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栗村修の“輪”生相談<138>20代男性「ゴツい体形の人は集団内でどうやって空気抵抗をいなせばいいですか?」

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 こんにちは、去年から地元のチームに入り、レースなどに向けて練習しています。

 僕は身長が高く、肩幅などゴツい体型をしています。集団走行中に、自分の後ろの人に楽されてしまうことや、集団内にいても小柄な人の後ろだと空気抵抗を感じ、うまく休めていない感じがします。

 ガタイのいい人は集団内でどうやって空気抵抗をいなせばいいでしょうか?

(20代男性)

 体格がいいんですね。標準的な体系(171cm/57kg=現役時代)の僕としてはうらやましい限りです。一般的に、ロードバイクで平地を走る際には、華奢な体格よりも大柄な体格な方が有利とされています。ですので、僕自身は平地よりも上り坂を得意としていました。

 体格で思い出すエピソードが一つあります。実は、僕は元選手でして、ヨーロッパのプロレースを走っていた時代もありました。ベルギーのレースにも出ていたんですが、あの国の選手はのきなみ身長が180cm以上あり、しかも脚も長いので、僕などは集団の中で本当に小さく見えたと思うんです。

 ただし、小さいとただ不利なだけとも限りません。集団が横風区間に入ると、集団後方にいる弱者たちが道路の風下側に一列棒状で張り付く状態になるわけですが、僕も道路の端ギリギリを走る前の大柄な選手の更に風下側に、前輪を無理やり突っ込んで必死にくらいついて風をしのごうとしていました。そんな時に、僕の後ろについていた大柄な選手がなにやら「&%$#ニンジャ〜%&$#!?&…」といった様な叫び声をあげながら千切れていくことがよくありました。僕が小さいせいで、事実上、車間が1台分空いた状態となり、ドラフティングの効果を十分に得られなかったんですね。悪いことをしたものです。

体格が大きいと空気抵抗の面で不利な気がする… Photo: Yuzuru SUNADA

 まあ、こういう特殊なケースはともかく、一般的には体が小さいと筋肉量(絶対的な出力値)も小さいので、ヨーロッパの平地では不利でした。というわけで、質問者さんは平地に関しては決して不利な側ではないんですよ。

 質問者さんが絶対的な出力値を持っているのならば、空気抵抗を効果的に減らせれば鬼に金棒となります。空気抵抗を減らすためには、まずは前方投影面積(前方から見たシルエットの面積)を小さくすることを意識します。より専門的にみていくと後方への空気の流れなども意識する必要がでてきますが、今回はそこまで踏み込む必要はないので割愛いたしますね。まずは普段のトレーニング時から下ハンドルを持って、低い姿勢で走ることに順応してください。更に前傾姿勢をとるだけではなく、肩をすくめるというか、上体がよりナローになるようなフォームも鏡などを見ながら習得してみてください。

 いつも言うように、トレーニングとは順応ですから、とにかく体に慣れさせる必要があります。下ハンドルを持つ意味があまりない低速時も、下ハンドルを持って走ってみましょう。

 繰り返しになりますが、体格がいいと一般的にパワーが大きくなりますから、パワーウエイトレシオではなく絶対パワーが重要な平地では、基本的に有利です。ベルギーの大きな選手たちも、後ろに僕のような小柄な選手がつこうと、おかまいなしに風の中を突っ走っていましたからね。

屈強なベルギー軍団による攻撃。強風の平坦区間などは大柄な選手が有利になる場面 Photo: Yuzuru SUNADA

 最後に一つ、華奢な体格の人間側から「大柄な選手に本気をだされると苦しくなるシチュエーション」というのをヒントとしてお伝えしておきますね。

 「追い風」、「下り基調」、「横風(上記のニンジャ走法ではなくて皆に均等に横風が当たる状況)」などが挙げられます。また、「下り基調の向かい風区間」などでフェアな先頭交代を要求されると小柄な選手はたちまち体力を消耗していきます…。

 要するに、大柄な選手が持つストロングポイントとウィークポイントを理解し、自分が得意とするシチュエーションで力を発揮すれば、確実に周囲の選手の体力を奪い取ることができるのです。

 そして、基本的に「平地ではデカいことは正義である」と覚えておいてください!

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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