さない。安原大貴(マトリックスパワータグ)や渡辺歩(日本ナショナルチーム)がウィリーエール・トリエスティーナ勢と逃げを打つが、決定的な動きにはならなかった。残り3周を残して争われた3回目のスプリント賞では、大前翔(日本ナショナルチーム)や金子大介(セブンイレブン・クリック・ロードバイクフィリピン)、吉田悠人(那須ブラーゼン)らがスプリントに挑むも、先頭でラインを通過したのは孫崎大樹(チーム ブリヂストンサイクリング)だった。

 残す距離も少なくなると、ミッチェルトン・スコットが積極的に集団先頭へと躍り出る。これまでコントロールしてきたトレック・セガフレードもそれに続き、キナンサイクリングチームやオーストラリアン・サイクリング・アカデミー、宇都宮ブリッツェンやNIPPO勢も虎視眈々と好ポジションを狙った。覆いかぶさるように選手が前へ、前へと繰り出し、集団は道一杯に広がりながらスピードを増していった。

 最終周回を有利に進めたのはミッチェルトン・スコットだったが、別府史之を従えたデゲンコルプの存在感が光る。ラスト600mの折り返しでは、激しい位置取り争いが繰り広げられ、スプリンターが横一線に並んだ。役者が揃ったフィニッシュ前、カノラが一時先頭に立つも、右手から抜群の伸びを見せ、接戦のスプリントを制したのはデゲンコルプだった。2位にはキャメロン・スコット(オーストラリア、オーストラリア・ライド・サンシャインコースト)、3位にはカノラが入った。日本人最高位は8位の窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)だった。

「フミをサポートしようと思ったが、途中ではぐれてしまった」と振り返ったデケンコルプ Photo: Shusaku MATSUO

 優勝したデゲンコルプは「フミが勝てるようにサポートしようと思ったが、ラスト300mでフミとはぐれてしまった。残っていたので自分がいった。フミも喜んでくれた」と振り返った。トレック・セガフレードは優勝経験のある別府と、爆発力に長けたデゲンコルプのどちらがスプリントを務めるかという問いに対し、別府は「どちらでもスプリントできるプランがあった。フィニッシュンの直前にはぐれてしまったが、もう(その位置からスプリントを)始めるしかなかった」とレース後に明かし、チームの層の厚さを結果で示した。19日の会見でヤロスラフ・ポポヴィッチ監督は「ロードレースはファビオ・フェッリーネで狙いたい」と明かしている。

大型モニターのリプレイでスプリントシーンを確認する別府史之(トレック・セガフレード) Photo: Shusaku MATSUO

 2位に入ったスコットは「我々はスプリンターを揃えたチームなので、誰がスプリントしてもよかった。ラストは良いポジションに自分がいたためスプリントした。ベストリザルトだ」とコメント。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだカノラは「表彰台に登れてハッピーだ。最終コーナーから、350~400mとやや長いスプリントを試みた結果3位となった。NIPPOは翌日の森林公園のコースが得意。明日に懸けている」と意気込みを語った。

スプリント賞を獲得したチーム ブリヂストンサイクリングの2人 Photo: Shusaku MATSUO

 スプリント賞を獲得したポガチャルは表彰式で「明日のロードレースへ向けて脚をつくったレースでした。調子がいいので待ち遠しい」と意気込みを語った。大久保は「タイミングよく抜け出せました。(ゆかりのある)宇都宮の地で表彰に立ててうれしいです」と述べ、チームメートの孫崎は「オーダーで取りに行くことは決まっていました。チャレンジし続け3回目のスプリント賞を獲得できました。いい流れができました」と振り返った。

シャンパンファイトで表彰式を締めくくった上位3人 Photo: Shusaku MATSUO

 選手たちは翌21日、午前10時にスタートする森林公園で開催されるジャパンカップ・サイクルロードレースに挑む。

ジャパンカップクリテリウム結果(38.25km)
1 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)42分38秒 
2 キャメロン・スコット(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー) +0秒
3 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +0秒
4 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)・スコット +0秒
5 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +0秒
6 ローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +0秒
7 サミュエル・ウェルスフォード(オーストラリア、オーストラリアンサイクリングアカデミー) +0秒
8 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) +0秒
9 鈴木龍(宇都宮ブリッツェン) +0秒
10 アルベルト・ベッティオール(イタリア、BMCレーシングチーム) +0秒

関連記事

この記事のタグ

2018 ジャパンカップ 2018 ジャパンカップ・レースリポート

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
CyclistポケットTシャツ

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載