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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<15>先進国だけでない自転車世界旅 編み出したケースなしの飛行機輪行術

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 世界を自転車で周ると言っても、必ずどこかで飛行機を使うことになる。日本から海外へ行く場合は自転車店で自転車が入っていた段ボールをもらってくればいいが、海外でそれをするのは、先進国以外ではなかなか難しい。そもそも段ボールを見つけられたとしても自転車を宿でパッキングをしてしまうと宿から空港までの移動が大変だし、自転車以外の荷物も一度では運びきれないほど多く、重たい。

初めは何もしないでラッピングをしてもらっていたが、これでは衝撃に弱い Photo: Gaku HIRUMA

空港でビニールラッピング

 南米で出会ったベテランサイクリストは、飛行機輪行の時は毎回何もしないで自転車をそのままチェックインカウンターに持っていき、載せてもらうと言っていた。嫌な顔をされるが断られたことは無く、自転車に不具合があったこともないという。ただ年々航空会社も厳しくなっており、あまりお薦めはしない。

空港まで自走出来て、作業スペースも広々取れる Photo: Gaku HIRUMA

 そこで辿り着いた方法がビニールラッピングだ。これだと空港まで自走していけるので、わざわざ自転車が載るタクシーを手配する手間が省ける。何も外さないでそのまま空港にあるビニールラッピングの機械でぐるぐる巻きにしてもらい、荷物は現地の市場で探してきた大きいバッグに入れて同じようにぐるぐる巻きにしてもらった。

 結果的に問題なく行けたのだが、この方法だと軽い衝撃でフロントフォークや車輪が曲がってしまう危険性があり、そもそも自転車が大きすぎてラッピング機に載せられず、断られるとこがある。その後も試行錯誤を重ねた結果、この方法が一番であるという輪行が出来上がった。

 タイヤの空気を抜いた後ペダルとサドルを外し、前輪とフロントキャリアを付けたままフロントフォークを引き抜き、後輪と合わせるようにしてタイラップや紐などを使い固定する。こうすることで後輪と前輪でディレイラーを挟み込むのでディレイラーを保護することもできる。

ペダルとサドルを外し、前輪とキャリアを付けたままフロントフォークを外す Photo: Gaku HIRUMA
リアディレイラーを挟み込むようにして固定する Photo: Gaku HIRUMA

 さらにハンドルをダウンチューブに這わせるように固定し、当たるところを段ボールで補強し、ビニールを何重にも重ねてガチガチにラッピングをすれば、簡単かつ強度抜群の輪行になるので、海外ツーリングにはお勧めの方法だ。ラッピングは市場で大きいラップを購入できたら自分で巻くと安上がりで安心感もあった。

ビニールラッピングをして完了。何重にも巻くことで強度も確保 Photo: Gaku HIRUMA

 そして自転車を預ける際に事前に航空会社の預け荷物の項目をよくチェックすることが重要だ。自転車と荷物を合わせると、預け荷物の重量は必ずオーバーするので、超過料金が安いところか、別で自転車料金を設定している航空会社を選ぶようにする必要がある。

 僕は自転車料金設定のあるトルコ航空をよく利用していた。自転車料金が設定されていれば自転車の持ち込みを断られる心配もないし、高すぎる超過料金を支払う心配もなく安心だ。さらにトルコ航空は、どこへ行くのも一度イスタンブールを経由するので、何度もイスタンブールに寄ることになる。こうすると時間の少ないトランジットでも、知っている街なので、中心地まで行き買い物や観光をする事ができる。多少航空券が高くてもお気に入りの航空会社を決めておくのもいいかもしれない。

預け荷物で思いがけない“つまづき”

 次に自転車の他に預け荷物で気を付けなければならないのが、ガソリンストーブだ。僕は旅行中MSR社のウィスパーライトインターナショナルを愛用していた。昔からの海外アウトドアの定番商品で、強火での調理しか出来ないという難点もあるが、高地でも火力は安定し、メンテナンスキッドやリペアパーツが充実してるので、たとえ海外でストーブの調子が悪くなってもメンテナンスとパーツ交換で乗り切ることが出来る。大体の自転車旅行者はこのウィスパーライトインターナショナルか、火力の調整が可能なMSRのドラゴンフライを使用していた。もちろん双方、自動車用のガソリンが使えるのが最大の魅力だ。

毎日の様に使っていたガソリンストーブ。諦めるのは苦渋の決断だった Photo: Gaku HIRUMA

 ところが、この自転車旅行の生命線ともいえるガソリンストーブが、一時帰国からの再出発の際の成田国際空港で預け荷物に入れたところ引っかかった。もちろん燃料ボトルは空で、よく洗い乾燥させており、ストーブ本体にも燃料は残っていない。

 今まで何度もこれで飛行機に乗っているのに、「一度使用したストーブは本体の中に燃料が残留している可能性があるので飛行機には載せられない」との一点張り。燃料が残っていない説明と、旅の経緯とこれがどれだけ重要なストーブかを涙ながらに訴えた。海外の場合、大体情に訴えるとボスが出てきて、特例として認めてくれることも多かったが、日本だけは違った。「規則ですから」と、それ以上は取り合ってもらえなかった。日本らしいといえば日本らしい。

無鉛ガソリンを使うと煤で真っ黒になるのでメンテナンスとパーツ交換は必須だ Photo: Gaku HIRUMA

 搭乗時間ギリギリまで訴えたが、鉄の規則は覆らず、泣く泣くストーブは諦め、これから向かうアフリカで生きていけるか不安しか残らないフライトになった。他のサイクリストに聞いても、あまりこういったケースは聞かなかったが、年々航空機搭乗の規則は厳しくなっているので、注意しないと痛い目に遭う。

 未使用品であれば預けるのに問題ないし、もし旅の出発地点がアメリカであれば、アメリカのメーカーであるMSRなら日本で買うよりも割安で買えるので、現地調達してもいいかもしれない。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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