「WAKAYAMA800」とオススメサイクリングコース紹介日向涼子さんがガイドする秋の和歌山サイクリング「聖地・高野山ヒルクライム&有田川ライド」

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 今度の週末、思い出に残る少し特別なロングライドへ走りに行きませんか。そんなあなたにオススメの場所があります。「サイクリング王国」として全国でも屈指のサイクリング環境が整ってきた和歌山県です。和歌山は、紀伊半島の南に位置し、海、山、川が織りなすスケールの大きな自然の宝庫。そして、県内800kmにわたって引かれたブルーライン「WAKAYAMA800」をはじめ、サイクリストウェルカムなグルメスポットや宿、そして美しい自然があなたを待っています。今回、モデルでサイクリストの日向涼子さんがオススメのサイクリングコースをナビゲート。2回に渡るレポートで、前編は「聖地・高野山ヒルクライム&有田川ライド」をお届けします。(写真・文=橋本謙司)

多くのお地蔵さんが祀られる中でも目立つ化粧地蔵。化粧して差し上げると美人になるとか Photo: Kenji HASHIMOTO

 「みなさん、こんにちは、日向涼子です。毎月のように和歌山を訪れてはサイクリングを楽しんでいる私ですが、走れば走るほどに魅力を感じています。自然景観が詰まった和歌山は、紀北、紀中、紀南の3エリアそれぞれに特徴があります。紀の川サイクリングロードに代表される紀北エリア。熊野三山に代表される巡礼の地。そして、紀伊山地が織りなす風光明媚なジオパークが広がる紀南エリア。サイクリングの目的や楽しみ方によってコースを選べる懐の広さが和歌山の魅力です」

 

スタンプラリーチェックポイントの隅田駅スタート

 今回、日向さんが紹介するサイクリングプランは紀北エリア。1日目は、標高900mの天空都市・高野山へのヒルクライムを楽しみ、精進料理と宿坊体験。2日目は、日本の原風景に出合いながら、山間部を流れる有田川沿いを駆け抜けて太平洋をめざすルートです。それでは、日向さんとともにサイクリングへ出かけよう。

JR隅田駅は和歌山市まで続く紀の川サイクリングロードの起点 Photo: Kenji HASHIMOTO

日向さん「和歌山県の北部を東西に走るJR和歌山線。車窓から外を眺めていると、小さな駅舎の壁に描かれた可愛らしいキャラクターが目に飛び込んできました。ここが今回の出発地点のJR隅田駅です。地元の隅田中の美術部の生徒たちが、地元の特徴をオリジナルのキャラクターとともに描いたそう。今回、私がめざす高野山も描かれています」

 隅田駅にはバイクラックが設置され、紀の川サイクリングロードの起点になっている。そして、現在、開催中の「WAKAYAMA800モバイルスタンプラリー」のチェックポイントの一つでもある。県全域で45カ所に設置されたモバイルスタンプラリーのQRコードを読み込むとスタンプをゲット。専用のマイページでスタンプを集めるとTREKのロードバイクなど豪華商品が当たる。スタンプラリーイベントが普段から楽しめてしまうなんて、さすがはサイクリング王国。

高野山など地元の観光名所が描かれている Photo: Kenji HASHIMOTO
モバイルスタンプラリーは2019年3月24日まで開催中 Photo: Kenji HASHIMOTO

道の駅「柿の郷くどやま」からヒルクライム

 隅田駅からブルーラインに沿って国道370号へ。初日は、標高900mの高野山まで麓から約30kmも上り続けるヒルクライムコース。ウォーミングアップがてら約10kmフラットなコースを九度山方面に向けて走ります。関ヶ原の戦いで徳川軍に敗れた戦国武将の真田幸村公が過ごした九度山には、真田家にまつわる史跡・記念館が多数。歴史に触れながら、めざすは道の駅「柿の郷くどやま」だ。

日向さん「ここから始まる高野山ヒルクライム前に立ち寄っておきます。道の駅に入っているベーカリーカフェや産直市場で補給しておきたいところです。真田幸村の歴史に触れることもできます」

ブルーラインに沿って、道の駅「柿の郷くどやま」へ Photo: Kenji HASHIMOTO
「柿の郷くどやま」は高野山ヒルクライム前の休憩・補給ポイントにオススメ Photo: Kenji HASHIMOTO

 さて、道の駅を出発して、九度山駅の横を通過すると、いよいよ高野山に向けて距離20kmで標高差770mのロングヒルクライムがスタート。平均勾配は4%を切る緩やかな勾配なので、無理のないペースで天空の宗教都市をめざしたい。

