2年目を主宰者・目黒誠子さんがリポート自転車+旅+アートで地域の美を見出す「マルベロ」 宮城県丸森町から日本、世界へ発信

by 目黒誠子 / Seiko MEGURO
  • 一覧

 宮城県丸森町にある齋理屋敷で10月7日、複合イベント「自転車と旅の日 MARUVÉLO à marumori」(以下、マルベロ)が開催されました。マルベロは、「マーケット+音楽+アート+自転車」をテーマに、様々な国の雑貨やグルメが楽しめるブースや、アーティストによる演奏が楽しめるほか、自転車フォトグラファーの辻啓さんの写真展示や新城幸也選手の実車も展示されるなど、自転車好きや自転車を知らない人も存分に楽しめるイベント。主宰者でライターの目黒誠子さんのリポートでお届けします。

「自転車と旅の日 MARUVÉLO à marumori」には多くのサイクリストが訪れた Photo: Asumi FUJIWARA

◇         ◇

 昨年に引き続き本年で第2回目となった「自転車と旅の日~MARUVÉLO à marumori」(以下、マルベロ)は、10月7日、台風の接近により時折強風が吹く中ではありましたが、屋台の白い屋根を取るなど安全策を施し、おかげさまで無事に開催することができました。

時折風が吹く中ではあったが晴天に恵まれた Photo: Asumi FUJIWARA
ふかふかの芝生。こんなこともしたくなっちゃう! Photo: Asumi FUJIWARA
MARUVÉLOが開催された齋理屋敷の美しい蔵と自転車 Photo: Asumi FUJIWARA

 宮城県最南端の人口1万4千人ほどの小さな町、丸森町で行われた「マルベロ」。丸森とマルシェから「マル」、フランス語で自転車の意味の「ベロVÉLO」。この二つを合わせて「マルベロ」。今年で4年目の取材となった世界最高峰のロードレースであるツール・ド・フランスからインスピレーションを受けており、ツール・ド・フランスのように自転車を通して地域とのつながりを持ち、地元に住む人々も都会に住む人々もより人生を楽しみ、自転車を通して地域の美を見出し自分自身の人生についても改めて考えるきっかけとなってほしいという思いからこのイベントにたどり着きました。

多くの人で賑わいを見せたマルベロ Photo: Asumi FUJIWARA

 昨年に引き続きドレスコードは白。ツール・ド・フランスの新人賞「マイヨ・ブラン」にも象徴されるように、白には「はじまり」の意味があります。はじまりの白を纏うことによって、改めて原点に返り、自分自身の人生の旅について、また偉大なる自然のありがたさや良さについて見直す一日となってほしいという思いを込めました。このドレスコードは出店者と関係者を中心においたドレスコードでしたが、今ではご来場され皆様もドレスコード白を身に着け、楽しみにしてくださるようになりました。

ドレスコードは「白」。こんなかわいい子まで~ Photo: Asumi FUJIWARA
大人気だったマルベロのサコッシュ。黒は引き続き販売中 Photo: Marubero

さまざまな旅をたのしめる空間に

 齋理屋敷庭園は、緑に囲まれた非日常的なスローな空間。庭園をまるで南フランスのマルシェのように見立て、世界のさまざまな国の食べ物や雑貨、本を扱うお店に出店していただきました。まるで世界を旅しているかのような気持ちになる「世界の旅」。

強風により屋台の白い屋根を外したが、晴天に恵まれた。イギリスのCafé「ノースフィールズ」Photo: Asumi FUJIWARA

 齋理屋敷は江戸時代からの蔵が建ち並ぶ指定重要文化財。まるで昔にトリップしてしまったかのような錯覚を覚える博物館です。歴史と文化を感じる贅沢な場所で「歴史と時空の旅」。

中国茶と茶器とインテリア「Yagui」 Photo: Asumi FUJIWARA
北欧白樺家具と蚤の市「ビヨルク」 Photo: Asumi FUJIWARA

 ツール・ド・フランスはまさにフランス3週間の「自転車の旅」。世界のロードレースを追いかける写真家辻啓氏により、今年はツール・ド・フランスばかりでなく、ジロ・デ・イタリアの写真も展示販売していただきました。世界の美しい自然の中を走る光景はまるでアートのようであることから自転車の旅ばかりでなく「アートの旅」も感じることができます。

ジロ・デ・イタリア2018写真展 by 辻啓 Photo: Asumi FUJIWARA
ツール・ド・フランス2018写真展 by 辻啓 Photo: Asumi FUJIWARA

