UCIロード世界選手権 男子エリートロードレース201838歳バルベルデが念願のアルカンシエル バルデ、ウッズ、デュムランとのスプリントを制す

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 オーストリア・インスブルックで開催のUCI(国際自転車競技連合)ロード世界選手権は9月30日、男子エリートのロードレースが252.9kmで行われ、4人によるスプリント勝負を制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が初優勝した。日本から唯一の参戦となった中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)は、途中リタイアとなった。

38歳にして世界選初勝利を飾ったアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

3連覇中のサガンが早々にリタイア

 コースは他のカテゴリーのレースと同様にドイツ国境付近のクーフシュタインを出発し、インスブルックまでのロード区間を経て、インスブルックの周回コースを7周した後、最後に追加の激坂を一つ越えてフィニッシュへと至るコースとなっていた。

 ロード区間ではグナーデンヴァルト(登坂距離2.6km・平均勾配10.5%)の上り、1周23.9kmの周回コースではイグルス(登坂距離7.9km、平均勾配5.7%)の上りを7回、さらにフィニッシュ寸前のラスト11km地点から始まるグラマルトボーデン(登坂距離2.8km、平均勾配11.5%、最大勾配28%)の激坂を越えるため、獲得標高は4600mを越える屈指の難関コースとなっていた。

レース中盤に遅れ、途中リタイアとなった中根英登 Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは序盤に11人の逃げ集団が形成。メイン集団は逃げを完全に容認し、時速20〜30km程度の超スローペースで逃げとの差が一気に拡大。最大19分程度までタイム差が広がった。ここからフランス、オーストリア、スロベニア、イギリスを中心に集団をけん引する姿が見られ、徐々にタイム差が縮めながらインスブルックの周回コースへ到達。周回コースに入ると、1周ごとに2〜3分ずつタイムを縮めてきて、残り100kmを切って4周目に入る残るころには11分程度となっていた。

 4周目のイグルスの上りでは、逃げ集団、メイン集団ともにペースアップ。逃げ集団からはディディエ、ミューレン、ダンが遅れてしまった。

 そしてメイン集団では、世界選3連覇中のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が早くも脱落。遅れたサガンは早々にリタイアを決断し、フィニッシュまで90km以上残して、4連覇の夢が断たれてしまった。

 中根も4周目で遅れてしまい、5周目に入った時点でメイン集団から3分46秒遅れとなっていた。6周目に入ることができず、無念のリタイアとなった。

前人未到の世界選3連覇を成し遂げたペテル・サガンも、今年の厳しいコースには適応できなかった Photo: Yuzuru SUNADA

終盤が近づくとアタックの打ち合いに

 残り80kmを切った5周目からは、スペインが集団先頭に上がってきた。イギリスとともに集団けん引を担い、さらなるペースアップを図る。すると、イタリアを中心にアタック合戦が活発化。決定的な動きは生まれないものの、有力選手を含む少人数のグループが集団からリードを築く場面も見られた。

積極的にレースを動かした青いジャージのイタリアの選手たち(左からカルーゾ、ペリツォッティ、ニバリ、ポッツォヴィーヴォ) Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、先頭集団でもペースが上がっており、次々と逃げメンバーが脱落。先頭はロブ・ブリトン(カナダ、ラリーサイクリング)、ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)、カスパー・アスグリーン(デンマーク、クイックステップフロアーズ)、ジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)の4人となっていた。

 6周目に入ると、逃げ集団とメイン集団のタイム差は5分を切ってきた。上り区間に入ると先頭ではブリトンとヤンセファンレンズバーグが脱落し、逃げはラエンゲンとアスグリーンの2人のみとなった。

 メイン集団では再びアタックが頻発。今度はオランダとドイツが積極的に動き、イタリアとスペインがそれらの動きを必ずチェックする展開に。ハイペースで突き進む集団からは、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)といった各国のエースたちが遅れを喫するほどだった。