日向さん「高野山へ登るルートはいくつかあります。九度山から上る国道370号は、観光バスが通るメインルートではないのでオススメです。深い木々に差し込む光の幻想的な世界を楽しめますよ」

おそらく日本一!? 全長3mはあろうかという巨大ガエル Photo: Kenji HASHIMOTO

 途中には、インスタ映えする(!?)巨大なカエルも登場。そして、上り続けること約13kmで国道480号に合流し、ここから高野山へ向けてグングン標高を上げていく。クルマ通りも増えるので走行には注意。この辺りから、標高1000mの山並みが作り出す神秘的な世界を楽しめる。

聖地・高野山独特の世界を感じながら深い杉林の中をいく Photo: Kenji HASHIMOTO
終盤は観光道路でもある国道480号へ合流し高野山をめざす Photo: Kenji HASHIMOTO
終盤、あたりを見渡せば紀伊山地の神秘的な世界が広がる Photo: Kenji HASHIMOTO

高野山の大門、中門に到着

 上り続けること20km、ついに高野山の総門である大門に到着。標高は約900m、下界との気温差が大きく、夏は涼しさを求めて多くのサイクリストが高野山ヒルクライムを楽しんでいる。大門に続いて、高野山開創1200年を記念して再建された壇上伽藍の中門。そして、弘法大師が御入定されている高野山の信仰の中心となっている奥之院へ。樹齢千年に及ぶ杉木立ちの中に、豊臣秀吉や織田信長などの墓跡が多数並ぶ神聖な世界に身をおいてみよう。

高野山の総門であり、結界のシンボルである大門 Photo: Kenji HASHIMOTO
自転車から降りて、境内を散策してみよう Photo: Kenji HASHIMOTO
高野山の中門は、江戸時代に焼失して以来2015年に172年ぶりに再建された Photo: Kenji HASHIMOTO
奥之院は壇上伽藍と並んで高野山の二大聖地として知られる Photo: Kenji HASHIMOTO
樹齢700年の杉木立がそびえる奥之院の参道 Photo: Kenji HASHIMOTO

 歴史的建造物が数多く立ち並ぶ高野山には、街の雰囲気に溶け込んだカフェや食事処が多くある。今回は、古民家風カフェ「梵恩舎」(ボンオンシャ)へ。世界中を旅してきたご主人とフランス人の奥様が切り盛りする落ち着きのあるカフェだ。そして、高野山で人気の精進料理を楽しめる「花菱」。ヒルクライム後は、バイクから降りて高野山を散策したり、カフェタイムを楽しんでみよう。

高野山の中通りにあるインターナショナルカフェ「梵恩舎」(ボンオンシャ) Photo: Kenji HASHIMOTO
きめ細やかな泡が特徴のカプチーノとチーズケーキのセット Photo: Kenji HASHIMOTO
精進料理をリーズナブルにいただける老舗人気店「花菱」 Photo: Kenji HASHIMOTO
五法、五味、五色の基本を貫き、伝統の味を守り続ける Photo: Kenji HASHIMOTO

サイクリスト歓迎の「本覚院」で宿坊体験

 高野山には、50を超える宿坊寺院があり、サイクリストを歓迎してくれる宿坊も複数ある。今回は「本覚院」で宿坊体験だ。愛車は敷地内の鍵付きの倉庫で保管してくれるので安心できる。

日向さん「夜は伝統の精進料理をいただき、翌朝はお寺の掃除などお勤め体験ができます。ゆっくりと高野山で1泊するプランがオススメです」

サイクリストにやさしい宿坊として知られる「本覚院」 Photo: Kenji HASHIMOTO

 清浄な朝を迎えた高野山。2日目のコースは、高野山から有田川の河口まで、約80kmに渡って標高差900mをゆっくりと下るダウンヒル。基本的に下り基調なので距離以上に時間に余裕がある。途中でお店に立ち寄ったりしながら有田市のJR箕島駅をめざそう。

日向さん「高野山に別れを告げて、しばらくは山間部をワインディングしながら下っていきます。そこまで急勾配ではないので、安心してください。深い木々に囲まれた国道371号に引かれたブルーラインに案内してもらいましょう」

 スタートから10kmほどで、県内2番目の長さを誇る有田川へ合流。ここから有田川の美しい清流とともに爽快なロングライドを楽しめる。有田川町に入ると、町のシンボルでもある「あらぎ島」など、まさに日本の原風景に出合える。あらぎ島は、大きくU字に湾曲した有田川沿いに美しい水田が広がる日本の棚田百選に選ばれた景勝地だ。