 また、丸森町には「大蔵山」と言う場所があり、世界的な彫刻家であるイサムノグチが愛して通った、世界でただこの場所でしか産出されない「伊達冠石」があります。採掘元である「大蔵山スタジオ」は、その貴重な石を使った伊達冠石の作品を展示、多くの来場者の目に留まっていました。

別名「泥かぶり石」とも言われる伊達冠石はパヴェにも見える? Photo: Asumi FUJIWARA
大蔵山スタジオによる伊達冠石作品展 Photo: Asumi FUJIWARA

 仙台市からは1時間、関東地方からは約2時間半の「丸森までの旅」。昨年よりアプローチし続けた甲斐があり、今年は阿武隈急行により「あぶきゅうサイクルトレイン」の試験運行が実施されました。10月7日のみの運行でしたが、約20人の利用者があったとのこと、本格運行に向けての第一歩です。

ベルエキップブースにはサイクリストで人だかり Photo: Marumori Tourist Information
丸森まで来ることも「旅」 Photo: Katsumi SHISHIDO
台湾の著名サイクリストLindaさんと昨年に続いて再会。海外からもたくさんの方がいらっしゃいました Photo: Seiko MEGURO

 ツール・ド・フランスが訪れる街ではしばしば住民が音楽ライブを楽しんでいる光景に遭遇します。自分たちで奏でたり、またはプロを呼んだり。このようにマルベロでも音楽ライブを催しました。心地よい音色を聞きながら、「音楽の旅」。 このように、マルベロに来ることによって、それぞれの「人生の旅」を楽しむことの、インスピレーションの循環となりますように…そう願いを込めました。

ギター(アコースティック、クラッシック)の心地よい音色 Photo: Marumori Tourist Information

「自転車とまち」トークセッション

 美しい「なまこ壁」を背にする庭舞台では、音楽ライブに引き続き「自転車とまち~ツール・ド・フランスで観てきたこと」をテーマにしたトークセッションを開催しました。スポーツの枠を超え、フランスの文化として地域に根付いているツール・ド・フランスを見てきた経験から、丸森町でサイクリングガイドを務める「丸森サイクルツーリズム」代表の阿部元気さんと今年念願のツールを初観戦し、新城幸也選手の出身地で生活経験もあるラジオディレクター水上綾子さんをお呼びし、「自転車とまち」について語りました。

「自転車とまち」トークセッション Photo: Asumi FUJIWARA
ツール土産のスカイサコッシュが当たり横浜からかけつけてくれた明石さん前田さんカップル Photo: Seiko MEGURO

 ツール・ド・フランスのコースとなるところは、農道や山道、麦畑の間など、いたって普通のところであるということ。むしろ、「こんなところがコースに?なぜここを走る!?(笑)」というところまでコースとなってしまうこと。それが新しい発見となること。自然に囲まれた丸森の農道や山道にもたくさんおもしろい場所があり、自転車で走ることによって人間の目にとまり、改めて発見し見出される地域の美があるということなど、約40分間、お客様にも参加していただきながらの楽しいトークセッションとなりました。

マルベロ前日に行われた丸森サイクルツーリズムのライド Photo: Marumori Cycle Tourism

自転車と旅とヒコーキ

 「自転車と旅」。国内に関わらず海外や遠くへの旅には飛行機が欠かせません。今年、飛行機輪行用ロードバイク輸送専用ボックス「SBCON(エスビーコン)」を導入した日本航空は、グループ社員による折り紙ヒコーキ教室を開催しました。現在約1500人の認定指導員がいる日本航空社員による折り紙ヒコーキ教室には、毎時間満席となってしまい追加で催さなくてはいけないほど好評でした。ハイテクな飛行機を飛ばせている航空会社社員によるアナログな折り紙ヒコーキ教室は、時々こぼれ話や専門的な話もあり。子供ばかりでなく大人も夢中になってしまうと昨年に引き続きリピーターも多かったようです。丸森町長も参加され子供たちと一緒に楽しまれていました。

毎年好評のJAL折り紙ヒコーキ教室 Photo: Asumi FUJIWARA
飛ばし方にもコツがあるんです!丸森町長と一緒に。飛べ~ Photo: Asumi FUJIWARA

