UCI世界選手権ロード2018男子U23ロードはスイスのマルク・ヒルシが制覇 日本勢5人は完走ならず

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 オーストリア・インスブルックで行われているUCI(国際自転車競技連合)ロードレース世界選手権は9月28日、男子U23(23歳未満)ロードレースが開催され、スイスのマルク・ヒルシが下りで抜け出し、独走で勝利した。日本から出場した5人は厳しい展開に遅れを喫し、いずれも完走できず途中棄権となった。

下りで抜け出し、独走勝利したマルク・ヒルシ(スイス) Photo: Yuzuru SUNADA

スイスが抜群のチームワークを発揮

 UCIワールドチームのスタジエール(研修生)やネオプロがしのぎを削るU23。世界一を決めるべく厳しいレイアウトに設定された180.6kmのコースで争われた。序盤からアタックがかかり早い展開でレースが進み、中盤からはニコラス・ズコウスキー(カナダ)が抜け出す形で折り返しを迎えた。メイン集団を積極的にコントロールするのは来季にチーム スカイ入りが決まっているエディ・ダンバーを擁するアイルランド、続いてデンマークやベルギー、イタリアがグループ前方に構えてレースを進めた。

中盤、1人で逃げたニコラス・ズコウスキー(カナダ) Photo: Yuzuru SUNADA

 やがて逃げていたズコウスキーの背中が見え始めると、メイングループ内は活性化。集団が一つになるとアタックが散見されたが、いずれも決定力に欠け、主導権を握るチームが現れない。

 レースが動いたのは残り55km。スイスチームが下り区間でペースを上げると、後続で中切れが発生した。この動きで7人の逃げグループが形成され、そのうち4人がスイスチームだった。チームタイムトライアルのごとくペースを上げる先行グループに対し、ロシアとイタリアがペースを上げて追うも約30秒のタイム差はなかなか縮まらない。

大勢の観客が詰めかけたオーストリア・インスブルック Photo: Yuzuru SUNADA

 一方の先行グループ内ではバーレーン・メリダに所属するマーク・パドゥン(ウクライナ)が上りでペースアップし、パトリック・ミューラー(スイス)がそれに続いて抜け出した。その後、ダンバーとジノ・マーダー(スイス)が2人を追った。2グループともに先頭交代をするが、スイスチームが有利に進めているのは明白で、パドゥンとダンバーそれぞれにプレッシャーを与えた。

 その後ろの第3グループも勝利を諦めておらず、ベルギーやイタリアが懸命に先頭を追った。ラスト1周の鐘が鳴り、残りは23.9kmを迎えると、ジリジリと各グループのタイム差が縮まる。残り17kmの上りに差し掛かると全ての集団が結合し、レースは27人の争いに絞られた。

 追い風が強烈に吹く上りでビョルグ・ランブレヒト(ベルギー)がペースアップすると、フォローできたのはヤーコ・ハンニネン(フィンランド)とヒルシのみ。3人で最後の登坂区間を終え、フィニッシュを向かう下り区間へと突入した。ここでヒルシが2人の隙をついてアタック。タイム差は一気に広がった。

2位争いはビョルグ・ランブレヒト(ベルギー)が先行 Photo: Yuzuru SUNADA

 ヒルシは後続に追いつかれることなく、独走。最終的に15秒の差をつけてフィニッシュラインを切り、優勝を飾った。スイスチームの戦略が機能した勝利となった。スイスがU23カテゴリーで世界選手権を制したのは初めてとなる。2位に争いはラブレヒトとハンニネンのマッチスプリントとなり、ラブレヒトが勝利し銀メダルを獲得した。ヒルシは今年、チーム サンウェブの下部チームに所属しており、来季は本チームへのステップアップが決まっている。

UCI世界選手権U23男子ロード表彰台。左から2位のビョルグ・ランブレヒト(ベルギー)、優勝したマルク・ヒルシ、3位だったヤーコ・ハンニネン(フィンランド) Photo: Yuzuru SUNADA

けがを押して出場した石上「前に進むしかない」

 日本からは全日本U23チャンピオンの石上優大、全日本U23個人TTを制した山本大喜のほか、松田祥位、大前翔、渡辺歩の5人がスタートラインに立った。U23日本代表チームは今年、アジア選手権での活躍でUCIポイントを獲得。出走人数の枠をしっかりと確保したうえで、欧州遠征で多くの経験を積み、世界選手権へと挑んだ。

5人で出走した日本チーム。左から松田祥位、渡辺歩、大前翔、石上優大、山本大喜 Photo : Yuzuru SUNADA

 しかし、レースでは苦戦を強いられた。日本チームは山本を軸にした作戦をとったという。周回路に入る手前、スタートから60km地点の上りで位置取り争いが激しくなると踏んだ日本チームは、石上以外の4人で、脚を使いながらも山本をメイン集団へと送り込むことに成功する。山本、それに続いて石上がメイングループ内で展開するも、レースを残すところ80kmを過ぎた辺りから2人ともに後退。そのまま完走を果たせず、5人はレースを終えた。

鎖骨を骨折しながら出場したU23全日本チャンプの石上優大だったが、完走を果たせず Photo: Yuzuru SUNADA

 痛み止めの服用とテーピングで辛くも出場した石上は「鎖骨を折り、何ができるかわからなかったため、フリーな立場でレースを走りました。このレースまでの2週間でやれることを尽くしてきましたが、瞬発系の動きはもちろん、思うように体が動かなかった」と明かした。また、完走者がいなかったリザルトを受け止めつつもこう語る。

 「ツール・ド・ラヴニール、スペイン、フランスと続いた日本代表の夏季遠征は世界選が集大成でした。完走者がいなかったことは事実として、遠征を通じて大きく成長できた選手がいたこともまた事実です。松田はアンダー1年目ながらスペインのトップアマチュアカテゴリーで結果を出し、大前も欧州のレースに順応してきています。前に進むしかありません」と振り返った。

 浅田顕監督はレース後「山本を目標の30位以内にどう残すことを皆で考えた走りましたが、レースは予想以上に登坂力勝負でした。厳しい山岳コースでの実力としては今日の結果がそのものだと思います。今年はまだメンバーが若いので、また来年、再来年に向けてチームを作ってゆきます」とコメントを残した。

 昨年の5枠に対し、さらに1人増やした6枠を獲得していたU23日本代表。経験と実績を次世代にどう繋げていけるのか、今後の活動にも注目が集まる。

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