有田川町のシンボル「あらぎ島」は四季によって表情が変化する Photo: Kenji HASHIMOTO

紀州伝統の「わさび寿司で栄養補給」

 このあらぎ島からほど近い場所に、地元の食材を使った料理を楽しめる食堂がある。創業60年を迎える「赤玉」さんだ。お寿司を和歌山県産のわさびの葉で包んだ「わさび寿司」は、紀州伝統の味だ。

有田川町の食事処「赤玉」の看板メニュー「わさび寿司定食」 Photo: Kenji HASHIMOTO
鮎、鯖、山葵の3種の味を楽しめるわさびの葉で包んだ「わさびの寿司」 Photo: Kenji HASHIMOTO
地元に愛されている創業60年を迎える老舗店「赤玉」 Photo: Kenji HASHIMOTO

日向さん「今回、わさび寿司と和歌山ラーメンがセットになったわさび寿司定食をいただきました。山椒風味の和歌山ラーメンとわさび寿司はクセになりそうです。この先、しばらく補給ができる地点がないので、赤玉さんでお腹を満たしておくことをオススメします」

二川ダム湖畔に架かる吊り橋「蔵王橋」。春には周辺の桜が美しく咲き乱れる  Photo: Kenji HASHIMOTO

 2日目もほぼ40kmを走り切り、ゴールまで残り半分。有田川の清流を眺めながら、ブルーラインが引かれた国道480号をひた走る。途中で、ダムに架かった赤い吊り橋の「蔵王橋」へ寄り道。振動が伝わる橋の上から水面を覗けばスリル満点だ。この日のライドも70kmを過ぎ、徐々に有田川の町が近づいてくる。地元で採れたての果物や野菜が農家価格で並ぶ「どんどん広場」も、有田川町の立ち寄りスポットのひとつ。

有田川のせせらぎを聞きながら気持ち良さそうに走る日向涼子さん Photo: Kenji HASHIMOTO
地域の物産店「どんどん広場」には有田みかんなど種類豊富なフルーツが並ぶ Photo: Kenji HASHIMOTO
同じ有田みかんでも品種はさまざま。試食しながらお土産選びに悩み中 Photo: Kenji HASHIMOTO

 2日目最後の立ち寄りカフェは、2018年8月にオープンしたばかりのクラフトビールとカフェを楽しめる「ゴールデンリバー」。ボリューム満点の特製バーガーやホットドックをいただくことができる。元保育所をリノベーションして、有田川町の新たな賑わいの場になっていく新スポットだ。

 2018年8月にオープンしたばかりの「ゴールデンリバー」の特製バーガー  Photo: Kenji HASHIMOTO
旧保育所をリノベーションし、有田川町の新たなランドマークをめざしている Photo: Kenji HASHIMOTO
店内にはポートランドから直輸入の質感高いハンドクラフト雑貨も Photo: Kenji HASHIMOTO

 しかも、サイクリスト、とりわけヒルクライム好きには絶好のロケーションにお店がある。実は、お店の向かいの山は、日本のラルプ・デュエズとして知られる千葉山(せんばやま)の麓なのだ。

有田川町にある日本のラルプ・デュエズこと千葉山を走る日向涼子さん Photo: Kenji HASHIMOTO

日向さん「千葉山は有田川町の北側に位置する標高542mの小さな山です。距離も約6kmと短めですが、なかなか走りごたえがあります。そして千葉山の魅力はなんと言っても、見渡す限りの絶景です。ここまで上ってきた九十九折れの道は、まるで生き物のようにうねり、素晴らしいワインディングロードを一望できます。その風景は世界的に有名なフランスのラルプ・デュエズ峠に似ているとか。山頂付近に並ぶ巨大な風車が近づいてきたらゴールはすぐそこです。2日目のコースは下り基調なので、最後に千葉山チャレンジを加えると大きな達成感も味わえると思いますよ」

千葉山の頂上付近には巨大風車を何機も見渡すことができる Photo: Kenji HASHIMOTO
圧倒的な九十九折りの絶景が広がる千葉山ヒルクライムコース Photo: Kenji HASHIMOTO
 JR紀勢本線「箕島駅」から大阪方面へのアクセスは良い Photo: Kenji HASHIMOTO

ゴールのJR箕島駅に到着

 高野山から約80km、千葉山ヒルクライムも含めると約90kmのコース。2日目のゴール地点は、有田川の河口に近いJR箕島駅。輪行なら大阪方面へのアクセスも良い。

日向さん「どうでしたか。世界遺産・高野山へのヒルクライムと天空の宗教都市に滞在することで感じることができる特別な体験。2日目はあらぎ島など和歌山の大地が作る景勝地を巡りながら、有田川のリバーサイドライドを満喫できます。最後に、千葉山ヒルクライムも追加すれば、達成感も倍増です」

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サイクルツーリズム ロングライド 和歌山県

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