新城幸也選手の実車も展示

 その子供たち、はじめてみる本格的なスポーツバイクにも興味津々だったようで、ベルエキップブースのChapter2のバイクや、新館に展示された新城幸也選手がリオデジャネイロオリンピックで実車したハイスペックな自転車にも目を輝かせていました。この自転車は、新城幸也選手が2016年のリオオリンピックに出場するにあたり、メリダバイクから新城選手にプレゼントされたフレームに、日本ナショナルチームのメカニシャンがアッセンブルして完成した貴重なバイク。蛍光グリーンのペイントは、リオオリンピックに出場するメリダバイクのライダーに共通したカラーリングであり、各部に新城選手の名前が入れられています。ベルエキップブースにはマルベロキャットがあしらわれたチームカーが登場。チャプター2の自転車は試乗ができるとあって賑わいを見せていました。

新城幸也選手のリオオリンピックモデルのロードバイク Photo: Katsumi SHISHIDO
ベルエキップのチームカーとマルベロキャット Photo: Seiko MEGURO

自転車をフックとし既存の地域の魅力を発見

 自転車をフックに地域の魅力や美を発見することは、大きな可能性を秘めています。マルベロを進めていくにあたって、今回も丸森町の魅力をたくさん発見しました。自転車のスピードでふと見つけるもの…森の中で実をつけるアケビや山ぶどう。その弦を使い一編み一編み、手仕事で仕上げたかごバック。大量生産されたものとは違ったあたたかさに満ちています。丸森の暮らしと手しごとブースでは美しい工芸品に出会うことができました。

丸森の美しい工芸品を集めた丸森の暮らしと手しごと Photo: Katsumi SHISHIDO

 ツール・ド・フランスと言えば「ひまわりの写真」。丸森にも「舘矢間ひまわり畑」があり毎年ひまわり祭りが開かれています。今年はたまたま遅咲きのひまわりが残っており、なんとマルベロにもご提供いただきました。

舘矢間ひまわり畑のひまわりで飾られたマルベロ Photo: MARUVÉLO

 ハリがあるにも関わらずふんわりやさしく丈夫な「丸森和紙」は、和紙の原料となる植物・楮(こうぞ)から手すきで作られ、その“はぎれ”を利用し、ネコのアートギャラリーを行いました。丸森町には、日本一ともいわれる数多くの猫の石碑「猫神さま」が祀られています。かつて養蚕が盛んだった頃、ネズミから蚕(かいこ)を守ってくれる猫を大切にしており、「猫神さま」として石碑が多く立てられたのです。このネコのアートギャラリーには、栗村修さんのネコガッツも昨年に引き続きご登場。さまざまで、そして愛に満ちたネコギャラリーではたくさんの猫たちに会うことができました。そしてこの丸森各地に祀られた猫神さまに見守られるようにして、第二回目の開催となった「自転車と旅の日~マルベロ」は無事閉幕することができました。

マルモリ猫ギャラリー。愛に満ちている Photo: MARUVÉLO
ファミリーで楽しめる心地よい空間を Photo: Asumi FUJIWARA

 マルベロは、自転車、飛行機、都会と田舎、海外、日本、歴史と未来。自然との共生、地域の自信と誇り。さまざまなインスピレーションの循環を目指しそして地域の美を見出すために「自転車と旅の日」というテーマを設けています。「丸森町」「マルシェ」と、「自転車(フランス語:VÉLOベロ)」を合わせた名称 MARUVÉLO~マルベロの「マル」は、めぐる、まとまる、はじまる、つながる、ひろがる、という願いも込められています。

「自転車と旅の日~マルベロ2018」齋理屋敷にて Photo: Marumori Tourist Information

 美しく、自然も心も豊かな田舎町である丸森町からMARUVÉLOははじまり、県南地域、そして東北、日本、世界へと、よろこびが広がりつながっていくことを目指しています。自転車は、風と大地を感じながら目的地へ運んでくれる、ワクワクを連想させる素敵な乗りもの。軽やかに、心の自転車に飛び乗って、MARUVÉLOが、皆さんの人生の旅をよりたのしむツールになりますように。

福光俊介
目黒 誠子(めぐろせいこ)

宮城県丸森町生まれ。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はヨガ、バラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。現在は宮城県丸森町に拠点を置きつつ、ツール・ド・フランスの裏側を取材。ライター、プロデューサー、コーディネーターとして活動。自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、「自転車と旅の日~MARUVÉLO(マルベロ)」主宰。

関連記事

この記事のタグ

宮城県

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
新春初夢プレゼント2019

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載