世界選手権2018直前レビュー4連覇を狙うサガンは苦戦必至か 男子エリートは中根英登、女子エリートは與那嶺恵理らが出場

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 虹色のジャージ、マイヨ・アルカンシエルをかけたロードレース世界一を決める大会、世界選手権自転車競技大会ロードレースが9月23日から30日まで、オーストリアのインスブルックで開催される。日本からは各カテゴリーで計17人がエントリーし、難コースに挑む。海外勢は3連覇中のペテル・サガン(スロべキア)が勝ち星を重ねるのか、はたまた新たなスターが誕生するのか、1年に1度のビッグレースがいよいよ始まる。

マイヨ・アルカンシエルを巡る世界選手権が9月23日から30日まで開催される

エース揃いの強豪国に注目

 今年の世界選手権の舞台はアルプスの山々に囲まれた町、インスブルック。地形の特徴を生かしたコースは、アップダウンを繰り返す非常に厳しいレイアウトになっており、最終日のメインレースである男子エリート(259.4km)は獲得標高4670m、女子エリート(156.7km)は2413mと世界チャンピオンを決めるに相応しいものだ。

4連覇の期待がかかるペテル・サガン(スロバキア) Photo : Yuzuru SUNADA

 男子エリートにおいて必然的に注目が集まるのはサガンだろう。昨年、史上初の3連覇を達成し、勢いに乗るサガンはシーズン序盤、ヘント〜ウェヴェルヘムやパリ~ルーベのクラシックレースを制し、ツール・ド・フランス2018では落車を経験しながらもステージ3勝とポイント賞に輝いた。直前に行われたブエルタ・ア・エスパーニャではステージ優勝こそなかったものの、シングルフィニッシュを幾度と見せコンディションをアピールした。

総合力に長けたジュリアン・アラフィリップ(フランス) Photo : Yuzuru SUNADA

 “スプリンターのなかでは上れる”と評価されるサガンだが、インスブルックのコースが行く手を阻むとの見方が強い。ライバルである強豪国はクライマーやパンチャーを中心に出走メンバーを発表している。フランスはジュリアン・アラフィリップを筆頭に、ティボー・ピノ、ロマン・バルデ、トニー・ガロパンらといった上りに強く、パンチのあるメンバーを選出。特にアラフィリップは今年、ツールで山岳賞を獲得し、総合力と登坂力を飛躍的に向上させた。キレのあるスプリントもあり、小集団になった最終局面で勝ち切る実力を持っているだろう。

 スペインは大ベテランのアレハンドロ・バルベルデをエースに、独走力に優れたヨナタン・カストロビエホや、上りに長けたオマール・フライレらが脇を固める。イタリアもまたヴィンチェンツォ・ニバリを軸にエースクラスの選手を揃えている。ドメニコ・ポッツォヴィーヴォやジョヴァンニ・ヴィスコンティに加えて、ファビオ・アルも名を連ねる。

イタリアはワンデーレースも得意とするヴィンチェンツォ・ニバリが軸か Photo : Yuzuru SUNADA
昨年の個人TTを制したトム・デュムランを中心に、強豪を揃えたオランダ Photo: Shusaku MATSUO

 また、今年のオランダチームは豪華なメンツが揃った。エースはグランツールで総合上位に欠かさず食い込むトム・デュムランか。その陰に隠れることなく、バウケ・モレマ、ステフェン・クライスヴァイクらの、誰かエースとなってもおかしくない布陣となった。好調のミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)は2014年の勝利を再現となるか、ダニエル・マーティン(アイルランド)がライバルチームの牙城を崩せるか、参加枠で一歩譲るチームの精鋭にも注目だ。

初出場の中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) ©NIPPO Vini Fantini Europa Ovini

 日本からは中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)のエントリーが日本自転車競技連盟から発表された。世界選手権は初出場となる。中根は9月19日にイタリア・トスカーナ地方で開催された伝統のレース、ジロ・デラ・トスカーナ(UCI1.1)を、UCIワールドチーム含む強豪ひしめき、厳しい展開に絞られたメイン集団内でフィニッシュ。18位となりUCIヨーロッパツアーでポイントを獲得し、コンディションの良さをアピールした。プロコンチネンタルチームに所属し2年。日本からは1人のみの参戦となるが、欧州のプロレースで身につけた経験と確かな実力に期待がかかる。

與那嶺が自己目標達成なるか

 女子エリートロードレースには、日本からは與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)、金子広美(イナーメ信濃山形)、唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)の3人がエントリー。エースを担うのは全日本選手権ロードで3連覇を果たし、欧州に拠点を置き活動している與那嶺だ。

エリート女子でエースを担う與那嶺恵理は自己目標達成なるか Photo: Noriko SASAKI

 「個人タイムトライアルではトップ10。ロードレースは最終セレクションに残ること」と過去に大会の目標に語っていたのは與那嶺。インスブルックには早々に現地入りし、コース確認や試走を入念に重ねて調整を行ってきた。アジア大会で献身的にサポートした唐見と、上りが得意な金子とともに掲げる目標の達成に注目したい。

U23カテゴリーは日本から6人がエントリーし、上位を狙う Photo: Shusaku MATSUO

 U23の日本ナショナルチームは、ブエルタ・ア・カンタブリアのステージ勝利した松田祥位をはじめ、欧州遠征で層の厚さをみせた。その多くがメンバー入りし、山本大喜(キナンサイクリングチーム)、石上優大(エカーズ)、松田祥位(エカーズ)、大前翔(慶應義塾大学)、大町健斗(チーム ユーラシア・IRCタイヤ)、渡辺歩(GSC BLAGNAC)の6人が大舞台に挑む。

 過去、ポイントを十分に獲得できないなど、一人も出場しない年もあった同カテゴリーだが、昨年の5人に続き、さらに出場人数を増やせたことは実力が伴った結果といえるだろう。プロへの登竜門となるカテゴリーだけに、各国の選手たちはその後の生活をかけて世界選へと挑んでくる。欧州遠征での経験が生かされることに期待がかかる。成長を遂げたU23日本チームの走りに世界も注目するだろう。U23男子ロードレースは28日、180.6kmの距離で開催される。

日本代表派遣選手団(選手)

◇男子エリート◇
中根 英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)

◇女子エリート◇
與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)※TT兼任
金子広美(イナーメ信濃山形)
唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)

◇男子U23◇
山本大喜(キナンサイクリングチーム)※TT兼任
石上優大(エカーズ)
松田祥位(エカーズ)※TT兼任
大前翔(慶應義塾大学)
大町健斗(チーム ユーラシア・IRCタイヤ)
渡辺歩(GSC BLAGNAC)

◇男子ジュニア◇
日野 泰静(松山城南高校)※TT兼任
馬越 裕之(榛生昇陽高校)※TT兼任
福田 圭晃(横浜高校)
香山 飛龍(横浜高校)
小野寺 慶(ブラウ・ブリッツェン)

◇女子ジュニア◇
川口うらら(龍野高校)
中冨尚子(京都産業大学)

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UCIロード世界選手権2018 ロードレース 日本ナショナルチーム

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