優勝候補との呼び声も高かったが、本来の力を発揮できなかったミカル・クウィアトコウスキー Photo: Yuzuru SUNADA

 前周と同様に、少人数グループが集団からリードを築く場面も見られたが決定的な逃げには繋がらず、集団はひとかたまりのままいよいよ最終周回へ。

 残り31kmで、先頭2人とのタイム差は2分18秒。勝負どころを前に逃げを吸収するべく、イタリアが集団先頭を固めて激しくペースアップした。

 残り25km付近で、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)がアタック。この動きは実らなかったものの、ここから各国のエース級の選手たちによるアタックの打ち合いが始まった。

 その最中に集団からヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が脱落。ペースの上がるメイン集団は残り22.7km地点で逃げの2人を吸収した。するとカウンターでピーター・ケニャック(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)がアタック。ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナプロチーム)がチェックに入ると、山頂付近でケニャックを振り切って単独先頭に立った。

 遅れたケニャックやジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ)を含む6人ほどの小集団がヴァルグレンから10秒遅れで山頂を通過。そのあと数秒差でメイン集団という構図だった。

4人のスプリントをバルベルデが制す

 ダウンヒルに入ってもヴァルグレンは快調に飛ばして、後続とのリードを拡大。メイン集団からは、ダウンヒル巧者のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)がアタックし、追走の6人を吸収した。

 ダウンヒルを終えて30秒のリードを築いたヴァルグレンは短い平坦区間でもリードを保つことに成功。しかし、いよいよ最後の上りである最大勾配28%の激坂区間に突入すると、徐々に失速してしまう。

 道幅も狭く、勾配も急な区間でメイン集団の先頭を押さえたフランスは、ルディ・モラール(グルパマ・エフデジ)のけん引により、ロマン・バルデ(アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)を好位置に引き上げていく。フランス勢がポジションを上げる動きにより、集団では中切れが発生した。

 バルデ、アラフィリップ、バルベルデ、モスコン、マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)の5人が抜け出す展開となり、先行していたヴァルグレンを捉えた。

 勾配28%の区間に差し掛かると、アラフィリップが失速。後方に取り残されていたトム・デュムラン(オランダ、チームサンウェブ)が蛇行しながら上るほどの激坂だった。

激坂区間での積極的な走りが光ったマイケル・ウッズ Photo: Yuzuru SUNADA / Pool

 やや勾配が落ち着いたところでウッズがアタックすると、モスコンが千切れた。ウッズ、バルデ、バルベルデの3人が先頭で山頂を越え、最後のダウンヒルに入った。激坂で蛇行するほど苦しんでいたデュムランはマイペース走行を貫き、10数秒ほど遅れて山頂へ到達した。

 下りを得意とするバルデとバルベルデが互いに仕掛ける場面も見られたが、決定的な差を開くことはできず。下りきって平坦区間に差し掛かると、下りを飛ばしてきたデュムランが数秒後方に迫り、先頭3人を猛追。残り1.4km地点でついに追いつき、先頭は4人となった。

 4人のなかでは最もスプリント力の高いバルベルデを、ウッズ、バルデ、デュムランは警戒。残り1kmのアーチはバルベルデが先頭で通過し、そのままウッズ、バルデ、デュムランの順で徹底マークしながら最後のスプリントに備えた。

 前に出される格好となったバルベルデは何度も後方を振り返りながらも落ち着いて仕掛けのタイミングを待ち、残り200mからスプリントを開始。残り50m付近でバルデとウッズに並びかけられるも、最後の25mはバルベルデの伸びが勝り、バルベルデが初の世界選優勝を飾った。

横並びのスプリントを制したアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 これまでにバルベルデは世界選に11回出場し、そのうち一桁順位でのフィニッシュが9回、3位が4回、2位が2回と惜しい結果を残すがアルカンシエルには縁がなかった。38歳にして、念願のアルカンシエルを手に入れたバルベルデは、フィニッシュ後に大粒の涙を流していた。

 なお、38歳5カ月での優勝は、1985年に38歳9カ月で優勝したヨープ・ズートメルク(オランダ)に次ぐ、史上2番目に年齢の高い世界王者となった。

念願のアルカンシエルで表彰を受けるアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

レース結果
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 6時間46分41秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +0秒
3 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
4 トム・デュムラン(オランダ、チームサンウェブ)
5 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ) +13秒
6 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット) +43秒
7 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナプロチーム)
8 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
9 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)
10 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチーム・エミレーツ)

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